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はじめて企画する人、あるいは初心にかえって企画する自分のための企画法大全(2/5-戦略編)

もうお会いできないのではと思っておりました。

お久しぶりです。多々良です。ええ、そうです、鬱憤を発散しベロベロに酔っぱらった新人時代、目が覚めたら見知らぬホテルに一人・スマホなし・カバンなし・衣服は破れたエアリズムのみ・部屋はオートロックという状況に陥って「ウSAWでしょ…?」と呟いたことのある、あの社会人8年目のプランナー/コピーライターの多々良タツキです。お待たせしました。お待たせしすぎました。

本記事は、1年前(!)に書かれたある記事の第二弾・戦略編となります。遥か古に記された前記事では、「アイデアとは」「アイデアの出し方」についてまとめました。もしもご興味あれば、リンクよりご覧ください。

今回はアイデアの前提、戦略についてです。「戦略なんて考えるのはじめて」という方と「あれ…戦略ってなんだっけ…?」と思う僕のために、戦略の考え方を一番はじめから整理しようというハラです。

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戦略。非常に歴史が長い。マーケティング戦略にしても、めちゃくちゃ研究されすぎたせいで無闇に難しい雰囲気をカモしています。

個人的な意見ですが、戦略とは本来あんまり難しいハナシでなく「何をするにしても、目的を見据えて動いていこう」くらいのことなんじゃないかなと思っています。

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そんな僕が書く記事ですから、本記事はあまり本格的な戦略の話ではありません。データの見方や、マーケティング理論を解説したり使ったりもしません。

それでもいいですか?
ま、いいですよね。あなた(と僕)のワクワクする企みを大成功させるお手伝いをするために書いているのがこのシリーズ。大事なことは、いまあなたが考えている企画が進化するキッカケになることだと思うのです。

本格派でない代わりに、文化祭の企画にも、カフェの立ち上げにも、もちろん広告の企画にも使えるんじゃないかという戦略論として整理しました。是非なんにでも使ってください。

しからば。相も変わらず、企画法なんてオカルトみたいなモノ。所詮天才ならざるこの身の戯言、気に入った部分だけ切り取って「お守り」くらいの気持ちでお持ち帰りいただければと思います。

全五回中の第二回「戦略編」、はじまります。

戦略とは? : 山頂はオレが決めてオレが登る

実際の戦略論に突入するのは目次の「戦略の考え方全体像:SAN値チェックです」から。はよ本題に入らんかい!って方は、これから始まる二つのパラグラフは飛ばしちゃってくださいまし。

それにつけても「戦略」という言葉、曖昧でフワフワしたワードです。みんなが口にするけど、それって実際どういう意味…?スフレ級のフワフワ感。そんな「戦略」について考えるために、まずは言葉の意味から確認したいと思います。

戦略というものに触れてきた実感で言うと、誰かが「戦略」というとき、そこには二つの意味があるように思います。それは、「ゴールの設定」と「ゴールに至る最短距離を進むための指針」。この二つの意味を混ぜて使っているんじゃないかなと思います。もちろん元々は戦争用語らしいですね。

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そのまま戦争で例えるとして、、、例えばで3つの戦略を列挙します。

●戦争終結のために、相手の兵士を減らして継戦不能にする
→すなわち、戦力漸減戦略
●戦争終結のために、相手国民の厭戦ムードを高める
→すなわち、四面楚歌戦略
●そもそも戦争終結を目指さず、継戦することで特需を継続する
→すなわち、サスティナブルウォー戦略

みたいなところでしょうか。
「相手国を継戦不能にする=戦争終結」というゴールに対して、「相手の兵士を減らして継戦不能にする」か「相手国民の厭戦ムードを高める」かは違う戦略(方向性)であり、とるべき戦術(施策)が変わるのがイメージできると思います。
一方でそもそも"戦争を終わらせる"という考え方を変えて「ずっと戦争をして特需の恩恵を受け続ける」という戦略(方向性)も(攻殻機動隊SAC_2045の話ですが)ありえます。この場合はゴールの設定を変えているということですよね。
戦略を考えるとは、つまり「戦争を終わらせるか?」「戦争を続けるか?」「それ以外のゴールがあるか?」などゴールを考えることと、「終わらせるとして、相手の兵士を減らすのか?」「終わらせるとして、他に方法はあるか?」「続けるとして、どこかと結託するか?」などゴールに向けた大まかな方針を考えることの二つの作業のことです。

「ゴールの設定」と「最短距離の模索」。これはおそらく「戦略」と名のつく全てのものに通ずるもので、事業戦略でも機能戦略でもマーケティング戦略でも同様なのだと思います。

確かに!なにをするにしても、ゴールを見据えて効率よく動いた方が結果が出る。そう思えば、どんな企画を実施するにせよ、戦略を練ったほうがいいのは当然なのかもしれません。

戦略と施策:片翼の天使さん

具体的な戦略の立て方の前に。戦略について記した本にはあまり載っていない、結構大事な話を先にお話しさせてください。
それは…「戦略は戦略だけでは完結しない。戦略はそれを実現する施策がなければ意味を持たない」と言うことです。(いや、当たり前ですね)

戦略の話をしてるので、なんとなく戦略ばかりを考えてしまいがちですが、戦略は施策も見据えながら考えた方がいいはず。どんなに良い戦略も、それが実現できなければ意味がないからです。

