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SmartHR に営業として入社して3年が経ちました

こんにちは、チャーリーです。以前のブログでこんな記事を書きました。

今回の記事はこの続編です。早いもので入社して3年が経ち、会社の中でも上位 10% の古参組となってしまいました。

この記事を書く目的は以下のとおりです。

あまりプライベートなことは書いて来ていないこのブログですが、株式会社SmartHRに入社して1年近くがたちましたのでその感想を書きます。なぜ突然こんなことを書こうと思ったか。自分が転職とかをするときに単純にそういう「入社しました」記事ってネットにあまり転がってなくて、もったいないなと思ったからです。特に、エンジニアの人たちのはよくジョインしました系記事を見かけますが、営業に関してはホント少ない。この情報のあふれるインターネッツな世の中で、肝心なところが出ていないの、良くない。それなら自社のブログとか転職サイトとかに書けば良いじゃんって思うかもしれませんが、自社のブログだとあくまで会社からの公的な発信になってしまうのでどうしても好き勝手書けない感があるし、転職サイトだとさらにその気があります。(あれって「読んだ人、来てね」って意図があるじゃないですか。)なにより、これはSmartHRの人間としての発信というよりも、個人としての僕・チャーリーとしての人生の一時を過ごす会社としての感想を書きたいわけです。

ということで、会社でも note とかありますが、あくまでこれは個人の雑記として書きます。そのため、ネガティブなことも含めて正直に書きます。

前回との 2 年間で今僕がどんな仕事をしているかと、会社がどうなっていったかを書こうと思います。最初に言い訳ですが、あくまで300 名ぐらいいる組織の中での一個人が、半径 5 メートルぐらいから見える景色です。​

会社が大きくなって、事業も成長している

前回から2年経って、当時 60 人ぐらいだった社員数が 300 人を超えました。また、いろんなところで社長が T2D3 の話をしていますが、それに沿ったスピードで成長を続けています。すごい。

T2D3 ってやばいんですよ。どれぐらいやばいかというと、IT業界の誰もが知る海外の有名 SaaS でも、到達できるかどうかって指標なんです。国内の SaaS ではまだ到達した会社はなかったような?

イチ従業員としては、会社の成長をフワフワした気分で見つめているところがあります。調達金額も、入社して 7 ヶ月後に 15 億円でしたが、 2 年後に 61.5 億円でした。数億円を超えてくるとなんだか実感がわきません。

そんな感じで、事業成長に関して言えば当初思っていた「こうなったら良いな」をきちんとクリアしてきた感じがします。

自分がいる営業組織に関しても、僕が入社してからずーっと半年ごとに立てられた目標をクリアしているんですね。もちろん、目標を軽くしているからというわけではないです。上記の T2D3 に沿っているので、普通に考えてキツイ目標ではあるんです。期初に毎回「今期はヤバい」みたいな話をするんですが、それでもなんだかんだみんな期末にはそれなりに達成してくるんですよね。すごい。

競合と当たることが増えてきた

前回の記事でこんなことを書きました。

悪いところではないですが、将来への不安みたいなところはたくさんあります。競合に負けちゃったらどうしようとか、エンジニアちゃんと採用できないと新しい開発が一向に進まないなぁとか、このまま組織が拡大していってずっと楽しいままでいられるんだろうかとか、ちゃんと給料上がるのかなぁとか…

競合については、2 年経ってかなり存在感が増してきた感じはあります。ただし、前回より「負けちゃったらどうしよう」という不安はなくなりましたね。2 年前は「まだ見ぬ存在」として恐怖の対象でした。でも存在するということが明確に分かってからのほうが、対策を考えるだけと割り切れたのがあります。

競合が増えたのは良い面もありました。改めて顧客やプロダクトの存在意義について、真摯に考える機会が増えたことです。

僕が入社してから最初の 2 年ぐらい(2019 年の最初ぐらいまで?)は、今振り返って見ると、正直なところ営業がイージーモードだった気がします。なんせ、お客さんの課題にだけフィットしたら契約してもらえるし、お客さんもクラウド慣れしている会社ばかりでした。頭使うより足を動かせば売れる状態。

それが事業拡大するにつれて、よりプロダクトは複雑になるし、お客さんも競合と比較検討するし、クラウドを初めて入れるお客さんがどう会社を説得するかサポートしなければいけない。

そんな環境になると、自然と営業力がついてくるとともに、「そもそも SmartHR って何を一番の価値として売っているんだっけ?」ということを考えるようになりました。プロダクトも営業的なメッセージも、研ぎ澄まされて来た感じがあります。

