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雨坂流小説創作術+α

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ストーリーの作り方やキャラクターの作り方、小説における演出について等、創作に関する記事。
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記事一覧

創作活動と他者の時間の使い方について

思考整理のために言語化したものです。 めんどくさがりなので結論から入ります。 結論自分の作品を見てもらう、感想やコメントをもらうということは、その人の時間を使ってもらっているということ。 これを念頭に置くことで客観的な思考ができるようになり、承認欲求との付き合い方も変わってくる。 創作者の端くれが考える承認欲求イラスト、小説、配信など、何かしらのクリエイティブな活動をする者にとって「承認欲求」は切っても切り離せないもの。 もっと自分の作品を見てもらいたい! もっと自分を知

小説の書き方・細部編

結論小説はいくらでも修正が可能です。とにかく見直しましょう。 初めにTwitterにて、ルビやダッシュなど、文章における細部の話題を見かけましたので、この機会に自分の場合はどうか、考えてみることにしました。 雨坂の作品を読んだことのある方は分かると思いますが、私は読みやすさ、分かりやすさを重視して、創作をしています。 そのため、シンプルな言い回しになることも多々。ですが、何も伝わらないよりは遥かにマシなのです。 ルビについてTwitterで盛り上がっていた「ルビ」の件、多

口語と文語 対応表

前提小説を書くにあたり、地の文は文語で書くのが望ましいです。 これは三人称(神視点)の場合により顕著となるもので、一人称の場合はこの限りではありません。 幼いキャラクターの一人称なら、口語(話し言葉)の方がリアリティが出ます。なので、作品をどう見せたいか、読者にどう読んでもらいたいかで使い分けをすることが重要です。 ただし、地の文で口語と文語がまざると、統一感がなくなります。 ※意図して口語にする場合を除く。 今回はその統一感を守るために、言い換え対応表を作成しました。

創作のために現実を無視した話

先月完結させた「不老の若葉」を、執筆していた時のことです。 ※本編のネタバレが含まれます。ご注意ください。 タイトルにあります通り、わたしは執筆中にとある現実を無視しました。 「不老の若葉」は謎多き「不老薬」を巡る物語なのですが、その謎を解くにあたって、インターネットや書籍で細胞について勉強しました。 がん細胞やテロメア、細胞分裂などの知識を得たのです。 そして「不老薬」のメカニズムの概要も固まってきました。それが以下。 元々はがん治療のために開発された薬であり、「不老

小説における分かりやすさとは

お久しぶりです、生きてます。 創作術にはまだ需要がありそうですので、引き続きこちらでやっていこうと思います。 雨坂の作品に関する話はFANBOXでやっています。 さて、今回考えてみたいのは「小説における分かりやすさとは何か」です。 読みやすいとか、分かりやすいとか、いろいろあるわけですが、わたしは常に「分かりやすく」=「伝わるように」執筆をしています。 (ここで言う「分かりやすさ」とは、ストーリーではなく文章のことです。意図したとおりに意味が伝わるかどうか、ということです

自分の過去作を添削しました

こちらの感想企画、誰も参加者がいなかったので、少し趣旨を変えて「記憶の彼方に葬り去られた自分の過去作を添削する」ことにしました。 文字通り、記憶にないほど古い短編作品です。 当時の自分を参加者に見立て、私がどこをどう見ているのかなど、本記事を通してお伝えいたします。 ※ここで言う「添削」とは、感想企画におけるアドバイス部分になります。 まずは添削対象の短編からどうぞ。もちろん、読み飛ばしてくださってもかまいません。 短編「ライアとティルタ」 国の南東にあるユートピアは、そ

自分の文章を色分け分析してみた

使用したのはこちらの文章です。 赤「人物の動き」、青「人物の感情や思考」、緑「人以外の情報」、紫「人物に関する情報」、黒「台詞」という感じで、自分の書いた文章を色分けしてみました。 noteでは文字に色を付けられないので、ワードの画面をキャプチャしました。少々見づらいですが、どうぞご覧ください。 分析してみた結果、今回見つけたのは以下の2点。 ・人物の動きばかり描写している! (これは昔、シナリオを書いていたことに起因します。人物が次にどんな動きをするのか、頭の中で映画