もちろん、戦略と施策は企画の双翼。施策だけだって、片翼の天使さんと言わざるを得ません。なれば、戦略と施策は同時並行で考えるのが良いのでは…と最近思ってます。

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戦略と施策を行き来しながら考えることで、戦略が施策のガイドになることもあるし、さらに施策が戦略のヒントになることもあるはずです。

実際のお仕事では(大きな仕事であればあるほど)戦略部分を社内社外含めて僕以外の方が考えるケースが結構あります。本当はすべてを最小チームで考え抜いた方がいいけど、それって案件が属人的になりすぎてリスキー。さらに考えることが増えすぎちゃうから、労働環境を考えると現実的ではない…。ただ、最近の仕事の実感としてはストラテジープランナーやプランナーという区分けはそのうちなくなって、全領域考えることが増えていくんじゃないかなぁと思ってます。
情勢の複雑化、越境事例の増加。この記事を読むアナタには、そんな潮流の中でも悠々とプランニングできちゃう人になってもらえたらなと思って、本道からは逸れるんですがお話を挟んじゃいました。

戦略の考え方全体像:SAN値チェックです

前置きが長くなりました!本題に入ります。

戦略とは「ゴールの設定」と「最短距離の模索」でした。ですからもちろん、考える時も2ステップで考えていきます。

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さて、上の図は戦略を考える2ステップを一枚にまとめたものです。
はじめに、3つの入り口から戦略ゴールを設定する。次に、設定したゴールに最短距離で辿り着くためにピンチもしくはチャンスを4つのポイントから見つけ出して戦略とする。
って感じです。ネーミングは、考えたことを一言にまとめて伝わりやすくする上でもつけた方がいいです。テンションが上がるという付与効果も望めます。いいじゃないですか、つけましょうよ。ね。ちょっとかっこいい感じの名前を。

意外と大事なのは「戦略を考える時には、ゴール、ピンチ、チャンスを探している」って部分だなと思いました。

いやね、僕だけかもしれないんですが…戦略を考えてる時って何を考えてるかよく分からなくなるんです。
いや、大丈夫です正気です。紛れもなく正気で、もちろん戦略を考えています。考えてるんですが、なんか本題を見失っていく感覚に陥るんです。戦略を考えてくれ!って言われて、「え、戦略ってどう着地したらいいの…?」と自我を見失って…SAN値チェックが入ります。

戦略とは、ゴールと最短距離(つまりピンチもしくはチャンス)。目指したくなるゴール、将来の大きなピンチ、今まで気づかなかったチャンス。それを見つけ出すために考えていると思うと、戦略を考えている間もなんだか自分を見失わずに済むような気がするんだ…。

全体像を掴んで精神的支柱を得たところで、それぞれのポイントについて流れに沿って細かめに整理していきます。

ゴール設定の入り口:見つからないゴールとひょうたん島

まずは、ゴール設定の話から始めましょう。

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最初の戦争の例えで行けば、「戦争を終結させる」か「戦争を継続する」か「まだ他にあるか」を考える部分。マーケティング戦略ならば「純粋想起をとる」とか「認知をあげる」とか「イメージを変える」とか「ロイヤリティを高める」とかそういう感じの部分です。

例からも感じられるように、戦略ゴールって正解がないです。実際のところユーザーや売り上げやイメージの話だけじゃないはず。だとしたら何を考えればいいんだろう?なんとも捉え所がない。

だが待て、しばし。正解はない…と言いながら、戦略ゴールにはどうやら良し悪しがあるようです。そうじゃないと考える意味がないし、議論も出来ません。その良し悪しを決めるポイントとは、以下の3つなんじゃないかなと僕は思っています。

● そのゴールは目指したくなるものか?
→辿り着いたら会社も社会もチームもみんなハッピーになれるゴール。さもなくば施策もチームもバラバラになってしまうでしょう。
● そのゴールによってやらなくていい領域が分かるか?
→目標=限度を決めることにゴールの意義があります。結局アレもコレも全部やるならゴール(限度)を決める意味ないです。
● 効果的な施策を生み出せるゴールか?
→施策がダメなときは、ゴール(方向性)がダメなのかもしれない。

「目指したい」「不要の明確化」「施策の効果」。これらを満たすのが、いい戦略ゴールなんじゃないかなと思うのです。

さてさて、そんな風に条件だけ押し付けられてもツマラナイ。もちろん、ここからは上記3つの条件を満たす戦略ゴールの見つけ方の話をしていきます。

それが、「思想ドリブン=あるべき思想から考える」「課題ドリブン=マーケティング課題から考える」「施策ドリブン=施策から戦略を逆算する」という3つの入り口と、それらを組み合わせてスーパー戦略ゴール(さすがに安直ネームか…!?)を目指すという考え方です。

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ちなみに、思想ドリブンで考え過ぎると直近の課題が疎かになるし、課題ドリブンで考え過ぎると展望が狭くてスケールが小さくなる。二つを満たしても施策ドリブンがなければ頭デッカチな空論になる…みたいなイメージです。

なんて偉そうにしてますが…これも不完全な方法です。一つの入り口の考え方で振り切った方が最終的にいい戦略になることもあるし、いつも3つの入り口が調和したゴールが見つかるとも限りません。というか、全てが調和することなんてほとんどありません。ちょっと最近安定して考えられてるな…という感覚を言語化したもので、これをやれば安心!というやり方ではないのです…現実って厳しい…

