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【 #応援NFTアーティスト 】魔界の歩か”ず”方

こんにちは。カロンです。NFTアーティストの皆さんを応援しています。

ほんとに、しーのさんの話は抜群に面白いなぁ。みなさまもタイミング合えばぜひ。結構、Twitterのスペースにいらっしゃいます。

さて、そろそろNFTアーティストさんが仮想通貨になんとなく慣れてきたりして、場合によっては興味を持ったりして、「魔界」という言葉をお耳にするタイミングかなと思います。

「ハイリスク・ハイリターンだけどめっちゃ稼げる取引所があるらしい、なんか魔界って呼ばれてるらしいよ…」みたいな感じですね。知り合いからでなくてもなんとなくTwitterでRTが回ってきたりして。

基本的に私は「魔界なんか近づかないほうがいいですよ…」と思っています。私自身ももう魔界と呼ばれるところには暗号資産を置いてません。

しかし考えてみると「魔界って何さ?」ということが分かっていないと自分が近づいているのか遠くにいるのか、足を踏み入れているのかいないのか、もわからないかも、と思いました。なので簡単に魔界の説明をしておきます。

いわば「魔界の歩き方」ではなく、どうしたら魔界を歩かずに済むか、「魔界の歩かず方」です。歩き方はネットにけっこう出ているのでそれをご自身で調べてください。

まったく勧めてません。むしろ「こういうところには近づいちゃダメですよ」という注意喚起です。いいですか、私は言いましたからね。

Not Financial Advice, Do Your Own Research.
これは投資助言ではありません、ご自身の調査のもと行ってください。

【魔界とは何か?】

いろいろな捉え方があると思いますが、ここで思い切って定義してしまうと「仮想通貨の取引所」です。

どこが運営しているかわかる交換所というのは世界にたくさんあります。例えば、日本で言えばDMMbitcoinはDMMが運営しており、Coincheckはマネックスグループ株式会社が運営しています。これらは日本の金融庁へ登録もしています。ですから「明日、全部の資産もってバックレる」ということは考えづらいです。少なくとも経営陣はオフィシャルサイトに名前が乗ってるわけで日本でそんなことしたら警察に捕まります。よっぽどお金に困った経営者じゃない限りそんなことはしないでしょう。リスクが高すぎます。それならまともに経営していたほうが良いはずです。

海外の取引所というのも何も知らない人からすると「怪しい」と思われるかも知れませんが、例えばCoinbaseというアメリカの取引所は上場をしています。取引高だけで言えば日本の東京証券取引所よりも多くなっています。5倍でしたかね、うろ覚えですが。トヨタやソフトバンクの株を売り買いしている東証よりビットコインやイーサを取り扱っている会社のほうが大きいんですよ。更に上場するには厳しい基準が必要ですから、それをクリアしているということです。ですから、少なくともここは「怪しい」とは言えないと思います。サポートが英語だったり手厚くなかったりするので「絶対大丈夫、安心です」とは私は言いませんが。

問題は世界に無数にある「誰がやってるか判らない、匿名で運営されている取引所」です。この取引所は完全にパソコンデータの中にしか存在しません。定款もない、利用規約も無い。おそらくこれに関する書類は紙一枚もないと思います。

基本的に運営者(というかそれを始めて儲けを得る人)は何もしません。最初に、取引所を開設し(知識があれば簡単に作れます。取引所を作る設計データは世界中に公開されています)、あとはプログラムに任せるだけ。どの通貨を追加しようかとか明らかなバグがあったら直しますけど、基本的にはプログラムで動いています。こういうのを「Decentralized Exchange(分散型取引所)」、略してDEX(デックス)と呼びます。分散されている、つまり明確な運営者、責任者が不在の取引所ですね。

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あと、そういう分散化された、中央管理者がいないシステムで暗号資産を取引したり、預けたり貸したりする金融システムのことをまとめて「Decentralized Finance(分散型金融)」、略してDeFiと呼びます。先日は日経新聞の1面に取り上げられていた言葉です。呼び名、日本では結構ぶれてて「デーファイ」「ディファイ」とか言われてますが、私は「デファイ」と呼んでます。
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さて、ここでご注意ですけど、DEXの全部がいかがわしく怪しいとは申し上げません。Uniswap、Sushiswap、PancakeSwapといったところなどは歴史もあり(と言ってもここ2,3年なんですけど。暗号資産の世界ではかなり長い期間です)、信頼性もある程度高いです。ユーザー数も多い。絶対大丈夫とは言いませんが、事故が起こる可能性はそんなに大きくないんじゃないかなと思います。

