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奇跡のリンゴふたたび

「相変わらず、歯のないキムラです。私の話はろくでもないですよ」という出だし。

東北からやってきたその人は、なんの飾り気もないけど、歯のない笑顔がやけにチャーミングだった。

彼を知っている人達は、ずーっと歯がないのを知ってるから、ぷっと吹き出す。彼を知らない人達もなぜか笑ってしまう。
その講演は、笑いから始まり、聞き手をインスパイアした。

あ…因みに、この歯のないかたは、「奇跡のリンゴ」で一躍有名になった木村秋則さん。何年か前の講演の時の話。


先ずは、自分のウィークポイントをいきなり冒頭で持ってこられた!
人は、誰かより優位になることが大好きだ。真っ先にこれを持ってこられると、聴く側の防御バーが、一気に低くなる。
凄い人の話を聴く時に期待もあるけどそれを聴くに相応しい自分を律しているのかもしれない。
だから相手が、最初から一見低いところから登場してくれるとこちらは、構えずに聴けるのかもしれない。


何に似てると思ったらうちの実家の猫だ。知らない人の前でも平気でやわらかいモフモフのお腹を見せる。猫というよりカーペットに近い。いきなり弱いところを面でさらけ出している、これに似てると思った。
猫嫌いな人でも闘う意思がまるでない猫をみたら構えなくて済む。

最初に自分を落としといて…。
でも、彼の話の内容は、著書でも知られているように長い長い年月、苦労に苦労を重ねて奇跡のリンゴを世に出してきたかただけに深い。
苦労してきて、痛みを知っているから謙虚でいられるのだなぁと思う。

人知れず苦労をしてきた方から生まれる言葉は、大きく深い。
「野菜は、畑なんてなくても育つんだよ、太陽と水と土と『愛情』があれば。」
本当に愛情を注ぎまくってきた人だから。
「植物は、優しさを求める。植物は、感動を与えてくれる」と。
きゅうりのツルは、子供の指には絡まるらしい。
大人の指には、絡まる人とそうでない人がいるらしい。
きゅうりは、知ってる!という訳だ。
あー、大人だけど、なんとか私の指に絡まって欲しい(笑)

自分が研究してこられたことも惜しみなく話される。
これだけ社会に貢献してきたかたでも、まだ「少しでも役に立って世を去ることができたら本望」と言われた。

木村さんは、講演の中で、色々な夢にも触れた。
2020年のオリンピックで世界の人に安全な食材でおもてなしをしてあげたい。
パラリンピックの食材は、自然栽培と社会福祉施設と連携したい。
農家ではない人も家庭菜園をやっていける時代にしたい。
自然の生き物(トキなど)は、地球環境の修復を待っている。
除草作業からの解放をしたい。

世界…地球、宇宙の話をされている。
現在→自分がいなくなってからの未来の話もされている。
愛の話をされているのだと思った。

歯のない話から始まった木村さん。
きっと、歯を治す時間も惜しんで地球、次世代のことを考えてくれたのだろう。何年もたった今、久しぶりにその時の雑記帳が出てきて読み返していたのでシェアをしたくなった。

奇跡のリンゴだけで終わらなかったんだなぁ。
満足したらそこで終わってしまう。
謙虚さも好奇心も愛も…大切なものを沢山持ち合わせていた。
持っているものを上手く表現出来ている人っていいなぁと思った。




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