だけどプランナーは挫けない、泣くのはいやだ笑っちゃおう、すすめー!
という気分で、それでは早速それぞれの入り口について詳しく解説してまいります。

ひょっこりひょうたん島の歌詞が好きなことを思い出しました。読むのに疲れたら是非聞いてみてください。

ゴール設定の入り口:思想ドリブン戦略ゴール

それではそれぞれの入り口の解説をば。まず初めの入り口は、「思想ドリブン戦略ゴール」です。

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一番最初なのは、一番考えるのが楽しいからです。なにかの本質を考えるって(的外れになることも多いけど)楽しいよね…。
最近よく聞く「本質価値」ですが、思想的な部分にこそあらわれていると思っています。この入り口では、物的な価値よりも思想的な価値に重きをおいて、そこから見える本質価値へ近づいていけるゴールを設定します。

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例えば、ある海外のエキスポのイベント内容をプランニングした時。当初はどんなエキスポにするかを考えていましたが、途中から考えを転換しました。エキスポと周辺活動を「文化を根付かせる活動」として捉え直し、文化全体が活性化するサイクルを設計する(←これがゴールですね)方がいいのではないかと考え、そこからエキスポの内容を逆算しました。

それが持つ本質的な意味、歴史上の文脈、そういった大きな視点から考えてみようという入り口。

いやぁ、なんだか主語がデカい。主語がデカいと無意味に気分がいいですね。つまり掴みどころのない漠然とした説明ですみません。
実例を出すために、恒例の「本屋さん」を題材に考えてみましょう!

本屋さんの本質価値ってなんだろう?本を買えるってだけじゃないはずだ。Amazonに押されてるっていうけど、無くなって欲しくないもの。それは、なんでだろう?本屋さんに行くの楽しいもんな。じゃあ、それはなんでだ?知識とか物語がギュッと詰まってる場所に行くことに気軽な非日常を感じるというか、一種のテーマパーク感があるよな。お、良いかも。書店とは、知の泉。知のテーマパークであるべきだ。思いも掛けない楽しい知識に出会える場所。そういうのが本屋さんなのかもなぁ

って感じです。例えばこう考えると、ゴール=「書店を知のテーマパークにする」ということになります。
実際にこのゴールに向けて発進すると、書店のエンタメイメージや非日常イメージを高めていくための広告施策と書店でのイベント施策を連続して組み合わせていくような戦略になりそうですね。

まあ…良いような、全然ダメなような。悪くないんだけど、急に言われるとビックリしそうですね。ちょっと切り口を変えて、上の画像の右下にあるような、「今の社会情勢ならではの価値を発見」するよう考えてみますか。

コロナ下の本屋さんの「あるべき姿」ってなんだろう?オンラインで本を買うのはAmazonでいいもんなぁ。Amazonになくて本屋さんにあるもの。書店員さんかな。本が好きで、詳しい人が書店にはいる。じゃあ、「本」じゃなくて「本の知識」を売るのはどうだろう?特定の本を買うのではなくて、「ブロックチェーンについて知りたい、15歳男性」とかでメッセージ送ると3冊くらい送ってくれるとか。「自分でも楽しめるラノベを知りたい、30歳男性」で送るとオススメのやつ送ってくれるとか。Amazonのレコメンドって畑違いのジャンルには無効だし、新しいことを知りたいなら書店に聞くとかあるのかもなぁ。なんの本を読めばいいのかわからない時に役立つ場所。それも本屋さんかもなぁ。本を買う前の本屋。メタだな笑

ゴール=「本を買う前に訪れる、メタ本屋さんへ」
web、特に今も本を買う前に評判を調べるツールになているであろうSNSを使うなどしてユーザー行動を変えていくとかですかね。とは言えwebを使わない層にもアプローチしたいと思うと何をしたらいいのかな…大工事になりそうです。
うーん。なんか効果がありそうな感じがしないな…コロナ関係なくなってる気もするし。まだ他にあるのかな。どうしようかな。

まだまだ考えられそうですが…思想ドリブンはここらで一旦切り上げておきましょう。ええ…こんなことで戦略になるの…?せっかくここまで読んだのに、こんなチャラチャラした話は求めてない…!と感じられるかも知れませんが、最後にちゃんとまとめるので、今は置いて次に行くことにしましょ。

ゴール設定の入り口:課題ドリブン戦略ゴール

思想的に考えてみた後は、入り口その2「課題ドリブン戦略ゴール」から考えてみましょう。

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思想ドリブンよりも直接的・現実的なやり方です。データや仮説で今起きている課題の原因を探り出し、それを打破するゴールを設定する、王道真正面の入り口です。

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あるソシャゲで、離脱率が上がってきていることが問題になっていました。どんな施策を打てば離脱率が下げられるかという議論の中で、今いるユーザーを分析して、離脱しやすいユーザーとしにくいユーザーの性質を把握。
ゴール=「離脱しにくいユーザーを増やして育成すること」とし、今後獲得するユーザーを離脱しにくいユーザーにする施策と、今いる離脱しにくいユーザーをより根付かせる施策を打つことにしました。

もう一度本屋さんを例に考えてみましょう。

本屋さんの低迷について調べてみると、そもそも業界構造にかなり問題があるみたい。本屋の歴史背景からくる粗利の低さ、実際の販売と合致しない配本制度、コンテンツヒットに依存してしまう性質などなど。ただこれに真っ向から立ち向かうと一朝一夕にはいかないぞ。そういう事業を立ち上げるような話になる。
うーん…どうしよ…。おや、粗利が低いのは、日本の書店では雑誌が売れてたかららしい。毎週・毎月買ってくれる習慣性があったから、低くてもよかったみたい。粗利が低いのも配本制度も、本屋に行く習慣があった時代を前提にしているんだな。とすると、「本屋に行く習慣」を復活させたら改善するのかな?だとしたら、なんだか手が届きそうだな。習慣になる、クセになる本屋さん。それはきっと、本屋に触れる簡単なアプローチがあって、触れると多様な楽しみが用意されているようなことなんだろうな。

