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都市部の災害リスクって?-第9回だれ一人取り残さない防災研究会(ゲスト:大水敏弘さん)

みなさんこんにちは。チャレコミ防災チームの瀬沼です。
今回は1月26日に開催した第9回の勉強会の様子をお伝えします。

ゲストのご紹介

今回ゲストにお越しいただいた大水さんは、研究メンバーの一人であるETIC.の山内が別の機会に首都圏の災害リスクについての話を聞いたことがきっかけでお声がけさせていただきました。これまで地方での災害対応や、その時にどのようにして物資を届けるのか?といった話題が多かったのですが、改めて自分たちの足元でもある東京を中心とした首都圏の災害について考えたい。ということで大水さんの問題意識やこれまでのお取り組みをお伺いする機会を設けました。

東京が抱える災害リスク

関東大震災が起こったのはちょうど100年前の1923年。
東京は世界の中でもダントツで災害リスクが高い都市です。

大水さんは東京が抱える災害リスクを①震災②風水害③富士山の3つの視点からお話しいただきました。

災害時に必要なのはエネルギーと食糧ですが、東京はどちらも自給していません。物流が途絶えればスーパーやコンビニの棚もからっぽになってしまいます。そうした観点からも東京は建物が密集している以外にも災害時にはリスクを抱えていることを共有いただきました。

都市部と第2の頼れる場所を

当日は、東京や関東圏に在住するメンバーが多く参加していたこともあり、何かあったときに頼れる場所をつくっておく必要があるのではないか?という問題提起もされました。東京だけでなく頼れる地方をつくっておくことはリスクヘッジの観点からでも有効ではないでしょうか。

また東京都は人口の増加率・所得・女性の労働力などの指標がTOPので、食料自給率・地縁団体数・出生率などの指標は47都道府県で最下位の指標も多く、二極が進んでいるとのこと。
首都圏で大きな地震が起こったとき、仮設住宅をなかなか立てる場所がない中でどうするのか?という中でどのように暮らしを再建していくのか?についても難しい問題。周辺の賃貸住宅などを活用するなどの案もありますが、実際個々人の状況や、価値観によって自己判断しないといけない面もあって、行政としても方針を出しにくい部分があるのでは?というコメントも参加者の方から寄せられました。
関東大震災の時には100万人もの方々が被災し、遠くの親戚を頼る人も多くいるなか、近隣の人の家にお世話になっていた人もいたとのこと。しかし、兄弟が少なく、核家族化が進む中でこのような動き方は難しく、個人に委ねられる部分がどうしても大きくなってしまう際の懸念なども議論されました。

地方の魅力を体感するために生産する側に回る

ただし、現状では地方都市も東京に比べて必ずしも魅力的なものになっているわけではありません。地方に住んでいる人も「消費する側」に回ってしまっていることが魅力を体感しきれない一因なのではないでしょうか。

これまで消費者だった側が供給側に回るような仕組みの一つとして、ジャガイモ焼酎を生産し始めた取り組みや団地の中のJAZZ喫茶が住民の方々の交流となっている事例などもご紹介いただきました。

住んでいる場所のリスクを知ることからはじめる

現在東京に住んでいる方も過去に被災した経験がある人は多くはないかもしれません。しかし、過去の災害経験をもとにリスクを検討し、被害状況の想定も公開されています。

現在、多くの自治体は「ハザードマップ」を公開しています。
岡山県の真備の風水害の際も多くはハザードマップで想定されていた被災状況が発生し、50名もの方が亡くなってしまったとのことでした。

しかし、現在はその地域に暮らす人や家庭一人一人の状況が違うため、行政だけに頼っているだけでは自分の身を守ることは難しいのが現状です。まずはリスクヘッジの観点からも今の自分の暮らしの裏に潜むリスクを「知る」ことから始めてみようと思いました。
次回の勉強会は、2月20日(月)に開催予定です。

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「だれ一人取り残さない」防災研究会とは…
①災害が起こったときには日常からのつながりが重要になる。そのために、日常から学びあい、つながりをつくること。
②研究会に参加するそれぞれの主体が自分たちの防災・災害支援に対しての実験を相談したり実際にやってみたりする機会にすること。
を目的に毎月第3月曜日(祝日の場合は翌日)に研究会を開催しています。ご関心のある方は以下のフォームからお問合せください。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdBa7sljKtAXvjGJp9VvAgICc9rc2E1iC6JGmUZiWTNoRIUjg/viewform


チャレンジ・コミュニティ・プロジェクトでは、地域で挑戦が生まれ続ける生態系をつくることをビジョンに、地域の中に多様なプロジェクトを生み出すメンバーと協働プロジェクトを実施しています。
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https://www.challenge-community.jp/

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