異世界ファンタジーと紅茶

異世界ファンタジーというと、中世ヨーロッパのイメージが強いライトノベル界隈。 そこで今回は、異世界ファンタジーを書く際に役立つかもしれない、紅茶の知識を考察とともにご紹介します。 歴史と紅茶紅茶は17世紀、中国茶がオランダに伝わったのが始まりでした。この時はまだ「発酵茶」ではなく、どちらかといえば緑茶に近いイメージです。 18世紀に入ってから「発酵茶」が作られるようになり、これが紅茶の元になります。 19世紀になると、インドのアッサム地方に自生していた茶樹、アッサム種が発見

小説における「演出」とは

小説にも「演出」が必要です。 漫画や映画のように映像はありませんが、読者の想像力を刺激することで映像を作ることが可能です。そのために必要となるのが、作者の意図が正しく伝わる文章であり、それこそが小説における「演出」となります。 てにをは基本中の基本である「てにをは」ですが、これ、意外とできていない方が多いです。WEB小説はもちろん、SNSでの投稿などでもよく見かけます。 「てにをは」とは、文章を作るうえで欠かせない助詞の総称です。 この助詞の使い方こそが「演出」になってき

雨坂流ストーリーの作り方①

初めに私は過去に映画の専門学校へ通っており、脚本について勉強をしました。 その時に学んだことが大変役に立っているのですが、今となっては自己流にアレンジして昇華しているため、今現在のやり方をお伝えします。 また、私は「感覚的に」創作していることを承知の上で、ご覧ください。 最初にやることどんな物語を書きたいか、テーマや舞台設定などを大まかに決めます。 今回はアルファポリス版「羽倉茶葉店」の「神のカースと無宗教者」(約13500字の短編)を例にします。 どんな物語にしたいか

雨坂流ストーリーの作り方②

雨坂流心得・フィクションは媒体に関係なく、すべてご都合主義である 「羽倉茶葉店」の例で言えば、語り手で主人公でもある乙女が羽倉茶葉店へやってくる、ということからしてご都合主義です。 しかし、そうしないと話が始まりません。乙女が他の店でアルバイトを始めていたら、物語がまるきり変わってしまいます。 この、話が始まらないということが重要で、話を展開させるためには仕方のないことなのです。 また、主人公たちが危機に陥る場合もご都合主義です。極端だと思われるかもしれませんが、「フィクショ

雨坂流ストーリーの作り方③

この記事では、これまでに書いた作品をいくつか例にして、実際にストーリーを書く上で意識したことなどをまとめました。 ※現在、非公開の作品も含まれます。公開予定はありません。 羽倉茶葉店こちらは短編連作のため、エピソードごとに結末とそこへ向かうまでの過程がかぶらないように気をつけました。 「植物化する少女」では、主人公の乙女が話をし、客の少女に心境の変化をもたらして終わります。 「魚になりたい男」では、振り出しに戻るような結末です。 「フェアリーストレス症候群」では、森脇の活

雨坂流キャラクターの作り方①

私はどちらかといえば「感覚的に」創作をしています。 そのため、キャラクターを作るというより、勝手にキャラが生まれて勝手に動き出すイメージなのですが、今回はキャラクターが生まれてから物語に登場するまでについて、言語化してみました。 作例前置き 電子書籍で出している「羽倉茶葉店シリーズ」の設定を見直し、まとめている時でした。「羽倉茶葉店」は他の作品と世界観を共有しており、いわば中心となる物語です。 その内の一つである「俺らは夜明け」の登場人物、「佐々山俊」の裏設定として「東京に

雨坂流キャラクターの作り方②

私は物語を先に思いつくこともありますし、キャラクターが出来てから物語を考えることもあります。 そのため、新しい作品を作る際、どの程度までキャラクター設定をしてから執筆作業に入っているか、お伝えします。 執筆前に必ず決めるキャラ設定・名前 ・年齢 ・身長 ・髪の色 ・瞳の色 ・一人称 ・二人称(会話で相手を呼ぶ時に使う言葉。お前、君etc) ・口調(ですます、~だな、~だよetc) ・役職(公爵令嬢や会社員など。肩書と言い換えてもいい) ・性格(主な性格だけでなく、本性や短所