ゴール=「簡単・多い・楽しいで書店にくる習慣を作る」
いわゆるリピート率やロイヤリティに近い考え方ですね。今回は例題でデータや課題感がないのでこんな感じですが、本来的にはキーファクター(認知とか、来店数とか、一人あたりの売り上げとか)をしっかり整理することが多いです。
先程のソシャゲの例でいえば、「売り上げが下がってる理由を分析したらキーファクターは離脱率だった!」から始まって、「離脱率を下げるキーファクターはゲーム性よりは実はユーザー特性。ならば獲得ユーザーの調整とユーザー育成に力を入れよう」っていう整理です。

課題ドリブンの、目の前の課題を軸にして考えていく感じ。思想ドリブンとは全然違う感じがしますよね。この方向では、本屋さんの存在意義みたいなことはあんまり考えません。

でも、、、「簡単・多い・楽しいで習慣化」と「知のテーマパーク」なんて、ちょっと交わるところのありそうな話ですよね。この交わってる部分を言語化できたら、もっといいゴールにできそうです。

// 読まなくていい脇道・データ劇薬論

/* 課題ドリブンからゴールを設定するマーケティング戦略って多いと思うのですが、木を見て森を見ずな議論になりやすい印象があります。
特に注意が必要なのは、このやり方で頻出する行動ログやアンケートといったデータが万能ではないという点。僕もかつて理系修士としていろんな実験をしてデータを貯めていたのですが、その取得方法・整理方法・解釈を合わせれば、むしろデータってあらゆる嘘を合法的につくことができる劇薬だと思っています。データは可能なら素朴に、あくまで仮説の確認として使用しつつ、地に足の着いた考察・議論をした方が良さそうです。 */

ゴール設定の入り口:施策ドリブン戦略ゴール

思想・課題ときて最後の入り口がこちら「施策ドリブン戦略ゴール」です。

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プランナーならではの反則技って気がします。施策から逆算して戦略を立ててしまうのです。考えてみた施策でもいいし、なんかいいなという先行事例でもいいのです。そこに潜む戦略を勝手に予想して本当に採用してしまおうという邪悪な手段です。

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これはもうやってみるしかないのですが…本屋さんの例では、いい事例が沢山ありますね。
例えば、「ほんのまくらフェア」「なぜだ!?売れない文庫フェア」「読書感想文買います。」などなど。

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それではこれらを題材に、(これらの施策とは全く関係のない)施策ドリブン戦略ゴールを導いてみます。

どの施策も、興味をそそられるなぁ。なんでだろう?想像力を揺さぶられる感じがするのが好きなんだな。想像力と数百円ってコピーがあったけど、本ってそういうものだよな。どのキャンペーンにも、「こういうことかな?」という想像の余白がある気がする。ただ単に「本」と言われると簡単にイメージできるし分かった気分になるけど、実はその裏にまだまだ考えもつかない余白が隠れているんだろうな。そういった本についての可能性を拡張する場所になっていく。それは書店にしかできないことなのではないだろうか。

ゴール=「本についての可能性を拡張する場所になっていく」
実際に実施するとして、企画性の高いフェアを連続して展開できるような組織構造や体制を整えるってことかもしれないですね。そういう存在になっていければ、本屋をもっとアクティブにすることができるかもしれない。

さすが、先人の知恵は違うなぁ。なんかいい気がします。もちろん参考にした企画は上記の戦略に則って行われたものでは全くないのでお気をつけください。それなのにいい戦略が導けるんだから、施策ドリブン戦略ゴール…まさに邪悪…。(参考事例は、これいいな!って思ってるやつにしましょう)

さていよいよ、3つの入り口から考えたゴールが出揃いました。ここからもう一踏ん張り、まとめてみましょう。

ゴール設定の入り口:スーパー戦略ゴールを探す旅

いよいよ戦略ゴールを見つける最後のフェーズ、3つの入り口の考えを深めてスーパー戦略ゴール(やっぱり安直かな…)を見つける段階まで到達しましたね。
「目指したくなる」「施策の効果が高い」「やらなくていいことが明確」な戦略ゴールにしていくために、これまで考えたことを整理します。

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3つのゴールのどんな部分がいいなと思って書き留めてあるんだろうか?
3つのゴールの本質的な部分かつ共通するような部分ってないだろうか?
それは戦略ゴールとして相応しいものだろうか?
同じ部分を抽出したり、言い換えたり、切り捨てたりして3つのゴールのいいとこ取りができないか考えていくフェーズです。

さてさてそれでは、本屋さんの例で考えてみます。ここまでに考えてきた思想ドリブンゴール=「知のテーマパーク」と「メタ本屋」、課題ドリブンゴール=「本屋に来る習慣を作る」、施策ドリブンゴール=「本の可能性を拡張する場所へ」。これらをうまくまとめる方法はあるだろうか?

