冬季限定ボンボンショコラ(米澤穂信)

 小市民シリーズと呼ばれているシリーズの最終作品のよう。この作品から読み始めてしまった。それゆえ、シリーズを貫く主人公たちの心情、謎が分かった上で、他の季節の話を読むことになる。まぁ、いいんだけれど。
 米澤穂信の小説は、ほかの小説でも若くても諦観したような、あるいは他人に期待しない、希望を抱かない人物が出てくる。彼らがなぜそう思うようになったかはわからない。大勢とつるむことをよしとしない人物は、誰でも共感するところはあると思う。読んだ後に、面白いと思いながら、どこかうすら寒い、絶望に満ちた、それでも生きていかなくてはならない気持ちになる。

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