ちょっと気になる
些細なことが気になってしまう性質である。
よくいえば「目のつけどころが違う」という長所ともいえる。だから、一概にダメとはいい切れないのだが、子どもの頃は、些細なことが気になってしまう状態を「集中力がない」と指摘されることが多かった。そのため、些細なことが気になるのは、自分の欠点だと思っていたのだ。
ところが、その「欠点」が面白い形で化けてく。
それは、フィルムを使い切ってから現像に出すようにと親に頼まれたときのこと。
フィルムカメラは枚数が決まっている。12枚とか24枚とか、撮影しそうな枚数を予測して予めフィルムをカメラに入れ、その枚数を使い切ってから現像に出すのが通常の流れだった。
「フィルムが数枚余ったから何か好きなものを撮って」というのは、当時では比較的当たり前のこと。だが「何か好きなものを撮って」という魔法の言葉が私をカメラ好きにさせてしまったのだ。
「切り口が面白い」「これってどこだっけ?」と、周りから好感触を得ることができ、「ちょっと気になる」何かを見つけてはカメラにおさめ続けた。
デジタルカメラの登場も、その傾向に拍車をかける。
「何か好きなものを撮る」というきっかけで始まったカメラ生活は、何か好きなものを撮るというテーマのまま、私の人生の一部になった。
◇◇◇
私にとっての「何か好きなもの」は、何か特別なものではない。
暮らしの中で、ちょっと気になる何かを発見した喜び、その瞬間そのものが「何か好きなもの」なのだ。
ちなみに、普段noteで使用している画像は、「ちょっと気になる」何かを自分でカメラにおさめたもの。
例えば、この記事のアイキャッチ画像は、散歩をしているときに、田んぼの縁(へり)が波打つようなラインが面白いなと思った「瞬間」を残したものだ。
何気ない日常に、エクスクラメーションマーク(=「!」)が突如現れた喜びを切り取っていく。
これからも「何か好きなものを撮る」をテーマに「ちょっと気になる」ものに出会えた瞬間をカメラにおさめていきたい。
記事と一緒に、写真もお楽しみいただければ幸いです。