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WORK #12 / 2021.4

 小学校で読書感想文を書くとき、唯一受けた指導は「『〜と思った』という締め方はやめましょう」というものだった。気がする。それ以外にも色々あったんだろうけど覚えていない。逆に、その指導にだけはやけに「そうかあ」と納得したんだろう。
 今でも文章を書くと決まってそれを思い出す。「〜と思った」という締め方を自分はよくする、という自覚があるからだ。一般的にその締め方がNGとされているのかは分からないけど、思った、と書く度に、かつての先生の「思った、の先を書いてください」という声を一人で思い起こす。「思った先に自分はどうするか、とか」そこまで想像して、勝手に異議を唱える。
思ったもんをただ思ったっつって何が悪いんだ?

 や、そこまで言うと揚げ足取りなんですけどね。
 思う。考える。感じる。そういった自分の内側で起こることを、丸裸な〝思った〟として発表することは確かに危険だ。発表することというか、その表現に甘えてしまうことが。思うだけで済ませてしまうことに慣れると、先生の言った「その先」を作り出せなくなるからだ。

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