テーマパーク、メタ本屋、本の可能性。そしてそれらを「習慣的」に楽しみたくなるトリガーはなんだろうか。テーマパークとメタ本屋と本の可能性に、共通する感情は「好奇心」な気がする。本が掻き立てる好奇心を、より強く揺さぶろうとしているのではないか。好奇心。いいかも。しかもこれって、習慣とも相性がいい気がする。好奇心はすごく身近だし、こんな今だからこそ定期的に思い出した方がいい気がするし。いま、好奇心を満たすってなんだかすごくインスタントな感じ。スマホでパッと調べておしまい。でも本当はそこを起点に、もっといろんな行動をしたくなる、楽しく生きる秘訣が好奇心なんじゃないか。僕たちは好奇心を、もっとワンパクに育てた方がいいんじゃないか。本屋は好奇心を刺激して、育てる存在になっていく。そうすることで独自の価値を生み出し、繰り返し来てもらえる場所になっていけるのではないか。

ゴール=「本屋は好奇心を刺激して育てる存在へ」
なんだか一段階抽象化されましたね。抽象化すれば良いってものでもないとは思うんですが、でもこのくらいなら地に足ついた議論ができるような気がします。Amazonには欠けていることでありつつ、「育てる」ってのが習慣性を感じさせるポイントかもですね。

いい戦略ゴールの条件に当てはめてみましょう。

● そのゴールは目指したくなるものか?
 →僕は本屋さんにそんな存在になって欲しいです。◎
● そのゴールによってやらなくていい領域が分かるか?
 →少しアヤフヤ。施策の読後感だけ確定している感じ。△
● 効果的な施策を生み出せるゴールか?
 →話題化施策と定常施策の組み合わせ。強いものができそう。◯

どうなんですかね。好奇心を育てることが、本屋さんの売り上げや寿命に関係しているということは確かなんじゃないかと思います。

本の可能性を拡張する場所、も捨て難いけどな…でも、それは多分僕が本好きだからで、好奇心の方が間口も広くていろんな施策につながる気がします。ので、この場は「本屋は好奇心を刺激し育てる存在へ」に決定!

いやでも、ちょっと楽しみな戦略ゴールが見つかってよかった…皆さん的には、いかがでしょうか?全然だめ?ちょっとワクワクする?

果たしてここから良い戦略にまで辿り着けるのか?それはまだ……混沌の中。なぜならゴールだけでは戦略になりきっておらずで、そこに辿り着くための道標を考える必要があるからです。

というわけで続いて第二フェーズ・最短距離の模索に入っていきましょう。

最短距離の模索:落とし穴と加速パネル

いよいよ第二段階ですね。「最短距離の模索」フェーズです。戦略ゴールにどうやって辿り着くかを考えていく段階になります。

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詳しい思考法に入る前に…まずは、戦略における最短距離とは何か?ということからですよね。
戦略における最短距離とは「もっともコスト低くゴールに向かう方法」のことであり、考えやすい言い方をするなら「戦略ゴールに向かって進むときに現れるピンチとチャンスを見つける」ことであると考えています。ピンチを避ける知恵と、チャンスを生かす知恵があれば、それは最短距離でゴールに辿り着けるということではないでしょうか。

つまり、「最短距離の模索」とはゴールに向かうまでのピンチとチャンスの見つけ方の話、ということになります。

そして、僕が個人的に思うピンチとチャンスが潜みやすいポイントが「ターゲット」「ポジション」「時間軸」「モーメント」の4つであり、本記事ではそれぞれのポイントのよくある「ピンチとチャンスのパターン」も合わせてご紹介します。

一点注意なのですが、ピンチもチャンスもたくさん設定しすぎると意味がなくなりなります(=それぞれのポイントにコストを割くことで逆に大変になる)。ので、全体的に考えてから、「これだ!」というピンチもしくはチャンスを絞って戦略にする方がいいです。

一体、それぞれのポイントで一体どんなピンチとチャンスを見つけられるのか?以下ではそれを説明していきます。

最短距離の模索:ターゲット

まず最初はターゲット(=施策を打っていく対象)を捉える時に潜むピンチとチャンスから。

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戦略においてターゲットというのはもちろん重要なのですが、意外と「まあそこを狙うしかないよね」という話になりがちで、あんまりピンチにもチャンスにもならないことが多くあります。

「戦いを省略すると書いて、戦略ですよね」 葛原健太(1989〜)

という優秀なヒゲメガネ後輩の言葉通り、戦い(コスト)を省略できていないなら良い戦略とは言えません。昔、膨大なデータを参照した末、「スマホゲームは若年層を取りに行くべき」という戦略を見たことがあるのですが、そりゃオヌシ初めから分かっておったんじゃないか?と不思議に思ったものです。戦いを省略できてない。

みんなが当然と思っているターゲットに、落とし穴はないか。誰も考えていないターゲットにチャンスがあるのではないか。そういったことを考えるのが「最短距離の模索:ターゲット編」です。

基本的には真っ向勝負で考えていきますが、よくあるパターンがあるので以下にまとめておきました。

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上の項目ですが、いつでも当てはまる訳じゃないことに厳重に注意してください。深度よりボリュームの時もあるし、育成するより新規獲得した方がいい時もある。ただし、普段の考え方として無意識にボリュームや新規獲得を目指してしまうので、逆パターンも意識しとこうって意図です。

●ボリュームより深度
→払えるコストがあまりない時によく出てくるパターンです。年代などでセグメントするより、深く刺さる人を狙い撃ちするイメージです。
●波及ターゲット
→熱狂的なファンのいるコンテンツ領域で見かけるパターンです。コアファンとライトファンに分けるのではなく、その中間のセミコアファンを作って狙い撃ちにする、とか。
●ターゲット育成
→参入ハードルの高い金融系などであり得るパターンです。新規が苦しいなら、既存顧客としっかり付き合っていく。そのための顧客体験に注力する方針です。
●属性の再定義
→「草食系」「オタク」「バリキャリ」なんかのよくあるレッテルでターゲティングをしている状態で考えるべきことです。草食系なんて、本当にいるの?彼らの本当の心理は何?とかから攻める方針です。
●ターゲットの本音
→なんとなく世間から好かれていると思ってしまうし、都合のいいイメージを持ってくれていると思いがちなところから、しっかり本音を見つめ直すことで戦略の落とし穴を回避します。

