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Change.org Japan ステップアップサポート奨学生インタビュー:今田恭太さん

 Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)では、キャンペーン発信者が「社会を変えたい」と願う声を、より強く、より効果的に発信できるように、さまざまなキャンペーンサポートを展開しています。2020年には、キャンペーン活動をより活発にするためのスキルアップを応援する奨学金プログラム「Change.org Japanステップアップサポート奨学金」を創設。第2回も前回に引き続きNPO法人Community Organizing JAPAN(以下「COJ」)と協働し、【第3回オンライン】COJ主催コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップへの参加費を一部サポートすることとしました。

 第2回プログラム奨学生は、今田恭太さん。今田さんは高校1年生のときに「静岡県富士市の全公立小中学校に一刻も早くエアコンの設置を!」(2018年6月スタート)、高校2年生のときに「#nolgbtqphobia 同性愛蔑視表現を含む「バイバイ、ヴァンプ」の公開停止を求めます。」(2020年2月スタート)を立ち上げ、それぞれのキャンペーンで大きな変化や話題を呼んだ発信者です。
 これまでも十分にパワフルな活動を展開してきた今田さんにとって、今回のステップアップサポート奨学金での学びは、どのような意味を持つものとなったのでしょうか。お話を伺ってみました。(このインタビューは2021年3月末に収録しました)


---COJ研修への参加、お疲れさまでした。感想をお聞かせください。

 なによりもまず、今回素晴らしい機会を頂けたことに感謝の気持ちでいっぱいです。

 今回COJワークショップは、正直にいいますと、参加する前は「8時間の研修を2日間行うくらいで、なにが変わるんだ?」とナメていた部分もあったんですが… 甘かったです(笑)とても濃厚で、実践的な学びの時間を過ごすことができました。

 私自身は生粋の個人主義者といいますか、なにをするにしても「誰かに任せるよりも、最初から最後まで自分自身でやったほうが手っ取り早い」と思って活動してきた部分がとても大きかったと思います。
 そんな私でも、今回のグループワーク形式のワークショップはとても実践的で、いろいろな立場の方々と出会い、一緒にプロジェクトを企画していくなかで、チームで動くことの大切さに気づくことができました。

---これまでChange.orgで立ち上げたふたつのキャンペーンは、どちらも今田さん個人での立ち上げですね。Change.orgのスタッフによるサポートはあったと思いますが、それ以外の部分では、今田さんおひとりで動いていましたか?

 はい、そうです。キャンペーン・サポーターの遠藤まめたさんにはたくさんのサポートを頂きましたが、キャンペーン活動自体は私ひとりで動いていました。意思決定が自分ひとりで完結してスムーズに動くことができるのは、大きな利点でした。
 また私自身、「誰かと一緒に活動すると、失敗してしまったときに、失敗をその人のせいにしてしまうかもしれない。失敗を誰かのせいにはしたくない」というこだわりが強かったと思います。個人主義者であることとあいまって、グループでキャンペーンを行うことの利点を見出せないところがあったんだと思います。

 ひとりキャンペーンで大変だったのは、困難に陥ったときに、新たな視点をつくることが難しい、ということです。特にふたつ目のキャンペーンでは自分の気持ちが沈んでしまい、そのしんどさを共有できる相手がいないことで、持ち直すのにとても時間がかかってしまいました。

 今回COJの研修では、「コミュニティ・オーガナイジングのフレームワークをつかって、チームを動かしていく」ことを実践的に学ぶことができました。仮想のアクションプランをつくっていくワークだったのですが、ひとりではできなかった規模のプランを組み立てることができました。
 4月からは大学生になり、これまでよりも大きなコミュニティに所属していくことになると思います。まだどういった活動をしていくかは決めていませんが、どこかの団体に入るにせよ、自分で団体を立ち上げるにせよ、よいチームをつくっていけるように、今回の学びを活かしていきたいです。

---このインタビューは、COJの研修の1ヶ月後(2021年3月末)に収録しています。この1ヶ月の間に、COJの研修内容をさっそく活かす機会はありましたか?

