1浪は現役より受かりやすい?平成25~30年度までの医学部合格率の推移をまとめてみた
みなさん、こんにちは!はじめてnote投稿をしてみました。医学生のよっしーです。
結構前の話になるんですけど、みなさんは「2018年における医学部不正入試問題」って覚えていますか?文部科学省前局長の佐野太さんが、東京医科大学の入試で息子を裏口入学させた汚職事件です。同大学を私立大学支援事業の対象校選定に入るよう便宜を図った見返りとしての不正合格だったそうです。
そちらのスキャンダラスな話も面白いんですが、今回はこの不正事件をきっかけとして文科省が行った医学部医学科を置く全国公私立大学を対象とした入学者選抜における公正確保等に係る緊急調査についてまとめようと思います。
おもに①医学科受験者はどの年齢層が多いのか?②医学科合格者はどの年齢層が多いのか?③受験者の平均年齢と合格者の平均年齢の差は?④各年齢別の合格率は何%なのか?について調べるためグラフを作ってみました。
1. 入学者選抜における公正確保等に係る緊急調査は何を調査したの?
大雑把に言うと平成25年度から平成30年度までの全国の医学部医学科の受験者数、合格者数を男女別、また年齢別で調査しました。細かく分けると下の2つとなります。
①過去6年間の医学部医学科における男女別・年齢別の受験者数、合格者数、合格率(合格者数/受験者数)
②国公私立大学医学部医学科の入学者選抜における男女別合格率(合格者数/受験者数)
2. 医学科受験者はどの年齢層が多いのか?
それではまず、受験者はどの年齢層が多いかですが、平成30年度では総受験者数125,173人中、1位は現役(18歳)で37,634人、2位は1浪(19歳)で36,353人、3位は4浪以上(22歳以上)で20,709人という結果となりました。
平成25年度から平成29年度までの他の年でも、現役か1浪が最も受験者の年齢層で多くなる傾向がありました。他の年の結果は最後のエクセルファイルのなかに入れていますので興味のある方はダウンロードしてください。
3. 医学科合格者はどの年齢層が多いのか?
次に、合格者はどの年齢層が多いかですが、平成30年度では総合格者数13,409人中、1位は現役(18歳)で4,898人、2位は1浪(19歳)で4,823人、3位は2浪(20歳)で1,936人という結果となりました。
さきほどと同じように、平成25年度から平成29年度までの他の年でも、現役か1浪が最も合格者の年齢層で多くなる傾向がありました。ただ過去6年のうち現役が合格者のうち最も多かった年は2回、1浪が合格者のうち最も多かった年が4回だったため、感覚的には1浪の方が合格者が多いと言えそうです。ただ1浪をすぎると年齢を重ねるごとに合格人数が減っているのが読み取れて悲しかったです。
4. 受験者の平均年齢と合格者の平均年齢の差は?
受験者と合格者の平均年齢の推移は下のグラフのようになりました。ただしこのグラフでは、緊急調査の表で22歳以上の受験者数、合格者数がひとまとめにされていたため、便宜的に22歳以上を22歳としてカウントしました。
過去6年分のデータからは受験者の平均年齢は約19.6歳、合格者の平均年齢は約19.2歳となっており受験者に比べ合格者が約0.4歳分若いことが示されました。
5. 各年齢別の合格率は何%なのか?
最後に私が一番言いたかったことを言います。ズバリ、1浪は現役よりもうかりやすいということです。
下のグラフで示すように1浪は合格率が13%付近、現役は合格率が12%付近で推移しているのが見て取れます。また、年齢関係なく全受験者の平均合格率は11%で推移しており、2浪は10%で推移しています。
また、1浪をすぎると年齢を重ねるごとに合格率が下がっているのが読み取れました。平均合格率を超える年をもつ世代が現役、1浪、2浪という結果になりました。
6. 個人的感想
今回の緊急調査をグラフをまとめてみて思ったのは、3浪から合格率が減っていくため、浪人するなら1浪、2浪の段階で医学科合格を決めないと厳しいということです。また、全国どこの医学科を狙うにしても毎年平均合格率11%の壁を越えなければならないため、今年はまあ一浪目だからいいだろうと気軽な気持ちで遊べないんだなと感じました。驚いたことは1浪の方が現役よりも合格率が高いことです。先生が「現役で決めないと医学部は厳しい」といったのは必ずしもそうじゃないということが示されました。
考えてみると一浪はまだ地域枠の選考基準にも入っているため合格率が高くなるのではないかということ、そして3浪からは多浪を避けて他の学部(獣医学部、薬学部)に入る安全策をとる人が多いため、受験者数及び合格率が下がるのではないかと予測されました。ただ多浪で医学部に入っているという同級生もちゃんといるので、3浪以上から合格するというのも決して無理な話ではないと思います。