魔界というのは更にもっと怪しげなところのことを言います。1時間後に全部資金持ってバックレる、あとにはアクセスできなくなったWebサイトだけ、ということもありえます。そういう悪魔がやってる、使う方も魔物しか居ない、そういう取引所のことを総じて「魔界」と呼んでいます。

魔界ですから、騙されて資産全部取られても基本的に泣き寝入りです。警察に泣きついても「まぁ、自己責任ですよね…っていうかDEXってなんですか?」で終わりです。そういう取引所サイトです。

取引所ではもちろんとあるコインを持っていって別のコインに変えてもらう、ということが目的なんですが、そのためにはたくさんの種類のコインをできるだけたくさん持っておく必要があります。だって「うちのコインをビットコインで買えますよ。で、買ったコインはうちじゃ交換できません、うちビットコインあんまり持ってないんで」だったら誰も使いませんよね。なので「うちのコイン買えます。そのコインをまたビットコインにでもイーサにでも交換できますよ」と言いたいんですね。でも彼らはビットコインもイーサも持ってない。なので普通の人、私とかあなたのような仮想通貨を持っている人に「ちょっとうちの取引所に仮想通貨預けてください。利子つけて返しますので」とやってるんです。その預けたものが減って返ってくる、なんならそもそも返すつもりない場合もある、というのが魔界です。

よく「魔界の99.9%は詐欺サイト」と言われますが、感覚としてはそんなに外れてないですね。確かに詐欺(Scam=スキャム、といいます)も大変多いです。

【なぜそんな魔界に足を踏み入れる人がいるのか?】

シンプルに言えば、大儲けできる可能性が無いわけではない(確率は0.001%くらいかと)からです。

例えば、今年5月くらいに話題になったIRON Financeという取引所では、そこに仮想通貨を預けておくと、1日で5%くらい利息がもらえました。1万円分置いておくと500円、10万円分置いておくと5000円ですね。悪くないですよね。今、定期預金だと300万円を1ヶ月預けて例えば0.01%の利息、つまり300円です。仮にこのIRON Financeに300万円を1ヶ月預けたら、1日15万円の利子がもらえるわけですから15万✕30日、450万円もらえる、という計算になります。基本的には何もしなくても、です。預けておくだけ。

「そんなうまい話があるわけないよ」、はい、そうですね。IRON Financeは1ヶ月も持たずに破綻しました。「やったIRON Financeで1日で1万円分の仮想通貨(TITANというコインでした)もらった!」と思っていた人は寝て目が冷めたらそのコインの価値が1億分の1になっていました。つまり夜は10,000円だったものが0.00000001円になっていた、ということです。1億円分のTITANコインを持っていた人は一晩で1円になりました。

私のウォレットにまだありますよ、TITAN。ほら。

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えーっと、50,953TITAN。いまだと約0.036ドル、日本円で4円の価値ですね。1TITANが4円、じゃないですよ、50,953TITAN全部で4円。

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当時、TITANというコインの最高値でだいたい1TIAN=60ドルでした。それで計算すると50,000TITANは約300万ドル=3億円ですね、いわゆる億り人、しかも3人分。

もちろん、その60ドルの時に私が50,000TITAN持ってたわけじゃありません。価値が1億分の1になって、預けてた資産を返してよ、と言ったら「ごめん、もう何も無いからせめてTITANで返すね」と言われてもらっただけです。あ、違いますね。ごめんも何も無かった。「返してよ」「はいよ」だけですね。

つまりこの50,000TITANは私にとっては手に入れたときからずっと4円くらいの価値しかありません。TITANコイン自体は本当にほそぼそと取引されているので、値動きもあります。私の保有分は基本4円、たまに6円くらいにはなるかな、という感じです。どうでもいいですが。交換しように手数料2円くらいかかるかなという感じなのでホントに電子ゴミでしかないですね。