 チームの一員として実践できたことは、まだありません。でも、自分自身の振り返りと、これからのことを考えるのに、COJの学びはとても役に立ちました。
 今回のワークショップでは、グループの作り方だけでなく、コーチングの手法など、個人の考えをまとめる方法も、たくさん学ぶことができました。特に私の印象に残ったのは、パブリック・ナラティブ(註:公の場で語る、人の心を動かす物語のこと)の構築です。
 これから大学生になるにあたり、自分がなぜこの大学を選び、学びたいと思ったのかをきちんと言語化することに、この1ヶ月間挑戦してきました。COJでは、ストーリー・オブ・セルフ(註:自分が行動する動機の語り)を構築するときに、困難・選択・結果の3つに注目することを教わりました。自分自身の思考や選択の傾向を改めて知ることができて、とても有意義でした。

---せっかくなので、大学で学びたいと思うことを聞かせて頂けますか?

 この春から進学する大学での学修計画を組むにあたっては、LGBTQに関するキャンペーンの経験も振り返り、自分はジェンダーの問題に特に関心が深いことを、改めて実感しました。
 また、これまでのキャンペーン活動を通じて大事だと思ったのは、子どもの権利についてです。高校生の立場でキャンペーン活動をするなかで子どもの意見表明権に関心を持つようになりましたし、子ども食堂を開く経験にもつながりました。
 このふたつを軸に、大学での学びを最大化させていきたいと思います。

---Change.orgは16歳以上からキャンペーン発信ができるサイトですが、今田さんのようにキャンペーンを始める高校生はまだ珍しいのが現状です。また特に日本には、「若い人が声をあげる」ということだけでもバッシングが起きる傾向があり、今田さんもに大変なご経験があったことと思います。高校時代の活動を経て、これからはどんな活動をしてきたいと思っていますか?

 これまでの自分は、正直に言いますと、「高校生である」ということを「盾」だと考えて活動してきました。でもこれからは、「高校生」という「盾」がなくなってしまい、すべてが自己責任になる。矢面に立つ機会も増えていくだろうと思っています。でも、大学生になることで、持ちうる資源はもっと大きくなりますし、視野も広がっていくと思います。そうすれば、より多くの人を助けることができますよね。
 世界的にみても、また日本でも、18歳は子どもから大人へ変わる歳だと思います。自分の意見が誰かを傷つけることがある、ということにも気をつけながら、これからも発信を続けていきたいです。

---今田さんはこれまでのキャンペーンでも、十分に矢面に立っていたと思いますよ!それに、どちらもそれぞれのかたちで、多くの人を助けるキャンペーン活動だったと思います。今後の活躍も応援しています。Change.orgでもまたキャンペーンを立ち上げてくださいね。

 ありがとうございます。

---それでは最後に、今後「Change.orgステップアップサポート」に応募する方へ、メッセージをお願いします。

 まず… COJの研修は、めちゃくちゃ疲れます(笑)18時に研修がおわって、すぐにベッドに倒れてしまったことを、今でも覚えています。でも、どの項目も新しい体験と発見にあふれていて、「次の日から活かしていきたい」と思いましたし、もっと早く知りたかったことばかりでした。
 私みたいな個人主義者には特に、当事者性をもって考えにくい部分も最初はあったんですが、自分自身、そしてチームの能力の最大化を目指して、ぜひチャレンジして欲しいなと思います。

Change.orgでは、今後もさまざまなかたちで、なにかを変えるために声をあげる皆さんを応援していきます!第1回奨学生・谷口歩実さん(#みんなの生理 代表)のインタビューも、この機会にぜひお読みください。
また、7月31日・8月1日に開催されるCOJワークショップにも、新たな奨学生を派遣します。秋口にインタビューを掲載予定です。お楽しみに!