例えば…いま本屋さんに来てくれている人に注力しましょうなのか、読書感想ツイートを見ている人に注力するのか、どっちの方が効果的だろうか?っていうようなことです。
もちろんこれら以外にも、ピンチやチャンスが見つかることもあります。

すみません!実際に考えてみよう!のコーナーは、全部のポイントを説明してから、ということにしたいと思います。いちいちやってるとあんまりにも記事が長くなってしまうので(この時点で13000字をオーバーしている…!長すぎて読みづらくなってしまいそう…)

そんなわけで、戦略中の重要ゴトである、ターゲット選定。是非とも先程のパターンも使ってみてくださいましね。

最短距離の模索:ポジション

それでは続いての"ピンチとチャンス"ポイント「ポジション」のお話をします。

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社会情勢、競合との関係など環境を加味しつつ、提供価値はブラさずに捉え直すような考え方です。そうすることによって、自分で自分に有利な状況を作り出して最短距離を舗装するのです。

自分のやることにばかり目がいってしまって状況・環境を忘れてしまうことはよくあることです。自分の立ち位置に疑いを持ち、それを変えることができないかを考えてみるのがポジション編の考え方になります。

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よくあるやり方は上の通りです。捉え方や言い方が大きく影響する部分になります。

●新カテゴリを作る
→競合が多い場合に使えそうな手です。ジャンルワードやカテゴリワードを変えてしまう。エンタメ本屋という新しい立ち位置を作ったり、ちょっと話は違うんですが、テイルズの「君と響き合うRPG」って名付けたり。
●成長カテゴリに移動
→自分がいるカテゴリが成熟しちゃった場合に使えるパターンです。クラフトビールとかがそうですかね。盛り上がってきた頃、大手の飲料メーカーも「クラフトビール」というジャンルで新商品を出し始めました。
●新しい競争軸を作る
→これも成熟したカテゴリならではかもしれません。イメージはシャンプーのアジエンス。西洋的ビューティで競っていたシャンプーの中で、東洋の美という軸を打ち出しました。
●提供価値の言い換え
→これも言い方論ですね。有名なのはエジソンの蓄音機。元々は遺言保存機として売り出されていましたが、ヒットせず。ただしその本質である録音を押し出し蓄音機として売り出したら大ヒットしたそうな。

要は、やってることは同じでも見方を変えれば違うものに見える。じゃあ一番いい見え方はなんだろう?というような話です。カテゴリだったり、競争軸だったり、提供価値だったり、いろんなものの見方を変えることで自分のポジションを変化させることができます。

例で出している「本屋を好奇心を刺激し育てる存在へ」がそもそもポジション的な観点を持っていますが、ここでさらにブレークダウンして「それを、テーマパークという言い方で施策にしていきましょう」とかであれば納得感ありそう。まあ、追い追い考えましょう。追い追い。

最短距離の模索:時間軸

ターゲット、ポジションときまして続いては時間軸という観点からピンチとチャンスを探していきましょう。

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戦略や施策を考えていると、ついつい施策をやる瞬間のことばかりを考えてしまいます。しかし、あらゆる行動は未来に影響を残すもの。少し目線を変えて中長期的に見ることも戦略には大切なことです。

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どのゴールにも使いやすい、強めのピンチとチャンスです。
どの程度のタイムスパンで見るか?あんまり長すぎても地に足が付かなくなるので要注意です。施策をしたら何が起きて、次に何をするかを考える連続的な思考も役に立ちます。次のアクションが打ちやすい戦略であれば、連続性を保ったいい施策が連発できそうですよね。

●1年間で考える
→課題が難しいときは、1年間にタイムスパンを伸ばしてみましょう。ちょっとは解決できる気持ちになれるかも。
●10年後の布石
→ユーザーが卒業したりするような案件の場合には、たとえ今流行っていたからといって油断はできません。10年後に向けて新しい若年層を取りに行ったりする必要が出てきます。
●継続サイクル化
→「試す」→「話す」→「話を聞いた人が試す」といったサイクルを生み出すような考え方をした方がゴールに近づけるかも。一つの施策だけではなくて、ループを作る複数の施策を組もうという戦略です。
●次アクションの起点
→いつかは日本を代表する観光名所に…なんて思っていたら、全体構想も大切ですよね。ラーメンストリートを作る第一歩としての一軒のラーメン屋さんを考えていくべきなのかもしれません。

もちろん100年後を考えるべき時もあるかもしれないですが…流石にそこまで考えたことはない…

「本屋を好奇心を刺激し育てる存在へ」とすると、ここには何かが眠っていそうな気がしますね。最後に書くことがなくなりそうなので書きませんが。

時間軸は戦略を考える上ではとても大事なポイントになります。頭をほぐして、施策の影響を時間軸で捉えるとどうなるか、ちょっとだけ想像しておくと、しっかりとした戦略になると思います。

最短距離の模索:モーメント

さて、いよいよ最後のポイント「モーメント」ですね。ちょっと業界用語的で耳慣れない方もいるかもしれないのですが、キッカケや瞬間といった意味の言葉です。モーメントファクトリーっていう素敵な会社もありますね。

