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着眼点と、考えのまとめ方。

 ネスカフェアンバサダーという言葉を目にするようになってから、ちまたに、アンバサダーという言葉があふれるようになったような気がします。そして、その前後から、インスタントコーヒーという言葉ではなく、レギュラーソリュブルコーヒーという表現を聴くようになって、レストランでも豆から入れたコーヒー以外のコーヒーが提供されることも多くなって。それらをけん引してこられたのが、日本のネスレのトップでもあった、高岡浩三さんだったようです。

 ネスレのバリスタは、会社にもあって、度々お世話になっていてすごく身近な存在。高岡さんのお話は色々な所で目にすることがあり、いつもすごいなぁと感じているのですが、アイデアがどのように生まれて、どのように形にしてこられたのか、そんなことをまとめて知る機会はありませんでした。書店でこの本を目にした瞬間、すかさず手に取ってしまいました。

 ご自身が手掛けてこられたサービスや商品の分析なども交えながら、どのような着眼点をもって、それぞれのものが形になってきたのかということを細かく紹介しているだけでなく、世の中で爆発的に売れている商品についても、ご自身の分析を同じ流れで紹介しています。

 全編を通して印象的だったのが、売り手の視点ではなく、徹底的に顧客視点から1つ1つのことを見てこられたということ。見回してみると、資本主義の世の中なのでやはり『売る』ということを目的に考えられているものがほとんどであるように思います。ですが、最終的に消費者にとってどのようなメリットがあるのか、それらを提供することによって世の中にどのような変化をもたらすのかということを、常に意識しながらビジネスを手掛けてこられたということです。徹底して顧客視点で発想してこられたからこそ、受け入れられ続けるものが生まれ、今でも残っているのだという風に思います。『誰の役に立つのか』という考え方。それが本当の原点であるべきだということは、コピーにもつながることだと感じます。

 日々の仕事に追われていると、企画をまとめたりするまではしていたとしても、なかなか周りを巻き込めずに、実行できていないことも少なくないように思います。そんな時に、この本で紹介されているような流れでアイデアをまとめるだけでなく、まずは小さくても動き出してみることで修正し、大きなうねりをつくっていくことができるのだと、あらためて感じました。

 アイデアに煮詰まったとき、周りからの反対で動き出せなくなったときに、勇気をくれるような、素敵な本に出会えました。

ゼロから革新的なヒットをつくりだす 問題発見の教科書

高岡 浩三 著 朝日新聞出版発行 を読んでの感想

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