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ウィトゲンシュタイン『ありそうでない言語ゲーム』

今日は『ありそうでない言語ゲーム』をしようと思います。

このゲームはかの有名な分析哲学者ウィトゲンシュタインが考案したものです。


ルールは簡単。

ありそうでない〇〇の名前”と言う風にお題が出ますので、

どちらがより分析哲学的に「あるある」と思わせる名前を出せるかが勝負になります。


どっちが本物のあるある探検隊か、これで僕と勝負しましょうや。

もう血が騒いでしょうがないんですわ。


それでははじめましょうか。生命の“奪い合い”を...。


~~~~~~~ 闇のゲーム開幕 ~~~~~~~


お題①: ありそうでない『インターハイ決勝で当たる強豪校の名前』


いくぜ。トップスピードだぜ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー帝門高校


ドボンヌ‼︎

「ごはっ?!」


強烈なあるある校名の一撃が、身体の中心にめり込む。

ありえないほどの慣性を体全体に感じながら、後方に大きく吹き飛ぶ。


ーーー今の一撃で終わると思いましたかな?

「なッ?!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーー王城学院


ーーーーーーーーーーーーーーーーー獅子山高校


「か...は.......!」(連撃が...止まらねえ...!!)


ーーーーーーーーーーーーーーーーー寿恩院学園 (しまっ...! 私としたことが!)


ドゴォ!!

「ぐっ......」

「な、なんであいつの方がダメージを...?」


「簡単なことだニャ~」

セシル?!

「ヤツはいまのラッシュの最中に誤って

“部活メンバー全員が坊主の、宗教系の強豪校名”

を言ってしまった。その反動が来たんだニャ」

「間一髪だったぜ...」

「でも、ゆっくりはしてられニャいみたいだよ?」


舞い起こる爆炎の奥に、ふたたび巨大な影が浮かび上がる。

「はっ...。第2ラウンド、開幕だぜ」



お題②: ありそうでない『地元にある商店の名前』


香雲堂(仏具店)」 「スーパー 松尾(スーパー)」

めがねの浦田(眼鏡屋)」 「コミュオ・マート(スーパー)」

スナック 縁(スナック)」 「フードショップ ヤハギ(スーパー)」


ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

激しい剣戟の応酬が続く。


「いい剣戟の速さです。 しかしさきほどからスーパーの店名が目立ちますぞ?」

「ケッ! そいつは忠告ありがてえ...こった!!」

ギィン!!


振り抜いた一閃の重さで、相手との間に距離を作ることができた。

正直に言って、レイヴィル卿の方が技量・パワーともに上なのは明らかだ。

このまま剣を合わせ続けての消耗戦は負け筋だ。


(.......さて、ここからどうする?)



お題③: ありそうでない『みちょぱの芸名の苗字』


「城之内 みちょぱ」

「増田 みちょぱ」

ギィン キンッ


「美濃田(みのだ) みちょぱ」

「みちょぱ・みちょぱ」

ブシュッ!! ザクッ…


(......くっ!)

瞬きの間でも気を抜けば圧し潰されそうなレイヴィル卿の斬撃。

それを何とかいなしつつも、次第にその剣先はこちらの体に食い込むようになっていた。


理解に苦しみますね...剣聖ジークムントは何故あなたを後継に選んだのでしょうか

――――ッ!


闘いの最中、もっとも聞きたくなかったその名を突き刺される。

今まで張り詰めていた気迫が、剣を握る指が、熱を失う。

「はは...こんな辺境地の貴族のあんたなんかには絶対分かんねえよ。

 俺とジークがどれほどの死線をくぐってきたかはな」

「我々の時代であれば、あなたは初陣で散っていたことでしょうに」

「うるっせえよ!! 嫉妬してんのか知らねえがもう黙ってろ!」


激しい怒気が体の中を駆け上がるのを感じる。闘いの恐怖や緊張といったものとは違う、どす黒いものが膨らむ。

こいつはジークに選ばれた俺に嫉妬して醜い当てこすりを寄越してやがる...。

力の差を見せつけて殺す必要があるみたいだ...。


「とにかくこれからは俺がジークの後を引き継ぐ。

それが信頼された俺の義務だ。あんたなんかに躓いてられないんだよ」


「これは単純に疑問なのですが...

 剣聖の命との交換で残ったのがあなたでは軽過ぎる、ご自分でそう思われませんかな?

――メギドラオン!!

「だめだアキラ!!」 (やつに...魔法は......!!)


怒りの衝動のままに放つ全力の一振りに、魔力を上乗せる。

莫大な量の魔力が変換された熱衝撃波がレイヴィルを捉える。


果てしなく思えた、濁流のようなエネルギーの奔流がようやく収まった。


ーーそれがあなたの切り札だったわけですか



お題④: ありそうでない『歴史上の事件名』


「...何..........だと......?」

すべてが灰燼に帰された光景が広がるはずのそこにはーー。


何事も起こり得なかったかのように全てが在り、ただレイヴィルの剣の切っ先がこちらに向けられていた。

レイヴィルは構えた剣を寸分も動かさないまま詠唱した。

「ーーーーーーーーーーーーー田島騒動」


次の瞬間、レイヴィルとの間に広がる空間が黒い爆炎に包まれる。

そのわずか数瞬の後よりは、記憶がない。



~~fin~~

暴食の魔剣を持つレイヴィル卿には魔法攻撃はすべて吸収され、

あるあるの斬撃しか通じないのです。


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