台風が残したもの
隣家の瓦が芝生に爪痕を残した。
朝目がさめると、東、南、西の3方向から瓦屋根が落ちてきていたのだ。
我が家の敷地内に落ちた瓦を拾い集める近隣の方たちは、とても恐縮されていた。だが、こんなときはお互いさま。
夫の車にもキズがつき、パラボラアンテナにも、ぽっかり穴があいた。
水で土が流されたのか、コンクリート舗装の下に空洞ができている部分も確認できている。
生活に支障が少ないキズまでカウントするとまだまだ被害はあるのだが、我が家の被害はかすり傷程度としか思えないくらい周りの家は破損している。
そんな状況ではあるが、近隣の人たちから聞かれる言葉はあたたかい。
家ごと飛ばされるかと思うくらい恐怖したが、このくらいで済んで良かった。
周りにはもっと被害が大きい地区もあるから、このくらいは自分たちで補修して持ちこたえよう。
感謝や気遣いの言葉があふれている。
車のフロントガラスが割れたり、塀や樹木が倒れたり、瓦屋根が吹き飛んだり。そのような状況であってもなお、この言葉を発することができる人たちを見て、「敵わないなぁ」と思った。
台風が残したものは破壊による爪痕ばかりではない。
苦境にあっても、他者を思いやり、周り気遣いをみせる姿。人の美しい1面も見せてくれたのだ。
復旧までは長い道程になるだろう。
平坦な道ではないかもしれないが。
台風15号が残したものを胸に刻み、地域の復興に力を尽くしていきたい。