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☆全て良し☆

高校一年生の大晦日、

友達とディズニーランドでカウントダウンの約束をしていた。
当時隣町のレストランでアルバイトをしており、
その日は夜に備え明るい内にバイトを上がった。
いつもは原チャで通っていたが、
何故かその日は親に送って貰ったのか帰りの手段が無かった。
大晦日で通常運行されてないのかバスも通らない。
自宅まで頑張れば歩けない距離ではないが、
歩こうと思える程近くもない。
歩いて帰る気がさらさらない。
バス停でじっと待とうとも思えない。
少しずつ歩き出す。
後ろを振り返りながらダラダラ歩く。
「誰か知り合い通れ」と念じながらキョロキョロダラダラ。

通過する走行車両に師走の慌ただしさを感じる。
明日からの新年を迎える為、
忙しなく前向きで脇目も振らずな空気を感じる。

一年の最終日、遊びに行く前にバイトして偉い自分を労いたい16歳w
歩いてる自分に不貞腐れ始める。
ダラダラに拍車がかかる。
そうこうしてる内に自宅最寄り駅通過。
こんなに長い距離一人で歩いて誰一人声を掛けて来ない。
逆切れ
こう成ったら僅かでも車に乗ってやる!
意地に成ったその時一台の車が止まった。

「何してんの?」
男二人組。

「帰るの。」
そう答えつつ足を止めない私の横を徐行しながら並走。

「送ってこうか?」
「もうすぐだから。」

「近くまで送るよ。」
そう言うと車を停め助手席の男が下りて来た。

逆切れ中の16歳、
促され、乗った。
乗ったまでは自分の選択自己責任冷静に理解。
直後腹内にうっすらと冷たい汗。

助手席に乗ってた男が私を抑えるよう共に後部座席に乗って来た。
車が動き出す。
冷静を装いつつ「そこの信号で!」と伝えた。

そこの信号が本当に自宅から最短だ。
そもそも乗せて貰う程の距離ではない。

男は当然の如く私の言葉を無視し、
停止せず左折してスピードを上げた。

山奥に連れて行かれる!
(最初から解っていただろう。呆)

冷静さをキープしたまま腹内ボルテージはMAX。
咄嗟の機転。
進む先に同級生の家がある事に気づく。
話した事もない男子。

「その先に友達んちがある。友達も誘ってこ。」
そう言うと完全に女子だと勘違いしてる男ども、
2(ニィ)2(ニィ)で丁度いいと思ったのだろう。
素直に私の誘導に従い友人宅へ到着。

「ちょっと待ってて!」
そう言い残し、駆け込むように友人を訪ねた。

大晦日の夕方で家族皆さん御在宅の様子。
同級生男子も部屋で寛いでいたようで、
私が部屋に通されると、
急いでジャージを履きながら私の話に耳を傾けてくれた。
ヒソヒソ声で事情を伝える。
「解った。お前はここにいろ。」

頼もしい。
今の私が惚れてしまうw

彼が表へ出る前に庭からチンピラがうろつく声が聞こえていた。
遅いからと車から降り人様の庭を声を上げのさばっているイメージ。

私は初めて話す男子の部屋で一人静かに待つ。
耳を澄ますと微かにやり取りが聞こえる。

気の立った男どもを逆なでせぬよう上手に言葉を投げてくれてるのが解る。
少しヤンチャな彼の丁寧な言葉遣いが逆に男どものチンピラ魂を煽ったようで、
口の利き方が気に入らないような言いがかりをつけては人の庭先で大きな声を上げている迷惑な奴等。
一番迷惑な奴は私だがw

いつまで言い合っても部屋に隠れた女は出て来ないし漸く諦めた男どもは退散した。
爽やかに部屋に戻る彼。
何一つ愚痴る事なく、顔色も変えず優しい対応。
(カッコイイ・・・w)

