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ロンリー・プラネット―私と世界との出会い

ロンリー・プラネット(Lonely Planet)英語では「孤独な惑星」という意味になりますが、これは英語圏の国々で出版されている旅行ガイドのこと。日本でいえば「地球の歩き方」と同じようなものですね。さて、私はこのガイドブックを手に、22歳の時、ニューヨークに留学しました。初めての海外、初めて独りで乗る飛行機。すべてが初体験でした。それが私の今に至るまでの人生のコアになる部分をつくったのだなと思います。ブログでは、私の留学体験を綴っていきたいと思います。

留学なんて珍しくもないし、多くの人がしているでしょう。けれど私がアメリカで学んだのは当時は少し変わった学問「ジェンダー・スタディーズ」というものでした。当時はまだ「フェミニズム」とか「Woman Study(女性学)」などと呼ばれていました。当時、私も周囲から「どうしてそんなわけ分からないものを勉強するために、わざわざアメリカなんか行くの?」と訊かれました。当時の友人たちからすれば、私のやることは謎だらけだったことでしょう。けれど私はこれを学びたいなと心から思ったのです。

その理由は1:当時の日本ではまだしっかり勉強できる大学がほとんどなかったから。当時、私は吉祥寺にある東京女子大という所で女性学のクラスを取っていて、フェミニズムってなんて面白いんだろうと感動していました。先生たちも魅力的だし、学問なのにユーモアに溢れている! けれどこれを専門で学べる大学は日本にはまだなく、ならばいっそ本場アメリカに行きたいと思いました。アメリカには「女性学部」なる学部がちゃんとあって、様々なカリキュラムやインターンシップのプログラムまで揃っていたのです。

理由その2:とにかく何か変わった勉強がしたかった。一般の人がやっているようなコンピューターサイエンスとか、経済学とかじゃなく、なんじゃそりゃ?と思われるようなものを勉強してみたかったから。

そういうわけで、私はニューヨークへ旅立ちました。時代は1997年。まだ911が起きる前の平和なアメリカでした。当時は銃乱射もなかったし、テロも遠い世界の話。「アルカイダ」も「IS」も聞いたことありませんでした。空港では足の裏まで検査されるなんてことはありませんでした。(のちに友達とカリフォルニアへ旅行した時など、パスポートを持っていくのを忘れたけれど、学生証を見せただけで「OK」とアテンダントから軽く言われて飛行機に乗せてもらったこともありました!)

私はアメリカで、大学→インターンシップ→大学院と進み、卒業して帰国してからも度々、アメリカを訪れては、夏の授業だけ母校のティーチング・アシスタントをさせてもらったり、また、お世話になっているヒスパニック系アメリカ人の教授や韓国系新移民の先生などとの触れ合いを通じて、今でもアメリカの大学生と語る機会があります。911の時、私はサンフランシスコの大学院にいました。あの出来事は、他の誰もがそうであったように、私の人生観をも覆しました。続く、アフガン空爆は絶望的な気持ちでただニュースを眺め、翌年のイラク戦争開戦の時は、私もサンフランシスコで反戦運動に参加しました。開戦初期の反戦運動は激しいもので、パトカーの上にのって棒で警官を殴ったり、町の路面電車を人垣で止めて、乗客たちにも反戦運動への参加を呼びかけたりするものでした。しかも連日続きました。

けれど当時の新聞「サンフランシスコ・クロニクル」はこのニュースを報道していません。町の機能が停止するほどのデモが連日行われているのにもかかわらず、当時のメディア(特に新聞)は市民の反戦のニュースを伝えませんでした。

私の周りにはイラク戦争に心から反対するアメリカ人が大勢いたのに、(今でも彼らはそう思っています)、世界からはまるでほとんどのアメリカ人が中東への攻撃に賛成しているような印象を持たれてしまうのは、とても残念なことです。

個人と国家の政策は違う。当たり前のことですが、これは私がアメリカで知ったことのひとつです。人は一人一人、皆、考えは違うし、もちろん共通するところもあるけれど、人間を一枚岩的に見ることは、結果的に間違いを犯すことになります。これは中東問題に限ったことではなく、現在の日本と中国、韓国などとの関係性にも通じることだと思います。

さて、話は戻って、アメリカで学んだジェンダー・スタディーズはいったい何だったのか? これから様々な角度から皆さんと少しずつ、回を重ねてシェアしていきたいと思います。「大学1年生の時は・・・、2年生の時は・・・」などという退屈な書き方はしません。みなさんが面白いかなと思うトピックを私なりに想像しながら、紹介させていただきたいと思います。

最後に、なぜ、今更自分の過去の留学体験をブログに書こうと思ったのかについて、ちょっとだけ話しておきますね。インターネットのおかげで、今はわざわざ海外に行かなくても様々な外国の映像もニュースも手に入る。高い画素数のおかげで臨場感にもあふれています。ネットの普及&不況のせいで、留学する日本人も私の頃と比べて激減しました。当時は、ニューヨークのアパートの1フロア―全室が日本人留学生などということも、珍しくありませんでした。それが今では、日本からの留学生は珍しいくらいの少数になった。中国人留学生はぐんと増えているのに。

若かった当時の私は勢いだけで飛べてしまったけれど、確かに、実際に留学するのは易しくはない。けれど、実際に足を運んでみるのは、映像で見る海外とは違います。なので、外国に興味がない人でも面白いなと思ってもらえるような文章を書いていきたいと思います。

そして、もしこれから留学したいと思っている人が読んでくれるなら、私のブログが何かの参考になれば、こんな嬉しいことはない。

それから、現在すでに海外留学中の方々。このnoteの参加者の中にもオンタイムで留学話を発信している方々がいらっしゃいますね! 私は彼らが本当に羨ましい! 現地で感じたこと、悟ったこと、疑問に思ったことをオンタイムでまだ知らない多くの人々とシェアできるのだから! なんて恵まれているのでしょう! 私の頃はまだビルゲイツという人物が話題になり始めた頃。「ビルゲイツ」というタイトルのペーパーバッグ本を読むことが最先端のおしゃれでありました。当然、SNSはなく、携帯電話だって一部の人が持ち始めたばかり。それほど昔のことではないのに、時代の進歩の速さに圧倒されます。

それでは、みなさま、これからどうぞよろしくお願いします!

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