最前列で観劇をした話②・諏訪さきさんの直撃を受けた話/雪組宝塚大劇場公演『ジュエル・ド・パリ!!』-パリの宝石たち-

宝塚のショー・レビューが好きだ。

一本物もいいけれど、約1時間美を浴びる体験ができるのは今のところ私は宝塚のショー・レビューしかないと思っている。

それは舞台から比較的近い席でも2階の最後列でもそれぞれに良さがあり、すばらしい体験に変わりないのだけれども、
最前列でのそれは、絶高の美だった。
そして、ひとりのタカラジェンヌを再発見する体験ともなった。


(①に引き続き、細部が誤っている可能性があるので御容赦願いたい。)


まずは銀橋に居並ぶ、朝美絢さんをはじめとした男役の面々。
目の前に和希そらさんが立ち、絵皿と絵筆を手に歌う姿にときめく。
そのやや離れた横に諏訪さきさんがおり、
同じく堂々と歌う表情を見た。
以前から、ショーで諏訪さきさんがつけている艶のある真っ赤なルージュが素敵だなと思っていた。
この日もくっきりと引かれたルージュが鮮やかで、白い衣装に映えていた。
近くで見られるなんて!と私は斜め下からそれを眺めていた。
やがて彩風咲奈さんが舞台上の大階段に艶やかな女役姿で登場し、
藤井大介先生の十八番、布が一気に引かれる演出で男役に早変わりして階段を降りて銀橋をわたってくる。
それにつけても足の長さよ。
彩風さんの「2023!」の掛け声で初舞台生が登場。
フレッシュなダンスの連携が見事で、全員で黄色い花が咲く様を表現したシーンはこの日唯一最前列での観劇を惜しく思った。
正直、観劇の目的の2割はロケットとパレードで拍手する事と言っても過言ではなく(応援と感謝の意を拍手で伝えたいので)
初舞台生のロケットとなれば拍手にも熱が入る。
109期生の銀橋渡りを見送った後は歌い継ぎで続々とスター達が登場する。
男役達に囲まれる夢白あやさんの美しさといったら……。
そしてそうそうこんな至近距離で見る機会ないぞと思い私は叶ゆうりさんの踊る姿を見ていた。
歌い継ぎが終わって一同銀橋に並び立つ。
ピンクスパンコールの燕尾服姿の彩風さんがとにかく眩しい。比喩表現ではなく物理的に眩しい。
眼前には朝美絢さんと美穂恵子さんがおり、美穂さんの優しい眼差しを受けた気がする。女神(ディーバ)の微笑みである。嬉しかった。
芝居の時から思っていたのだが、
朝美絢さんといったらどの角度から見ても美しく、当然ほぼ真下から見るお顔も麗しい。
また、朝美さんは眉根を寄せた眉間の皺すら美しく、どなたかが誰かの眉間の皺に落ちたいなどと言っており、それを聞いた時の私は(全くわかんねえな)と思ったものだが、まさに私も同じ気持ちになったので心の中で謝罪した。

続いての場面、ロイヤルブルーのスーツに身を包んだ朝美絢さんが登場、軽妙なダンスに翻る裏地のピンクが良かった。
しかしこの場面、露骨にラ・ラ・ランドで微笑んだ。
(もうラ・ラ・ランドの版権取って本公演でやってほしい!
彩風さんのセブと夢白さんのミアとか見たすぎるんですが)

次の問題の場面は奏乃組長の歌声の素晴らしさを感じつつ、例に漏れず和希そらさんのおなかだけを見ていた。
逆にここで和希さんのおなかを全く見なかった方は相当な忍耐力めいたものをお持ちだと思う。

ノートルダムの場面では、有栖妃華さんがメインで歌っていたのがとても嬉しかった。
芝居でも歌うまが娘役が集結した夢人の1人として美しい歌声を披露していたが、
メインで歌う姿を間近で拝めて(奇しくも聖母マリア役)眼福であった。

続いてラテンの場面。
娘役さんのすみれの衣装がとてもかわいく華やか、
ラテンなので男役さんの「アーララララララライ!!」という掛け声が響く。
ラテンの場面かある時はとにかくこれが楽しみで、朝美さんのこれはとくに力強く、好きである。

バスティーユの場面の縣千さん、
パーマのかかった前髪が実にかっこよく、
課題の歌もだいぶ声が出るようになってきたと思う。
この場面のメンバーが銀橋に渡ってきた際、
上手に流れていく華世京さんから母がウインクをいただき、私もその余波を喰らった。
星組ファンの母が終演後に
「さっきの方は鳳真斗愛さんに似てたわね」と言ったので
確かにお顔の系統が似ているなと思った。
まだ研4だが素晴らしいスターさん、応援しようと母と誓い合った。

カンカンの場面はとにかく衣装の色味が淡くて可愛らしく素敵だったが
途中真那春人さんや久城あすさんら上級生の迫力ある男役さん達がドレスで登場したため
真那さんに視線を奪われ続けていた。
(後にパンフレットを確認したら叶ゆうりさんもドレスだったと知ったので、次見る機会に全力で探したいと思う。なおチケットは無い。)
あっけに取られているうちに夢白あやさんら数名が銀橋にやってきた。
夢白さんの名は体を表すが如き白い肌の美しさたるや、と思っていると
私の正面に諏訪さきさんが来られた。

一瞬の出来事。
諏訪さんが腰を落とし、片膝をついて
私に向かって手を伸ばし、微笑みかけたのである。

息を呑んだ。
私は、なんらかのコンテストで優勝を告げられスポットライトを浴びた欧米の女性が如く目を見開き肩をすくめ手で胸を押さえた。
なんたる輝きか。眩しすぎて私も優勝してしまう。
諏訪さんの笑顔はさながら窓辺のウェンディに手を差し伸べるピーター・パンのようにさわやかで。
その伸ばされた手を取ることは勿論できないが、私の心はその手によってネバーランドに連れて行かれてしまった。


レビューはフィナーレに差し掛った。
差し掛かったんだけれども、
ふわふわしてしまって男役群舞の辺りはあまり記憶が無い。
デュエットダンス終盤あたりからはなんとか意識が戻ってきて、
あ〜〜こんなことってあるんだな〜〜〜〜と思いながら
パレードで拍手をしていたら目の前の和希そらさんから目線をいただいてしまい私は再びコンテストで優勝した。


素晴らしいレビューだった。
本当に素晴らしいレビューだった。
幸運にも貴重な機会を得て、
この体験は大事な思い出となった。
雪組がもっと好きになったし、
何より諏訪さきさんが更に大好きになった。
ファンサービスを受けたからってミーハー過ぎると思われるだろうが、
あんな回避不能の必殺技の直撃を受けたら、余程心に決めた絶対的御贔屓がいない限りはきっと好きになってしまう。
観劇から数日経った今も、折に触れて諏訪さんの事を考えている自分が居り、その時間を幸せに思う。

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