ちゃめ

都内独身アラサーOL 楽しいことも、しんどいことも、感じたまま、書いて残して、しのぐ。

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最近の記事

雨とシャワーと雫

この頃は真夏とは思えない涼しさで、 むしろ肌寒いくらいで、部屋の窓を閉めた。 雨の音が通気口の奥から静かに聞こえてくる。 たまにスチール製のベランダの柵に大きな雫が飛び跳ねて、ポーンと空っぽな音が鳴り響く。 夜、お風呂に入る。 シャワーノズルから出る小さな粒が頭皮を心地よく刺激して、その粒たちは髪をつたって集まり、そして肩に背中に滑り落ちていく。 目を閉じて、その一連の流れをしっかりと感じる。 剥がれていく。 流れ、渦の中に吸い込まれていく。 消えていく。 移ろう。 いつ

    • 何色に見えるか

      空気がふわっと軽くなって すこし鼻腔が痒くなってきた季節に 大きなしがらみから解放されて 私はありきたりながら 自由な身を手に入れたんだと 浮き足立っていた 視界が開けた あの頃から3ヶ月 息が吸える 深呼吸をして、ふと。 前にも横にも誰もいないことに気づく ただただ広くて 遠くまでひたすら 見晴らしのいい景色が続いているようで それでいて 一歩先に何があるのかよくわからない 煙のようにふわふわしていて なんだか暖かそうにもみえて 確実でないものが先に広がっている

      • おじさんへの弔い

        おじさんが亡くなった 小さい頃毎週のようにおばあちゃんちに集まって 毎回おじさんが来るのを待ちわびて お馬さんとか柔道のしかけ技とか よくじゃれあって遊んでもらっていた 小さい頃、お父さんではなくおじさんと結婚したいとよく言っていた 毎年誕生日近くになると 四輪の大きくてゴツゴツした車で家まで迎えにきて 誕生日プレゼントを買ってくれるためのデートへ連れて行ってくれた おじさんは喫煙者だったから、 車は吹き出し口にいくつも芳香剤が取り付けてあって、人工的な爽やかな匂いが

        • 金木犀の花が長雨で散った

          空気が軽くなってきた。 夜には風がTシャツの袖をすっと通り抜けて、汗を冷やしていく。 そろそろ上着が恋しくなってきた。 仕事終わりに無意識にスマホを開いて、ため息をつく。 通知の数はさっき見たときと変わらなかった。 ため息をもう一つついた。 モヤモヤしたものは、頭の中にこもって離れてくれない。 きらびやかなショーウィンドウが整列するこの並木道は、近頃人気が少なく静かだ。 私は気分転換に隣駅まで歩いてみることにした。 歩き始めるとスマホが鳴り、通知がきた。 今日も

        雨とシャワーと雫

          みんなたいして変わりないという現実。

          こんな辛いのは、わたしだけ。 なんでうまくできないんだろう。 悩んでいる自分の内側で 実は誇らしさが見え隠れしている。 壁が大きく見える。 大きくて越えられない。 しんどい。 裏を返せば。 その壁は、今まで見つけられなかったところに たどり着いたことの証明。 私が見つけ出した秘境。 見つけられた自分に優越感を覚える。 さて登ろう。 壁に手をかける前に、状況確認しようと よくよく目を凝らしてみた。 すると、壁にはたくさんの足跡がついていた。 左右に目を配れば、長く続

          みんなたいして変わりないという現実。

          愛おしきバカ誕生

          頭がいい人はみんな知っている。 考えると悩むをはき違えるな。 ポジティブと脳天気も。 反省と自己否定も。 優しさと甘えも。 深さと重さも。 割り切りと諦めも。 そうして、前者と後者を切り分けた。 ただ、私にはその先が見えない。 本当は、こんな私であったりはしない。 考えろ考えろ考えろ。 正しく生きろ。 と、迷宮迷路にはまっていく。 自分を恥じ、表情は陰る。 思考停止。 フィルター越しの鏡をみて自己陶酔。 片手にはロックのお酒。 もういいか。 愛お

          愛おしきバカ誕生

          日曜日の深夜

          AM2:00 デスクの椅子に深くもたれかけて 本当は喫煙不可である部屋でこっそりと電子タバコをふかす。 まっさらなノートをボーッと見つめている。 適切な言葉が浮かばない。 でも残したい。 今日は女友達と集まって、綺麗に着飾って あえてスマホではなくインスタントカメラを使って思い出を残した。 インスタントカメラのフラッシュは手動で、ついついスイッチをつけることを忘れてしまう。 現像したらきっと真っ暗だろう。 写っていたはずの友達の笑顔は真っ暗の先あって確認すること

          日曜日の深夜

          せめて終わらせて欲しい

          せめて終わりが欲しい。 何度目の失恋だろう。 「楽しかった。またね。」 「楽しかった。ありがとう。」 改札を通る時、振り返って彼の笑顔が見えた。 なんてことないいつもと変わらない別れ際の挨拶だった。 なぜか、これが最後だってわかる瞬間がある。 この時がまさにそうだった。 振り返った時間は一瞬だったのに、 彼の顔はスローモーションのようにゆっくり見えて、 残像として残り続ける。 案の定、彼と続いていた連絡は途絶えてしまった。 旅行の計画を立てて喧嘩したり、 無

          せめて終わらせて欲しい