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ポケカと人の2020年[負けるな、イベント。]

アモーレ。(愛しい人)
CHANGと申します。

web系の仕事をこそこそとやっている傍ら、趣味でポケモンカードのイベントを24年ほどやっています。
2015年からはポケモンカード公式「イベントオーガナイザー」「公認ジャッジ」資格をいただき、うろうろ徘徊しながら活動をしています。

この度、Tonamelのさとけんさん(@saxokenpunx)にお声がけ頂き、Advent Calenderにて記事を書かせていただくことになりました!

さとけんさん、ありがとうございます!
他にもたくさんの素晴らしい方のブログ記事が読めるので、ぜひ皆さん見に行ってみてください。
ちなみに僕の一つ前はゲームアナウンサーとして活躍されているコーリーさんでした。

めっちゃ面白いからぜひ読んでみてください。
僕の読んだあとでな

初めての方もいらっしゃると思うので、簡単な自己紹介の上で本題に入っていきたいと思います。

■ポケカのオーガナイザーとは

ポケモンカードゲームは紙でできたリアルのカードゲームです。なのでゲームをやりたければ自分の目の前のデスクとデッキと対戦相手がないと成り立ちません。
またオンラインのサービス(DCG)はないので、リアルの大会的なものがないと基本的に対戦はできません。
そんなイベントを開いていくのがオーガナイザーたちなわけですが、上述の資格を持っていると販売元である株式会社ポケモンが公式として、例えばイベント開催の告知であったり、参加賞や備品の配布であったりとサポートをしてくれます。
ポケモンカードのイベントオーガナイザーは、自分で考えたイベントを自分の力で、または仲間と一緒に、時には公式の力を借りながらユーザーの「ポケカを遊ぶ場」を提供している人たちです。

で、その一人が僕です。

■触れ合えるイベントの多様性

ひとことにカードゲームのイベントといっても、長い歴史の中でさまざまなイベントが生まれてきました。
公民館やカードゲームショップで行われる小〜中規模の対戦会のほかに、お互いのデッキを褒め合うイベントや、ポケカをつまみにお酒を飲むだけのイベント、セミナー会場で発表・ワークショップをやるなど、
「ポケモンカードを遊ぶ」
から
「ポケモンカードを通じて人生を広げる」
といった形になるほどコンテンツが成長していったのです。

ゲーム系に珍しく老若男女のユーザーが勢揃いしているポケモンカード。
小学校の同級生と遊ぶ子ども、パートナーとプレゼントし合う恋人たち、世界一を目指して日夜特訓を繰り返す親子、会社の帰りに飲み仲間と待ち合わせる新社会人、妻に内緒で好きなカードを買うおじさん、孫を驚かせるために環境トップデッキを握るおじいさん。息子を学校に送り出したのちに大会に出て優勝するお母さん。
一生の趣味として寄り添うことができる、まさに十人十色の楽しみ方ができるコンテンツとなりました。
このままきっと、ポケモンカードを通じて様々なイベントが生まれ、それを通して色々な人が出会い、ドラマを作っていくのだろうなあ、僕もその一助になれば嬉しいなあ、とずっと思っていました。

■触れ合うことが許されない日

2020年初頭。感染症の拡大により、海外はもちろん日本でも緊急事態となり、外出すらままならない期間が生まれました。
もちろん趣味で遊んでいる場合ではありません。各自がそれぞれ、自分の守るべきものを守っていくべき時期として、膝を抱えて嵐が過ぎるのを待ちます。
が、人間として生きている以上娯楽が必要なときもあります。カードゲームが好きな人たちは、外出できないその時期になんとかして遊ぼうと、「リモートポケカ」を編み出しました。
それによってポケカの対戦自体はなんとかできるようになりましたが、先述した人とのつながりを実感することは、未だに難しいままです。

この期間に行われた基本的な考え方は、「オフラインの代替」。
つまり、アレができなかったから代わりに近いニュアンスのコレを、といった「仕方ねーから今はこれで我慢すっか」みたいな雰囲気です。
僕のこの期間にいくつか企画をしたり参画させていただきましたが、根幹となる考えはやはり上記と同じく「アレができないからコレをやろう」という代替文脈のものでした。
それでも、その中で最高のものをやってやろうと思って従事させていただきました。

ただ、あくまでも「代替」という考え方は「今はいいけどほんとはあっちがいい」という心理が根底にあるため、皆が直接触れ合えるイベントや新しい仲間を作るきっかけといったものは依然として求められるものでした。
だからこそ、改めて「いま何が求められているか」を考えていくことが重要になったのです。

■会えないと何がダメなのか

そこで、ことカードゲームにおいて「人に会えない」ことの辛さとはなんなのか、一度列挙することにしました。
この問題を可視化することで、新しい解決策を模索できるのではないか、新しい価値につながるのではないかと考えたためです。

●撮影環境によって、不正の可能性を拭いきれない
ひとつめは、競技環境の不足です。
ことアナログで行う競技においては、その場でお互い同じ条件で対戦をし、それが正常に行われることが大前提となります。
即ち、それが証明できないと競技が成立しなくなるということですが、リモート環境でのポケモンカード対戦はカメラの確度や手札の位置付けなどが個人によって異なるため、真剣勝負という観点ではやや難しいと言われています。
実際、リモートポケカが普及した今でも公式側ではオンライン競技大会は開かれていません。

