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#ソシャゲの話をしよう。「素材の適切な流通」

みなさん、ソシャゲしてますか?
日々経験値集めや素材集め、資金稼ぎなど頑張っていますか?
え……頑張ってない?
ならばもしかしたら、そのタイトルはそろそろ危ないかもしれません……。
今回は「素材の適切な流通」というお話。

さて、ソシャゲで一番価値のあるものといえばなんでしょうか。
もちろん一概には言えませんが、多くの場合「ガチャやイベントから獲得できるキャラクター」などであることが多いと思います。
(タイトルによっては、武器やアバターだったりしますが、そこはいったん置いておいて)

では逆に、比較的重要度が低いものといえばなにが挙げられるでしょうか。
例示するのであれば、ゲーム内通貨・経験値アイテム・覚醒素材・スタミナ回復……などでしょうか。

一般的に、これらの素材はゲーム中の定常イベントなどで獲得できる傾向が強いと思います。
つまり、その気になればいつでも取りに行けるという点で、重要度が低いと言えるでしょう。

今回のお話の趣旨としては、これら重要度の低いアイテムの取り扱い、特に適切な流通量についてになります。
ユーザーから要望があったとしても、重要度が低いといって流通させすぎるとえらいことになりますよという話。

今回は図解を交えて解説をしていこうと思います。
こちらの図は、一般的なソシャゲのキャラクター育成の構造を模式化したものです。
適当なソシャゲを思い浮かべて、なんとなくイメージしてみてください。

よくある育成システム

何がなくとも、まずは育成の対象が必要となります。
それを育成するための材料として、ゲーム内通貨や経験値アイテムが必要になってくるという構造ですね。

タイトルの運営趣旨によりますが、これらのアイテムの流通のコンセプトは二極化していると思います。
ひとつは、ユーザーにストレスを与えないため、じゃぶじゃぶと流通させる方法。
もうひとつは、ユーザーに適度なストレスを与えるため、流通量を制限する方法。

さて、これらはどちらが理想的なのかというお話です。

結論から言うと、流通量は適度に制限する方が適切です。

それはなぜか。
素材系アイテムの流通量が過剰になると、ゲームのおもしろさの一端を担う「育成要素」がただの作業になり下がるからです。

図で説明すると、以下のような寂しい感じになります。

これが
こう

こうなると、キャラクターが最強になっているのは当たり前で、インゲームでの腕前と、アクセス頻度が勝敗を左右することになります。
もちろんタイトルによってそこは違いはあるかもしれませんが、パラメーターで殴りあうタイプのゲームだった場合、極論「ガチャで強いキャラを引けるかどうか」が≒勝敗となり得ます。

さて、そんなゲームは果たしておもしろいのでしょうか。
ユーザーは長く定着してくれるのでしょうか……。はなはだ疑問です。

ただ、素材に関してこういった流通体制になっているタイトルは、決して珍しくありません。
常設素材クエスト、時間による素材アイテム二倍クエスト、ログインボーナスで配布、イベントのハズレアイテムで配布…などなど。
心当たりはありませんか?

で。この状況に気付いたとしても、流通量を適正化するのはわりと難しかったりします。

理由はいくつかありますが、まず市場に出てしまったアイテムを減らすことが難しいこと。
例えばゲーム内通貨を消費させるために、価格の高いアイテムを販売する。
例えば経験値アイテムをインフレさせるために、レベル上げに必要な経験値を引き上げる。

または常設していた素材獲得イベントの廃止。
ログインボーナスの廃止などなど……。

これらの施策は大抵ユーザーに嫌われます。
なぜならユーザーは、緩い分には許容するが、緩かったものを規制することには敏感に忌避感を感じるからです。
それまで当たり前だったものが突然運営都合でなくなるのですから、それは無理のないことでしょう。

では新しく素材アイテムを必要とする新要素を付け加えてはどうでしょう。
妙案ではあるかもしれませんが、強引なテコ入れは結局想定外のバランス崩壊を引き起こす場合もあるので、必ずしも上手くいくとは限りません。
結局は改善には至らず、ただゲームの複雑化を招くだけ……というのもよくある話です。

?????

というわけで話をまとめると。
・ユーザーからは大抵「素材が足りないから流通量を増やせ」という要望が来る。
・価値が低いので大丈夫だろうと安易に増やすと、結構取り返しのつかない事態になる。緩やかにコンテンツが死に始める。
・なので、試すときはイベントやキャンペーンの体をとって様子を見ながら少しずつ調整すること。

ユーザーからの要望があるということは、素材という要素が機能している証拠です。
需要を過剰に満たしてしまうと、その要素は機能としては「死ぬ」のです。
そして、それを蘇らせることは非常に難しいのです。

結果起るのは、ゲームの作業化・イベントの機会損失・色々な要素の価値の暴落。
ガチャを回して当たりを引くだけのゲーム。
目的までの道筋が短絡的になれば、それはゲームサイクルの滅びへの加速。
価値が低く見えるだけで、そこに価値はあるので、決して軽視してはいけないのです。

ユーザーの要望を満たすことと、ユーザーのモチベーションを潰すことは紙一重です。
安易にここを潰して、コンテンツの寿命を短くしないように、適切なバランス調整を祈るのみです。

今日僕から言いたいことは以上です。

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