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人間、やるにしてもやめるにしてもキッカケが必要です。
大学入学をキッカケに自炊をする人が多いなら、大学入学は調理器具メーカーにとってチャンスになるでしょう。一方で大学入学を機にノートをPCで取るようになるなら、大学入学は文具メーカーにとってのピンチになるのかもしれません。
「モーメント」にはたくさんのピンチとチャンスが潜んでいるといえるでしょう。そんなモーメントを以下に書き出してみました。

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モーメントは普遍的であればあるほど強いピンチあるいはチャンスになります(夕食を一度も食べない人は存在しませんが、旅行に一度も行かない人はもしかしたらいるかも)。それだけそのモーメントに直面する人が多いということだからです。

ふーむ、ライフステージごとに本屋に行くキッカケを作っていくとかあるのかな…。
かつてカップスープのクノールは、「朝食にスープを」というスローガンでカップスープを流行らせました。広告で朝食というモーメントを乗っ取って、毎朝「スープにしようかな」と思い出させることに成功したのです。モーメントを利用した凄い事例です。

というわけで、最後のポイント「モーメント」のお話でした。

どうですか?ピンチとチャンス、見つけられそうですか…?
「ターゲット」「ポジション」「時間軸」「モーメント」くらいまで押さえれば、ある程度イケるんではと思うのですが…しかし戦略とは奥深きモノ。もしも見つけられないのであれば、腹を括って。これまで考えてきた思考と知恵を積み重ねて、全然違う領域からピンチとチャンスを見つけ出しましょう。なぁに、我々ならきっと出来る。…多分。

最短距離の模索:ようやく実践編

おぉ…記事もかなり終盤ですね。残りは実践編とネーミングくらい。残りはオマケみたいなものと思って読み流してください。

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というわけで実践編です。4つのポイント全てが出揃った今、今回のゴールに相応しい最短距離を探してみましょう。

長くなるぞ…

「本屋を好奇心を刺激して育てる存在へ」のピンチとチャンスか…
好奇心というあらゆる人に共通する話題であれば、ターゲットを絞ることはしない方がいいと思うので、一旦除外しよう。
カテゴリ的な話は、あるだろうな。本屋を別のものに見せていく。何がいいだろう…テーマパークいいよな。そういう標語があれば早くなりそう。ただ中身がコロコロ変わって行くのがテーマパーク感ないな。常設展と特設展みたいに考えればいいのかな。テーマパークのノウハウとか知りたいな。
時間軸は大事だよなぁ!ピンチといえば、「育てる」なんてことを3ヶ月とかのタームで考えることだろうな。そしてチャンスといえば、好奇心は「知るほどに調べたくなる、聞くほどに知りたくなる」というサイクル的な性質を持ってること。だからユーザー全体でそういうサイクルを作ってどんどん「好奇心が疼いたら本屋」ってイメージが一人歩きする環境を整える方がいいよな。うん、これはちゃんと考えよう。
モーメントか…これは施策のネタにいいんじゃないかと思うんだよな。年間行事のフェアはもうやってる(ナツイチとかね)けど、他のモーメントに着目して行くことでフェアをもっともっと量産していく、好奇心を刺激する上でとても大事な活動になるはず。今回はモーメントは戦略レイヤーでなくて施策レイヤーで活用するものにしよう。
ふむふむ。なんとなく…
はじめに書店の構造を再定義。テーマパークの考え方で通常の本棚を常設展、フェアを特設展と捉える。まずは常設展の工夫から。商品ディスプレイと購入フローを「好奇心を満たす」方針で再考。さらに特設展として1年間を通して「好奇心を刺激する」奇抜なフェアや施策を行う。年間を通して「語られる→知りたくなる→調べる→語りたくなる」という好奇心スパイラルを作り出して施策の影響を長引かせることで、最短距離で「好奇心を刺激し育てる存在」というパーセプションを獲得する。っていう戦略なんじゃないだろうか。

みたいな感じです。な、な、ながーーい!!いかがでしょうか?これまで考えてきたことがまとまってますかね?意味わかんないかな…?

ただ、この戦略なら前の記事・アイデア編で出した「不倫した人専用本屋」も特設展の一つの出し物として活かせそうですし、原画展なんかもドンドンやれそう。施策と戦略が合致しそうな予感がして、個人的にはOKです。

それにしても長くて、ちょっとわかりづらいですね…ね。施策を考えるときに、いちいち読み返すのも面倒な気がします。もちろん、これじゃ人にも伝わりづらいし、だとするとチームメンバーにも伝わりづらいということで、あんまりちゃんとワークする戦略に見えないなぁ…

うーん…そうだ!!そ、そんなときには…あ、アレをやるしか…!!

ネーミング:まるでプレゼントのリボンを結ぶように

いよいよ、戦略を考える最後の段階、ネーミングですね。前章までで考えたことを、スタッフに伝えやすように、チーム中に広がるように、一言にまとめちゃいましょう。

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ここはもう趣味も全開で行ってしまってください。パクリとかなんとかも気にせず、あなたの考えたことが分かりやすく伝わることが一番大切です。かっこいい名前をつけましょう、なんて煽っちゃったりもしましたが、いやいや気取る必要はないんです。ダサいくらいでちょうどいい。ラノベのタイトルみたいにしてもいいし、四字熟語で終わらせてもいい。アズユーライクに行きましょう。