これは、自分にとってワクワクする出来事でした。会社のメンバーには申し訳ないですが、イージーモードだったときって T2D3 の軌道に乗っていても「こんなもんか?」みたいな印象だったんですよね。「僕らが本やネットニュースとかで読んで知っているユニコーン企業って、大成するまでにもっといろんな難局を乗り越えてきたんじゃないの?」みたいな。それが「ついに来たかー!」という感じで。こういうハードルを乗り越えてこそ、スタートアップという感じがあります。

プロダクトが立派になってきた

「エンジニアがちゃんと採用できない」も 2 年前の懸念でしたが、それなりにクリアされてきました。そのおかげもあって、開発がどんどん進んできました。2 年前はあくまでツールとして、ある一つの課題解決のために SmartHR を導入してもらうケースが多かった気がしますが、最近はもっと「漠然とした人事労務の非合理を解決したい」というビジョンに共感して導入してもらえるぐらい、SmartHR がカバーできる範囲が広がったんですよね。

開発スピードという点では、参考として以下の記事があります。改めて、すごい速度で「人が欲しいものを作ってきた」なぁと思います。

関連して、昨年明確に「うちのサービスがキャズムを超え始めたなぁ」という出来事がありました。2019年の11月ぐらいに「SmartHR 年末調整」で Twitter 検索すると、ユーザー企業の従業員さんたちが死ぬほどつぶやいてくれてたんですね。それもほとんどが好意的なコメントで。普通つぶやかないじゃないですか、会社が入れているシステムのことなんて。それがつぶやきとしてヒットするほどたくさんの人に使われていて。あれはとても嬉しかったですね。

社長と経営陣のノリはあんまり変わっていない

社員数が 300 人以上に増えたわけですが、いまだに社長の偉そう感がないのは、いいなぁと思ってたりします。ついでにビジネス部門を取りまとめている COO も全然偉そうではなくて、よくいろんな人にいじられています。

これは結構不思議に思っていることです。僕はてっきり、人って成果を出すと自信がついて偉そうに振る舞うようになるし、そもそも人は偉そうに振る舞いたいものなんだと思っていました。でも、本人たちは節々から「あんまり偉そうに接してもらいたくない」と思っているようにみえます(たぶん)。これは本人がいい人だからなんでしょうか?それとも社風とかで再現性があるものなんでしょうか?謎です。

そういえば、アジラのCEOが「スタートアップは社長ガチャ」と書いていましたが、SmartHR の社長は SSR だと思っています。

社風は変わっていないけど、リモートワークと組織拡大で距離は生まれた

僕が前回の記事で SmartHR の好きな社風として、「情報のオープン具合と自律駆動」と書きました。これはその後2年経っても社風として変わっていないです。いまだに会社の残高は分かるし、最近の CM にいくらお金が使っているかも分かります。

※突然ですがすごく良い CM だと思うので宣伝です!

ただ、今年3月に入ってリモートワーク中心になるとともに人数が増えてから、だんだんと人と人との距離が生まれてきたところがあります。

これは仕方ないっちゃ仕方ないし防ぎようがないのもあります。人が増えると物理的に情報を全部追えなくなるんですよね。Slack のチャンネルは死ぬほど多いし、Docbase に書かれる記事も毎日すごい量です。僕はそれでも法務の人が書いている「法務ポエム」とか業務と直接関係ないけど全部読んでいたり、ロビイストの人が書いている最近の政局の情報とかすごく好きなんですが、物理的にすべての部門の情報は追えなくなってきていて、それはちょっと悲しいことです。

加えて、たまに何かの打合せで同席する「はじめましての人」や、「そもそも一度も絡んだことがない人」「超ひさしぶりの人」が増えました。これも人数が増えるとしょうがないし、別にそれが何か業務に支障が出るわけではないんですが、なんとなく寂しいです。

やっぱり昔のようなこじんまりして会社のことと人が全部分かる状態を懐かしく思ったりします。

辞める人が出てきた

「何人もやめて行ったが俺はまだ立ってるぜ」というのは ZONE THE DARKNESS の有名な歌詞ですが、残念ながらこの 2 年で辞める人がちらほら出てきてしまいました。ちなみに2年前は、ほとんど辞める人がいない会社でした。

他社と比べてもまだまだ退職する人は少ないと思うんですが、それでもやっぱり昔からいるメンバーがいなくなるのは寂しいものです。

特に、今年の初めに古株人事のかつまたさんが辞めたりしたのはかなり胸に来るものがありました。

辞めた当時はなぜか僕がとても落ち込んだりもしたのですが、今は考えも変わって「合わない人や合わなくなってきたら、辞めるべきだよな」と思っています。企業も人もフェーズがありますからね。それでも、昔からいたメンバーが入れ替わっていくのは、やっぱり寂しいです。

ちなみに、離職率がどれぐらいかっていうとこんな感じ。「離職率」って実は企業によって異なっていて明確に定義がないのですが、だいたいこの 4 年半で数パーセントです。