ちなみに、私は実はIRON Financeではそんなに損してません。むしろちょっと、ほんとちょっぴり、立ち飲み屋一回分、くらいのプラスで終わってます。

IRON Financeで大きく損された方って、「TITANの勢いがすごい!これは買いだ!」と思って買われた方なんじゃないかなと思います。だって今年の7月にこのIRON Financeというのが始まって、その時1TITANは1ドルくらいだったんです。それがどんどん話題になって1週間で10ドル、2週間で25ドルと価値が上がっていきました。そりゃ「よしじゃあ100万円分くらいTITANを買っておけば来週にはせめて3倍くらいになるのでは?」と思って買って、暴落、と。私は単にIRON FinanceにあずけてちょこちょこもらったTITANをビットコインとかに変えていたので。痛手は負いませんでした。

なのでIRON Financeってのがありまして、と気軽に話してます。もしガッツリ、何十万円と損してたらもう思い出すのも嫌になってたでしょうね。

このIRON Financeは詐欺ではなくて運営の失敗と言われていますし、運営側もそう発表していますがどうなんでしょうかね。真相は闇の中です。ちなみにIRON Financeはもう一回やり直して今も取引所を運営しています。もちろん過去ほどの勢いはありません。

【魔界で損するポイント】

魔界で損するポイントはいくつかあります。

一番のポイントは、「利息払いますよ、でもその利息は日本円ではもちろん無いしビットコインやイーサではなく、うちのオリジナルコインね」ということなんです。

数字だけ見ると「え?年利10,000%!?1万円預けたら1年で100万もらえるってこと?」という場合もあります。これ、ギリギリ嘘はついてません。

例えば、私がオリジナルのカロンというコインを発行しているとします。1カロンの価値は今、確かに1円です。私のカロンファイナンスにビットコイン(BTC)を預けてくれれば、たしかに1日に元金の30%のカロンコインを上げます。例えば、1万円のビットコインを私に預けますよね、そうすると私は1日に300カロン(300円分の価値)を渡します。もしそれが1年続けば、300カロン✕365日はだいたい100,000カロンですから、1カロンが1円なら、100,000円分のカロンコインがもらえる、ということになりますね。

嘘ではないように思えます。

しかしカロンコインはどんどん値段が下がっていきます。だってそうですよ、何の意味もないコインですもの。今日1円の価値だったものが次の日には0.8円に、次の日には0.7円に…。預けている人は「いや、カロンコインは今ちょっと調子が悪いだけでそのうち持ち返すはずだ」と待ち続けます。だって公式Twitterで「カロンコインだけでプレイできるゲームを開発中です!これからNFTも発行します!あのイー◯ン・マスクも投資を検討してくれてます!」とか言ってますからね。

しかし価格下落は止まらない。1週間後には1カロン=0.001円の価値しかなくなっていまいました。毎日300カロンもらっていたので手元には2,100カロンあります。しかしその価値はなんと日本円にして2円。そしてある日、カロンファイナンスのサイトにアクセスするとただ「404(このサイトはありません)」という文字だけが残っています。つまり、カロンファイナンスの運営者はあなたに2円払って、あなたから1万円分のビットコインを手に入れた、ということになります。

これがまぁ典型的なスキャム取引所のやり口ですね。

それから「預けてください、1日5%の利子あげます。その代わり預け賃として初回のみ3%もらいます、それから引出賃も3%もらいますよ」という、入出金に手数料がかかったりするものもあります。例えば1万円分のBTCを預けると300円分引かれて9,700円。それを引き出すのにまた9,700円の3%で291円分引かれる、みたいな感じです。これだと強制的に約600円は損する(運営側に取られる)ことになります。

「でも1日5%の利息もらえるんだから2日預ければプラスじゃん」

ええ。1日持てばいいですね、その取引所。次の日、あなたは数枚のカロンコインを手にしますが、運営者はあなたの1万円分のBTCを手にして消えたあと、と。

それから、「確かに利子はカロンコインでちゃんと払うけど受け取ってから30日間はロックされてるから引き出せません」というのもよくあります。まぁ30日って魔界では10年くらいの感覚ですね。最初は調子がいい。ロックされているもののあなたのウォレットには1日30カロンどころか300カロン入ってくる。1カロンの価格もどんどん上がっていく。なんと1カロン100円の価格に、100倍!ウォレットにはなんと3万カロンの文字!おー、なんと300万円分のカロンコイン!いよいよ明日でロック期間が終わる!ロック終わった瞬間にみんながカロンコインを売り出し価格は暴落。手元には電子ゴミ、みたいなこともよくあります。