●対戦以外の余白の時間を楽しめない
ふたつめはポケカを通して行われるコミュニケーションの欠如です。
ポケカの対戦そのものではなく、対戦前後の他愛のない会話や、待ち時間の無駄話といった関係構築に必要な柔らかい時間がありません。
無いというのは言い過ぎかもしれませんが、以前はそれが元でコミュニティが形成されていったケースが殆どでしたから、一人でリモートに向き合い、一戦終わって回線を切ったらまた一人というのは、言いようのない寂しさです。
モニターの電源を切った瞬間、黒い画面に突如現れる自分の顔を見て、我に返る人も多いのではないでしょうか。

●友達と疎遠になりがち
みっつめは、既存のコミュニティの弱体化です。
イベントやお店の常連、仲間内の集まりといった繋がりはwebを通すことによって残ってはいますが、新規の拡大やリテンションといった観点ではあまり活性要素がありません。
SNS等の発達により結束が無くなることはないかもしれませんが、原則として弱まる傾向にあると言えます。
用事があるときしか顔が見れないし、用事を終えたらハイさよなら、という新時代のコミュニケーションに、少なくとも僕はまだ物足りなさを感じています。

以上三点を改めて見据えてみると、
コンテンツにとってそれぞれきっちりクリティカルであることがわかりました。まとめると、
1,新規ユーザーの初期コミュニティ形成の難易度が高い
2,新規ユーザーの形成したコミュニティの持続度が弱い
3,レベルアップする目的の場所がない

ということは、新規が生まれてレベルアップして上位プレイヤーを目指す、ゲームにおけるユーザーピラミッドが満足に形成できなくなっていく可能性が出てきます。

スクリーンショット 2020-12-11 2.10.35

なるほど。
イベントにいけなくてモチベーションが下がるどころの騒ぎじゃあ無くなってきました。
このままだとコンテンツの成長、ユーザーコミュニティの存続に少なからずダメージを受けてしまいそうです。たいへんだ。

■ポケカ×●●=ムゲンダイ、を改めて見直す

ではもうオシマイなのか。
感染症が完全に去るまでヒザを抱え奥歯はガタガタ震え焦点の合わない目で砂嵐と化したテレビを眺め続けていればいいのか、というとそういうわけでもありません。つうか砂嵐のテレビて。表現。

よく考えたらポケカのイベントは色んな形態がありました。
誰に頼まれたでもなく、バーがあればお酒×ポケカをするし、学校があれば学校×ポケカをする。ポケカをしないで食べるだけのイベントもあったし、ポケカを持たなくて語るだけのイベントもあったはずです。

それはつまり冒頭に記載していた「ゲームをやりたければ自分の目の前のデスクとデッキと対戦相手がないと成り立ちません」の大前提に達していない条件(デスクとか、備品とか無い状態)なのに楽しいイベントはできていた、ということになります。

極論、砂漠のど真ん中に放り出されてもその砂漠を利用して企画を考えたりしだす、むしろ「いや、このイベントは砂漠じゃなきゃダメなんだ」なんてとつぜん言い出すのが僕ら変態じゃなかったオーガナイザーだったはずです。(周りのひとは大体困惑しますが、思いつきで困らせるのもまたオーガナイザーの特性です。だいじょうぶです)

でもできるできる。
今だからこそできるイベントがある。

思い出すのです。


オーガナイザーにとって、逆境はメシの種だったということを。



■2021年に食らいつけ。

テレビではやれ本日の感染者は記録最高だやれそれによってあの業種がどうだあの店が閉店だと暗い話が飛び交っていますが、この半年で世間も個人もその話題に慣れてしまった感はあります。
もちろん大変な状況であることは間違いないですが、もう年も明けることですし、それはそれとして受け入れられるものは受け入れて、新しい時代を作っていきませんか

2020年は大変だった。
みんな色んなことを経験した。辛いこともあったでしょう。

だからこそ、2021年は新しい生活様式に沿ったポジティブな年として、イベントを作っていくべきです。

きっとこの時代に即したオーガナイザーもたくさん生まれることでしょう。
そういった新人類の活躍もさることながら、現代人だって負けてはいられません。
今これを見ているあなただって、そのスマホやPC一台あれば、自分なりに楽しむ場を作ることができます
同じように歯がゆい思いをしていた競技プレイヤーたちにその場を与えたり、始めたばかりの遠方のプレイヤーにweb診断サービスをしたりと、ターゲットやゴールによってアプローチの方法はさまざまですが、とにかくなんかはできます。

その中でも、2020年を乗り切ったあなただからこそできるイベントみたいなのがきっとあるはずです。
そして、そういったイベントを楽しみにしている人たちも、会えないだけで実はたくさんいて、待っているのかもしれません。
いないかもしれません。でもやんないとわからないです。

オーガナイザーは、自分が作りたい世界を作ることができる魔法使いです。
邪魔な壁があるなら、装飾してしまいましょう。
できることが限られてるなら、限定戦を開いてしまいましょう。
魔法の力(主に金とリソース)で、やりたい世界を実現していきましょう。

逆境は、全部メシの種です
うまいうまい。ネタ提供サンクス。
そんな気持ちで新年を迎えるのも悪くないもんです。知らんけど。

2021年、どんな人達が生まれ活躍していくのか、
今から楽しみにしています。
そして、僕も負けずに前に進む。

「代替」じゃないあなただけのイベントが、きっとできます。
だから考えましょう。よかったら一緒にやりましょう。
できるできる。もっとできる。



楽しめ、イベント。
負けるな。イベント。

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