後にも先にも彼との会話はその時だけ。
その日は彼のお姉さんの車で優しく自宅まで送って頂いた。
いつか改めてお礼を伝えたい。

三年後。

19歳に成った私は同じ系列の別のレストランで働いていた。
オフィス街にあり、お昼に成るとサラリーマンやOLさんの常連で賑わう。

常連の一人に、
毎日「アイスコーヒー1杯ください」と言う、
着物姿の絵に描いたようなおばあちゃまがいた。
互いに多くの会話をする事もなく、
来る日も来る日も初めて承るオーダーのようにアイスコーヒーを確認しテーブルへ運んだ。
ある時いつものように会計をしていると、
徐に指で摘まめる小さな小物を差し出された。
「これお財布に入れておくとお金が帰るのよ。」
そう言って、小さなカエルモチーフの焼き物をくれた。
「ありがとうございます!」
それからずっと、お財布を変えても変えても一緒にカエルもお引越ししている。
カエルのお陰で出かけたお金、ちゃんと帰って来てくれるw

おばあちゃまの来店はゆったりしたアイドルタイム。
余談おしまい。

慌ただしいランチタイムに戻る。
入り口でお客様を迎える。
見慣れた顔ぶれが多い時間帯、
オフィスごとの団体様の中、
見慣れぬ男性に目が止まり、目が合った。
瞬間頭のコンピューター作動。
ほぼ同時に、
まるで懐かしい友人にでも再会したかのように、
男性客と店員の私は同様のリアクションをしていた。

皆様をお席に御案内。
広い店内、お席までの道すがら、皆様の着席中、
合間合間に男性から話し掛けられた。
あの時の男どもの一人だった。

顔も憶えておらず、すっかり大人に成られスーツ姿ではあったが、
オーラの情報からか一瞬であの時の男だと解った。
時の浄化か全く悪い印象はなかった。
お客様という再会の仕方も手伝っているだろう。

御本人様から忠告をされた。
「知らない男の車なんか乗っちゃダメだぞ。
あの年頃の男はやる事しか考えてないんだから。」
笑いながら言われた。w
苦笑するしかないw

暫くは常連さんとして顔見知りな日々が続いた。

数年後。

成人した私はそのレストランを辞めていた。
これも余談だがついでに言ってしまおう。
退職の理由、クビ。

当時の私はサービス業で右に出る者はいないと自負していた。
よく気がつきよく動く。
お食事は幸せな事と思っていたので、
その提供をさせて頂く事に喜びを感じていた。
ある日出勤するなり店長に呼ばれた。

「本当によくやってくれて有難い。しかし何せ当てにならない。」

プライベート優先の私。
自分にとって大事だと思う出来事を優先するが故、
突然休暇依頼を出す事度々だった。
あんなに真面目な店長に、
こんなくだらない宣告をさせて本当に申し訳ないと思っている。

閑話休題。

レストランを辞めて数年後。
その頃頻繁に食事に連れて行ってくれる男の先輩がいた。
毎日のように仕事が終わると車で迎えに来てくれ色んなお店に連れて行ってくれた。
ある日出先に迎えをお願いした際、
「友達と一緒だけど」と言いながら来てくれた。

「はじめまして」と言いながら後部座席に乗ると、
助手席のお友達が会釈を返してくれた。
直後後ろを振り向きながら私の顔を見て、
「やっぱなー!」と笑った。

「え!?友達!???」

またも、あのナンパな常連さんと再会したw
私の話を友人である先輩から聞いた時、
地元や年頃から私に違いないと思ったらしいw
こういうのを腐れ縁と言うのだろうか?
言わないだろw
戒めの守護神からの派遣だw

その時聞いた話、
「俺バツ5(笑)」
二十代でパンチあり過ぎw

三度目の正直。
これが最後。

よくしてくれた先輩にはいつか大人として再会してみたい。

人生は全て繋がっている。
ハッピーは御褒美。
嫌な経験は全て学び。
点と点を繋ぐ。
必ず学びはハッピーエンド☆

気に留め目に留め読んでくださりありがとうございます☆