ほくろ

初めてほくろをとる

20代後半から目の脇にちょこんといるほくろ
そういえば母は年々耳脇のほくろが大きくなっている。

一旦気になると、とっても気になる。気になる。

喘息の理由を見つけるために、金属アレルギーのアレルゲンを特定すべく
美容クリニックに駆け込んだ。
5000円で25種の金属を測定するために背中にパッチを貼り、
48時間後に測定する。

でもさ。美容クリニックって初めて入った。
きれいな内装に細やかな配慮の看護師さん。
ちょっと興味が出て、聞いてみた。

「ここって他にどんなことができますか?」

美人の看護師さんが丁寧に答えてくれた。

「例えば…ほくろの除去とかできますよ。1mm¥1000で痛さも少なく時間もそれほどかかりません」

え?ほくろ?



母の耳脇のほくろを思い出した。
年々大きくなっているように思うほくろ。
実は自分のほくろもそうなるのかなってうっすら怖かった。

私は看護師さんに自分の目元にあるほくろを指さし
「これ、大きくなるような気がするんですけど、取れますか?」

正確には医師の判断でだから何とも言えないけれど、私が思っているより気軽にできるようだ。


私は即予約を入れ、ほくろとさよならできることに心躍った。
でもそんな様子を見て旦那はとても不思議がっている。
「今まで君のそのほくろに僕は違和感なかったから、なんでそんなに除去を喜べるかわからない」
なんていうのだ。さすが、モテない男。いや、優しさか?

大きくなるというのは恐怖だ。
自分の経年を目に見える形でつきつけられるようだ。
白髪が増えるのと同じようなもの。


予約の日、初めて美容クリニックの施術を受けることに私は小さな緊張をしていた。痛いのかな?跡は残るのだろうか…
施術予定の2時間前にはフィルム状の麻酔を貼るように指示された。
透明なフィルムを貼り、基礎化粧も控えて来院。
リクライニング仕様のコンパクトなベッドに清潔な室内。
Co2レーザは仕事でも身近なものなので、これで美容が改善されるなんて変な気分だった。

女医さんは私より若いかもしれない。きっと若い。
控えめなメガネに地味なまとめ髪。
先日とは異なる医師だけれどそれは気にならなかった。

とにかく緊張した。
目元の麻酔テープは果たしてちゃんと働いてくれてるだろうか。
レーザを当てたら痛いなんて怖すぎる。

緊張する、緊張すると話したらゴムボールを貸してくれた。
ニギニギして緊張をほぐすというのだ。
んー。効果なし!

ほどなくして準備は進み、目に保護用のマスク。きっとこれウルトラマンみたいになってるよ。

いよいよ!
ターゲットに局部麻酔!さし口は感覚ないけど、金属がゆっくり入ってきている感覚はある。

「いきますねー」

ジリ…ジリ…ジリリ

ん?


ん?


なんか臭い。


おー!!これはもしや、私が焼けている匂い


なんだか不思議。
本来死ぬときにしかわからない、自分の細胞がやける匂いを
清潔なベッドの上で自分で嗅ぐのだ。
不思議、不思議すぎる


そんなこと考えているうちに
処置は終了。

薬を塗ったくるわけでもなく、保護テープを貼って終了。

五分くらいかな。緊張したぶんあっけない。
女医さんはデスクに案内し、小さな瓶を私に見せた。

「これが切った方の細胞です。ホルマリンにつけてあります。一応の病理検査に出します」
ホルマリンって久しぶりに耳にした。

ほえー、これが私の一部だった細胞。
出産を経験しているので直前まで私の細胞の一部だったのに、今すでに異なる細胞を私は何回か目にしている。


今。私の目元には保護テープがついている。
術後10日くらいは貼り替えながらも続ける必要があるそうだ。
これが嫌だった。なんだかおばあちゃんのこめかみテープのように見えそうで抵抗があった。でも成長するほくろにはそんな悩みは小さなものだった。


さよなら、私の細胞。私の元ほくろ

10日後にはスッキリとした私が待っている


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