教育委員会請願文例③ 勤務時間外の部活動指導業務を強制しないことを求める請願

 PEACHでは、参加団体の地元の都道府県教育委員会に対して、部活動に関する請願を提出する運動に取り組んでいます。ここで紹介するのはその文例です。
 部活動をめぐる実情や、請願の書式・提出方法は地域によって異なりますので、実際に提出される場合は確認をお願いします。

<勤務時間外の部活動指導業務を強制しないことを求める請願>

請願の趣旨

 年間を通じ、部活動が教員の勤務時間内のみで実施されることは、少なくとも中学校・高校に限って言えば、まずありません。勤務時間内は職務命令により教員を部活動指導業務に従事させることが可能だとしても、勤務時間外は、教員の自主的・自発的な指導に頼るほかありません。

 このように、部活動は学習指導要領で学校教育の一環と位置づけられてはいるものの、部活動指導業務の全てを職務命令によって教員に命じることができないという点において、教育課程に位置づけられている教科指導・特別活動などの業務とは大きく異なります。

 しかしながら、実際の中学校・高校教育において部活動の占める割合は大きく、部活動なしでの生徒指導や学校経営は考えられないというのが現場の実情ではないでしょうか。

 そこで心配されるのは、本来は自主的・自発的であるはずの勤務時間外の部活動指導が、「委嘱」や「お願い」など、名称や形態はどうであれ、希望しない教員にまで実質的に強制されてしまう事態です。

 「委嘱」や「お願い」であれば、形式上は強制ではないと言えます。しかし、それを断ることにより不利益を被るのであれば、実質的には強制と言わざるを得ず、勤務時間外の労働を違法に命じることになります。具体的には、「委嘱」や「お願い」にあたり次のような行為が見られる場合、教員が不利益を被っていると言え、実質的な強制にあたると考えます。

①勤務時間外の指導を引き受けるかどうかの意思を確認しないまま、部活動顧問を命令又は委嘱すること。
②勤務時間外の指導を引き受けない意思を示した教員に対し、長時間に渡って管理職や分掌主任等が面談を行うなど、執拗に説得を試みること。
③勤務時間外の指導を引き受けない教員に対し、不合理に負担の大きい業務を担当させたり、過大な業務量を課したりすること。
④勤務時間外の指導を引き受けないことを理由に教職員評価を引き下げること。
⑤勤務時間外の指導を引き受けない教員に対し、不当な人事異動を行うこと。

 学校教育において部活動が不可欠であるとすれば、他の教育活動同様、正規に割り振られた勤務時間の中で適法に職務命令を行うことによって実施されるべきです。実質的なものも含め、強制によって勤務時間外の部活動指導業務を教員に行わせることのないよう、教育委員会としての方針を明らかにしていただきたいと思います。

請願項目
◯◯県内の公立学校において、教員に対し勤務時間外の部活動指導業務の委嘱等を行う場合、実質的なものも含め、強制性を伴って行われることがないようにすること。

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