文系こそChatGPTを使え! 考え方を変えたら世界が広がった話
「AIって、調べ物をしても嘘ばかり返ってくるし、まだまだレベル低いよね」
あるいは、
「相談とかしやすいけど会話っぽいことができるだけでしょ。仕事には関係ないや」
とか、
「あっという間に仕事をAIに奪われるとか散々脅す奴らいるけど自分の仕事いつまで経っても減らないし、なんなら残業だらけなんだが? 自分の業界にはそんな時代こないっしょ」
なんて、どこかAIを使わない理由を探していませんか?
実はそれ、完全に理解不足。AIの本当の力をまだ知らないだけかもしれません。少なくとも、あなたを除くあなたの周りでは着々と、そして静かに業務効率化が進んでいます。
ChatGPTは、ただの検索ツールでも魔法の杖でもありません。Googleが「既存の答えがあるページを探す」ツールなら、ChatGPTは「情報を元に新しい形でアウトプットを生み出す」のが得意な対話型AI。仕事も日常もさまざまな部分を効率化するポテンシャルを秘めた相棒なんです。
「でも、自分みたいな文系には使いこなすのは無理でしょ?」と思ったあなた、むしろ文系だからこそ使うべきです。ChatGPTは文系の仕事でも、いや文系の仕事こそ、大活躍します。なんたって、あまねく世界中の情報を網羅的に拾ってきた上で問題解決に必要なことだけを体系的にまとめて一から十まで丁寧に教えてくれたり、人前に出しても何ら恥ずかしくない形に整えた上で提供してくれるんですから。
「これやるの誰か手伝って」「これどうしたらいいの」
あなたがふと思った願望を、ちょっとした命令の工夫だけで叶えてくれるドラえもんみたいなもの。今回は、一ヶ月でChatGPTを使いこなし、真の使い手になるための意識改革と活用法をお届けします。
ちなみに、僕も最初は「業務で使う具体的なイメージが湧きづらいし、自分の場合は使えるシーンが非常に限られているな」と思っていた派。ずいぶん前に一度有料プランで使っていたけど、割と早々に課金を止めていたぐらいですからね。でも、改めて意識を変えて触り始めると今や手放せない存在に。むしろChatGPTなしでは仕事が進みません。一ヶ月あれば十分に僕と同じ景色が見えてくるはずです。
なお、本記事はChatGPTの有料版を前提として記述します。無料版では、現在のところ高度なプログラミングや、ファイルを添付しての中身の解析などに対応していません。
AIが「使えない」と感じる理由
ChatGPTを使ったけど、なんか期待したような結果を返してくれない。これ、よく聞く話です。
でも、その原因、実はあなたの使い方にあるかもしれません。冷静に考えてみましょう。多くの場合、次の2つが原因です:
AIを”ただの”検索エンジンのように使ってしまう
一方的な指示で完璧な答えを期待してしまう
Google先生は既存の情報を引っ張ってくるのが上手い。Google、ChatGPTどちらも検索フォームみたいなものが画面の中央にデンとおいてあるので似たような利用を連想してしまいそうですし、世界中の情報を元にこたえてれるなんて半端な情報からChatGPTをイメージすると「一回の検索で、ありとあらゆるページから情報を探して検索結果を返すのが得意」なようにも見えます。でも、ChatGPTはそういう道具ではありません。Google検索の上位互換的なイメージで考えると最初からつまづいてしまうでしょう。
ChatGPTは「情報を加工して、新しい形にする」ことが本懐の対話型AIです。
「これやって」「あれ調べて」みたいな一方的かつシンプルな指示だけで力を発揮するものではなく、対話を重ねる中でアウトプットの精度を上げながら、複雑なお題に対する答えを導くのが得意なんです。
ChatGPTは「気の利く助手」というより、「一緒に考える仲間」に近い。使い方を変えるだけで、まるで別人のように頼れる存在になります。
ちなみに対話型と聞いて、とりあえずおしゃべりの相手してくれるんでしょう? なんて思って雑談相手に指名するのも、もちろん間違いですからね。いや、雑談相手を欲しているなら、自分好みの会話の達人に育てることに注力するのも間違いとは言いませんが……。
自分の状況を洗い出してAIに丸投げしてみる
「そもそもChatGPTで何ができるのかよくわからない……」
そんな時は、まずは自分ごと丸投げしてみるのが正解。難しく考える必要はありません。こう聞いてみましょう:
「こういう仕事をしてるんだけど、君は何の役にたつの? 使い方を考えて!」
例えば、あなたが「仕事では営業資料を作って、プライベートでは趣味で料理を作るのが好き。幼稚園児を持つパパで子育てに奮闘中」なら、それをそのまま投げるだけ。するとChatGPTが、「こんなお手伝いができますよ」と提案してくれます。さらに提案を具体的にするために、「こんなことを教えてくれたら、あんなこともできますよ」と向こうから踏み込んでくれたりもします。
最初は「ChatGPTで何ができるか」を無理に知ろうとしなくていいんです。「自分自身を丸投げ」して、使い方を教えてもらうところから始めればOK。
仕事もプライベートもひっくるめて相談してみれば、「こんなところまで手伝ってくれるの!?」と驚くはずです。
プログラマ的発想で「怠け者の極み」を目指そう
丸投げがうまくいったら、次は「怠ける準備」に入ります。ここで参考になるのがプログラマ的発想です。
「プログラマは究極の怠け者であれ」という格言をご存じですか?