仮に、

はじめに書店の構造を再定義。テーマパークの考え方で通常の本棚を常設展、フェアを特設展と捉える。まずは常設展の工夫から。商品ディスプレイと購入フローを「好奇心を満たす」方針で再考。さらに特設展として1年間を通して「好奇心を刺激する」奇抜なフェアや施策を行う。年間を通して「語られる→知りたくなる→調べる→語りたくなる」という好奇心スパイラルを作り出して施策の影響を長引かせることで、最短距離で「好奇心を刺激し育てる存在」というパーセプションを獲得する。

っていう戦略だとするならば。

テーマパークになって社会の好奇心を育成しちゃう戦略

とかですね。うん。そんな多々良は重度のラノベファンです。

あー、長かった。たぶん、我々は戦略を組み立てあげることに成功しました。お疲れ様です。
いつか本屋さんに「どういう戦略で戦っていけばいいか?」と問われたら、多々良は「テーマパークになって社会の好奇心を育成しちゃう戦略」を提案しようと思います。誰にも問われなかったら、老後の楽しみに取っておきます。

戦略編のなく頃に:Fate/StrategyNight

企画のパーツ「戦略」を導くために、3つの入り口から戦略ゴールを策定し、4つの切り口からゴールに向かうピンチとチャンスを考察、戦略に落とし込み「テーマパークになって社会の好奇心を育成しちゃおう戦略」を考えました。

いやぁ…まあ…普段はもっと漠然と考えてるなぁ…こんなに整理整頓してないので、戦略に関しては考えてることを取りこぼしているんじゃないかと心配…。。。なぁんて、いやいや。そもそも僕の戦略論なんて我流もいいところ。そんな真面目な心配なんて似合わないですね。
ちょっとくらいアレ?ってところは、皆さんも我流で補っちゃってください。要はうまく行きそうな方針を見つけられればいいんです。

うむ?全然戦略なんて思いつかない?結局どうしたらいいんだ?奇遇ですね。僕もよくそうなるんです。
そんなとき、どうしたらいいかご存知ですか?そう、施策を考えるんです。こんなにいろんなことを考えた我々の頭は非常にホットな状態のはず。今考えたらすんごいアイデアが出てくるかも!

施策を考えたら、もう一踏ん張りして戦略をまた考えましょう。ゴールと、ピンチと、チャンスを。きっと考えつきますよ。だってアナタ、めちゃくちゃよく考えてるじゃないですか!大丈夫大丈夫!

戦略を考えるなんて、水物なんです多分。運命に出会うまで待つしかないし、それは前触れもなくドアを叩くものでしょう。努力はしつつ、座して待つ。

8年間で学んできたこと、半分まで到達しました。次はちょっと毛色の違う、コストの話。僕より優れたプランナーなんて星の数ほどいらっしゃいますが、広告外も含めた全領域を僕と同じくらいプランニングできる人となると、たかだか有限人に収まると思うんですよ。

それは、僕がいろんなことをやって、いろんなことの大まかなコストを把握してるからだと思ってるんです。ぜひ次は、その辺の話をさせてもらえればと思います。

追伸:興味が湧いたら、アイデア編の方もご覧ください。

あまり重要でない追伸:戦略の範囲論
本記事を書く上でも、戦略というものの説明の難しさにかなり苦しみました。こういえば、あの領域の話が抜けてしまう。ああいえば、この領域の話が抜けてしまう。なんにせよ、戦略っていうのはかなり包括的に語るのが難しいお話みたいなのです。書きながら、なんでこんなに難しいんだろうと思っていたことを最後につらつら書き残します。

戦略の話が他人と共有しづらいのは、考える人の立場によってゴールの設定範囲が異なり、必然、戦略という言葉の範囲が変わってくるのも一因ではないかと思うんです。このことのいい喩えを最近見かけたのですが…(どこで見かけたか忘れた…知ってる方いたら教えてください。)漫画キングダムで喩えていました。

古代中国の歴史を描くキングダムという物語の中で、秦という国の王が「中華統一」を目的として掲げました。それに対して秦国の参謀が出したのは「まず最大の敵国・趙の都市を落とす」という戦略でした。実際に戦が始まり、王からの命令で出陣した王翦将軍は「兵糧攻め」を使って趙国を苦しめます。その戦術のもとで主人公・信たちが胸の熱くなる戦い(施策の実施)を見せますが…それは本編をご覧ください。

秦国にしてみれば中華統一がゴールで、「趙国のある都市を落とすことがその最短距離である」という戦略です。一方で王翦将軍にしてみれば「趙の都市を落とす」がゴールなので「兵糧攻め」が戦略になります。

経験上ですが、戦略を練る場合は一つ上のレイヤーまでアクセスできるというところが興味深いなと思います。

王翦将軍は、「趙の都市を落とす」ことの是非を問う権利があると思います。本当にそれをゴールにして良いものか。一方で、中華統一の是非を問うことはできません。それを問うことは組織への疑問なので、それが疑問なら秦国から去るといった選択肢が上がってきます。(別に去ってもいいと思うのですが、戦略の策定時点でやることではないかなと思います)

主人公・信たちにも同様のことが言えます。信たちは「兵糧攻めで正しいのか?」について王翦将軍に修正を求める権利があるように思います。しかし、「趙の都市を落とすべきか?」を問うことはあまり意味がありません。そこから崩すなら、信は兵士ではなく国の軍師にならなければなりません。

上記のような感じで、人によって戦略は違うし、立場が違えばアクセスできる戦略にも差が出てくる。このことが戦略という言葉を共有しづらくしている原因なのではないかなと思いました。

そんなことを思いながら、これからも戦略についても勉強していこうと思っている多々良タツキでした。


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