「でもロック終わって市場最初に売った人は儲かったんじゃないの?」

そうですね。その人が運営者じゃなければ。それは闇の中…。

もっとも悪質なのは「Rug pull(ラグプル)」というやつです。これは運営側による持ち逃げです。ラグは絨毯のこと。みなさんが立ってる部屋の絨毯を、テーブルクロス引きよろしく全部引っ張られたらどうなりますか?皆さんはすっ転びますよね、絨毯の上においていたみなさんのカバンごと取られる。そういうことです。ラグプル、結構あります。公式Twitterなんかで「ネクストビットコイン!これからどんどん行くよ!あの投資家もあの企業家も注目しています!◯◯国では法定通貨になる予定です!」と威勢のいいこと言っといて、一気にTwitterアカウントとサイトを消して、ラグプル。ほんとにもう…。

魔界に資金を入れているときは寝ちゃダメ、という人もいます。私は結構ぐーぐー寝ますけどね。「無くなったら無くなったで仕方ないや」というくらいの資金しか預けないので。それでもベッドでスマホ見てて「◯◯取引所が公式Twitter消した!」というTweetを見て慌てて飛び起きて資金を動かしたという経験が無いわけではないです。

詐欺をするつもりはなくて一生懸命やってるけど人気が無くなって結局誰もなくなった…という取引所もあります。そりゃあねぇ、ネクストビットコインを作るなんてそんなに簡単な話じゃありませんから。

なんだかんだ資金を用意して、場合によっちゃ無くなるリスクもある。また、確定申告のことを考えて、預けたり交換したりするたびにメモって、念の為スクリーンショットも撮って、で、これだけやって数千円の利益。これならならちゃんと働いたほうが割良いや、と思って今は私は魔界に資金は置いてません。

【魔界はどこにあるのか?】

Polygonネットワーク自体が危ないというわけではないですが、魔界と呼ばれるような怪しい取引所ってPolygonネットワーク内に多いです。なぜかというと、Polygonネットワークは手数料が激安ですからあまり仮想通貨を持っていない人でも気軽に入ってこれます。ということはつまり初心者、慣れてない人が多い、ということ。そして、ということはそういう人を狙う詐欺師も多い、ということです。詐欺師側にしても手数料が安いということは取引所作るのも、潰して資金移動させて逃げるのも、更にもう一回名前変えて取引所作るのも手軽、ってことですから。

まぁいまは更にPolygonからAvalanchネットワーク、Fantomネットワークへ…と新しいネットワークに手を変え品を変え、ですが。もちろんイーサリアムネットワークなら安全、とも言いきれません。

【とにかく怪しい取引所には近づかない、魔界に足を踏み入れない】

いくら怪しい、悪意のある詐欺取引所でも皆さん自身が行かなければ何かをされることはもちろんありません。日本にだってそりゃ1人で足を踏み入れたら危険なところはありますが、だからと言って日本が危険、とは言い切れないでしょう?暗号資産の世界に詐欺師がいて、そいつが詐欺的取引所を創っているからといって暗号資産の世界が全部詐欺、というのは結構乱暴な意見ですよね。だから、まずは「行かない」ということが前提です。

更にもしそのような怪しい取引所のサイトに行ったとしてもウォレットを繋いだり、何かを「承認」(Approve)しなければ基本的には問題はありません。基本的は、ですけどね。暗号資産の世界、何があるかわかりませんので。

NFTを目的に暗号資産の世界に入ってこられたのであれば、とりあえず魔界には近づかないほうがいいと思いますけどね。「魔界で戦って一発当てるんだい!」と思っている人はもうご自由にどうぞ、ですけど。

最後に日刊SPAで魔界についての漫画を書かれているハッシー橋本さん(最近は新型コロナに感染され大変な状況だったようです。心からご回復を祈念致します)の漫画より、魔界に関する教訓を共有させて頂きます。

「魔界に来ないだけで、すでにあなたは勝っている。」

では失礼します~。



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