怠けたいがために、「明日以降何もしなくても作業が終わるような仕組みを作る」――これがプログラマの心構えです。自動化を追求するために、今この瞬間の努力を惜しまないのがプロの怠け者です。
ChatGPTもこの考えで接するべき。一度プロンプト(ChatGPTへの指示内容)をテンプレート化したり、繰り返し発生するタスクをChatGPTに覚えさせたりすれば、次回以降は何もしなくても自動でやってくれるようになります。
例えば、毎週作っている報告書のフォーマットをChatGPTに教え込めば、「この部分を埋めて」と指示するだけで完成。未来の自分から感謝されること間違いなしです。
フォーマット化された個別の業務がなくても、「まずはChatGPTに問いかける」ことを自分の中での最初のフローにしてしまう。自分の行動指針にChatGPTを組み込むことをフォーマット化してしまえばいいんです。
AIは「頼れる相棒」、まずは気軽に頼ってみよう
たとえば、上司からこんな指示を受けたとします:
「このデータを元に、取引先への営業資料を作って」
普通なら、「どこから手をつけよう……」と悩むところ。でも、ChatGPTがいればこう頼むだけでOKです:
「このデータを元に、取引先への営業資料の素案を作ってほしい」
基本的にそのまんまです。返ってくる結果が完璧ではなくても、それで十分。ゼロから作業を始めるより、スタート地点が圧倒的に楽になります。そして、「こういうアプローチにして」「こういうメリットを伝えて」「競合サービス比較を追加」「昨年の市況データを盛り込んで」「弁護士見解も入れたい」「この部分をもっと具体的に」「ここは省略」とフィードバックを繰り返すだけで、どんどん完成度が上がっていきます。
一緒に作り上げていく感覚を持てば、ChatGPTはただの道具ではなく、頼れる相棒になります。
嘘情報? それ、人間の部下も同じです
「ChatGPTが嘘をつくから信用できない」なんて声も聞きますが、ちょっと待って! 部下がミスをしたら普通どうしますか?
「この資料間違ってるよね?」とツッコミますよね。それと同じことをChatGPTにもすればいいだけです。もし怪しいと思ったら、こう聞いてみてください:
「この情報の根拠を教えて」
あなたの人間の部下は、もしかしたら間違いを何とか誤魔化そうと取り繕おうとするかもしれません。しかし、ChatGPTは必ず「ごめんなさい、さきほどの内容に誤りがありました。そのソースはありませんでした」と、素直に答えてくれます。この時点で再修正を指示すれば良いだけです。
AIが実際には存在しない事実や不正確な情報をあたかも本当のように生成するハルシネーションは、今後どこかの段階で解決されるでしょうけれど、現時点ではどうしても発生してしまう問題です。
ChatGPTの仕事も人間の部下のそれと同じように「確認する癖」をつければ、使い勝手が格段に良くなります。そして、人間の部下と異なる点は、ChatGPTは、間違いを指摘された時には、必ずそれを認めて、訂正してくれるところです。ときどき知ったような口を聞くけど、根は素直で真面目な部下だと認識すれば、間違いすらも可愛らしく思えてきませんか?