▼2016年1月1日から2020年7月末(現在)までの離職率
・9.0% (試用期間中の離職含む)
・6.5% (試用期間中の離職含まない)
2016年1月1日から2020年7月末までにSmartHRが採用した社員数(279名)に対して、同期間に退職した社員数(25名)で計算

営業チームのマネジメントをするようになった

自分の業務の話ですが、今年に入ってからいくつかある営業ユニットのチーフとなり、プレイヤーから離れてマネジメントをするようになりました。ちなみに SmartHR ではチーフ=役職が上だとか給料が高いとかはなくて、ただの役割の違いと定義されています。

SmartHR のこの仕組みは、個人的にかなり良いと思っています。というのも、やっぱり営業ってプレイヤーとしてすごい人とマネージャーとしてすごい人ってちょっと違うんですよね。そこをきちんと人柄を見て任命する上の人達や、あんまり個人として成果が出ていないチーフの下でもきちんと業務を遂行するプレイヤーのメンバーを見ていると、改めて SmartHR って不思議な組織です。

自分の話に戻ると、僕はこのチーフという仕事がとても楽しいし、なって良かったです。

良かったポイントは大きく2つあります。

1つ目は、新しい自分の価値観や適性に気付けたこと。よく「営業マネージャーになるとお客さんと接することができないから面白くない」という意見を聞きます。でも、自分はそうでもなかったです。じゃあ何がおもしろいかというと、すごくきれいごとっぽいですが自分のユニットメンバーが成果を出すのがおもしろいですね。僕にとってのお客さんがメンバーに変わった感じです。

こんなふうに書くと利他的な人っぽいですが、ちょっと違います。僕は自分の身近な人が出した成果をちゃんと自分の成果として認識していて、自己犠牲的な貢献が好きというわけではないです。単純に、興味の対象がお客さんよりも自分の身近なユニットメンバーに移って、今はそれがおもしろいという感じ。

もちろん加えてお客さんが喜んでいるほうが良くはありますが、そういうのは数字で示されたり結果メンバーが成し遂げてくれれば、実際に自分がお客さんの顔を見なくても満足できました。また、誰かへの影響力という意味でも、僕はお客さんの価値観を変えられたときと同様に、メンバーの価値観を変えられたり成長を促せたときも同じように満足できるというのが分かりました。

2つ目は、視野が広がったこと。これも偉そうな感じですが、自分だけがどうにかして受注数字を伸ばすよりも俯瞰的にいろんな人を見られるようになった気がします。特に、チーフになると一人で営業しているときよりも圧倒的にいろんな人の意見や考えに触れる機会が多いんですよね。これは単純に興味深いことだし、深い学びになります。マネジメントをしているふりをして、いろんな人の良いところをたくさん眺められるのはすごい特典な気がします。

あわせて、責任感も生まれた気がします。責任感っていうとなんかこれも大げさですが、要は「絶対ダメ、未達!」みたいな考えとか、誰にも負けたくないみたいな精神はチーフになってからのほうが持てた気がします。 

業務範囲が狭くなり、代わりに深くなった

業務範囲はかつてより狭くなりました。これはオペレーションの質を突き詰めた上での必然ですが、前みたいに「営業プレイヤーとしてやりつつ企画もやりつつマーケにもプロダクトにも口出す」みたいなことはなかなかできなくなりました。

これを聞くと「なんだ、縦割りでやりたいことができなくなったのかぁ」と思うかもしれません。実際そういう「なんでもできる」環境を求めて採用に応募してくる人もちょくちょくいて、そういう人にはギャップになると思っています。でも、SmartHR は今はもう(少なくともセールスは)そういうフェーズの組織ではないんですよね。口出せないわけではないですが、あくまでオーナーは他部門。自分のメインミッションではないと、明確に認識している感じ。

逆に業務範囲が狭まったメリットとして、その分野のスペシャリストが大勢入ってくるとともに既存のメンバーも成長して、2年前よりも仕事の質は劇的に上がりました。

これは組織としても個人としても、成長という意味で重要です。成長とは「いろいろなことができるようになる」が大きな要素だと思います。これまでの SmartHR が幅広くいろいろな経験をして成長できたのに対して、今は「その分野では他のどの企業にも負けない業務の質を実践 / 追求できる」ようになったと考えています。

まとめ

ということで、いろいろ書きましたが、組織が大きくなったり入社して何年も経つと、良いことも悪いこともあったなという当たり前な総論です。

それでも、僕は今のところ SmartHR が日本で一番素敵な会社であるという自負を持っているので、ここにいるわけです。

さて、お約束なので一応貼っておきます。SmartHR はいろんな人を募集しています!興味あったら連絡してね!

次は2年後に書こうと思います。たぶん。

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