文系業務にも大活躍するChatGPT
ここで本題。ChatGPTは文系の仕事でもむちゃくちゃ使えます。
例えば:
増長になりがちな謝罪メールを簡潔でわかりやすくリライトする
日本語の指示でスプレッドシート用プログラムを書かせる
契約書や規約文書のリーガルリスクを洗い出す
決算資料を元に事業計画書を作成する
キーワードからアイデアを出させる
営業資料を元に提案書を作成する
助成金制度の内容を要約させる
アイデアの壁打ち相手をする
ウェブツールの使い方を聞く
文章の校正をさせる
ChatGPTは数字を分析するのはお手のものですが、意外というか、むしろ数字以外の仕事の方がそのポテンシャルは高いです。数字の分析であれば、例えばエクセルのスペシャリストなら普段通りエクセルで直接関数やマクロを書けば同じ結果を得られることが多いでしょう。しかしそれすらも、複雑なものになればなるほどベースのコードをChatGPTに任せた上でカスタムする方が手っ取り早いケースが多いでしょうし、数字以外の分野になると、ことChatGPTは無限の可能性を示します。
なんといっても、ウェブ上に存在するあまねくドキュメントを対象範囲として情報を収集し、問題や命令を理解して、いろいろな視点から物事を分析、体系化して順序立てて提案してくれるのですから。
また、特に文章や提案書作成の時に発生してしまう、文系仕事特有の「ディテールの美しさにこだわりすぎて進まない」問題、ChatGPTを使えばサクッと解決できます。下地を作ってもらって、こだわりたいところだけ自分で味付けして、最終的な仕上げや校正は再び任せる。この分担ができれば、仕事がぐっと楽になります。ディテールにこだわりすぎた結果、全体として文言に揺らぎが含まれてしまった……なんてときも、最終的に文書全体をChatGPTにかければ、トーンアンドマナーまで含めて一瞬で整理してしてくれますからね。
ちなみにエクセルの関数やマクロ的なものを扱いたい場合には、Googleスプレッドシートをベースにapp scriptを使用する前提でChatGPTに相談すれば同様の処理が可能です。例えば、「このスプレッドシートを開いたタイミングで、毎回外部のウェブサイトにログインし、特定の情報をクロールしてデータを取得し、スプレッドシートのこの列に続く新しい日付のデータのみを、行を追加しながら日付の古い順にインプットする」といった明らかに技術者がやるような仕事だって、プログラムのかけない文系民がChatGPTとの対話のみで実装できてしまうんですからすごい時代になったものです。
プロンプトすらもChatGPTに書かせる
色々と指示を出した結果、どうにも思った通りに動かなくて諦める。使い始めてからしばらくはこんな問題に直面することが多いかもしれません。そういう場合は、繰り返される指示に矛盾が存在していたり不足情報が多かったりしたために、ChatGPTが勝手な解釈で指示を補完、省略して理解していることが原因です。
何がどうなって、こんな結果が返ってきているのかわからなくなった場合の魔法の言葉:
「今理解している指示内容を書き出して」
こうすると、あなたから指示された内容のうち、現在ChatGPTが答えを生成する際に根拠としているプロンプト(自分への指示内容)を整理された状態でわかりやすく出力してくれます。つまり、「今まであなたからあーだこーだ言われましたが、私は不足する情報を自分で補ったり矛盾点を自分なりに解釈した上で、このように理解して実行していますよ。(何か問題がありますか? 指示通りでしょ? 怒」)と正直に白状させるわけです。
そうすると
指示したはずだけどいつの間にか省略されている箇所
指示が曖昧すぎたために勝手に違う解釈をされている箇所
間違って矛盾した指示をしたために、混乱している箇所
指示した覚えのない不必要な箇所
などが洗い出されます。これを元に改めてプロンプトを整理整頓した上でリスタートすれば、スムーズに成果物を納品してもらえるでしょう。
一ヶ月でChatGPTマスターになるための3ステップ
まずは試す
丸投げからでいいので、「これらを元に、何ができる?」と聞いてみる。指示を具体的に出す
必要な情報を揃えた上で、曖昧な依頼ではなく、「何をどうしてほしいか」を明確に伝える。確認と修正を繰り返す
一発で完璧を求めず、対話を重ねながら完成度を高める。その過程において指示の精度も同時に高めます。たとえば、「結果が思った通りでない」場合は、指示がどう伝わっているかを確認し、間違いや不足分を書き直して再度指示を出し直します。
これらを元に、何ができる?
ChatGPTは、「検索ツール」ではなく「対話型AI」。考え、整理し、新しい形を生み出す力を持っています。
まずは試しに、提供できるデータ、情報、欲しい成果をぶち込んでみてから、こう尋ねてみてください:
「これらを元に、何ができる?」
そこから始まる対話の中で、ChatGPTの可能性がどんどん広がるはず。一ヶ月後には、「ChatGPTって使えない」と考えていた自分が、まるで嘘のように感じられていることでしょう!
※有料版であればファイル添付でそのまま情報をインプットできますが、無料版の場合でも情報が記載されているドキュメント内の文字列全文をコピーアンドペーストすれば概ね同じようなことはできます。感覚を掴んでから課金してみるのもひとつの方法です
記事へのスキもよろしくお願いします☆彡
対話専用Human ChatChaberiもどうぞよろしくね