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VOL.11 B品野菜って味は変わらないし販売することで生産者さんは喜ぶって話はホント? ~地域移住のコレいい、コレあかん~

地方に行くと、知らん間に「お前〇〇派に入りやがってー!」って言われます。入った記憶がないだけでなく、〇〇が誰か知りません。

さてさて、今回はこのテーマでお送りしましょう!

B品野菜って味は変わらないし販売することで生産者さんは喜ぶってホントー???

なんか聞いたことありますよね?B品って形が悪くて出荷はできなくても「味は変わらない」し、どうせ廃棄するのだったら「格安で販売するほうが生産者さんも助かる」って。

果たしてこれは本当なのでしょうか?一つずつ、検討していきましょう!

ちなみに某福岡では誰もが知っている有名ホテルの担当や、某福岡では誰もが知っている加工会社の仕入れ担当からこんなことを言われたことがある。

「B品食材ありますよね?A品はいらないんでB品だけ販売してくれますか?格安で!どうせ処分するんでしょー?」

っと。

そんな人には

「B品食材はありますが、あなたに販売するB品食材はありませんけどねー」

と言い返してきた超絶性格悪い人間は私です。

前提として是非ご理解いただきたいことは、生産者は誰もがB品を作りたくない、ということ。綺麗でおいしい野菜を作りたいんです。ただその中で、天候不順や害虫、堆肥、技術力などの影響でB品が一定できてしまう訳です。
そこを理解し互いに納得した上で購入する分には何の問題もありません。但し「B品しかいらない」ってことは結局生産者のことを何も考えていない発言なんですよね。そのような業者と取引を進めるのは、短期間的にはいいこともあるかもしれないが(それでも厳しいと思っているが)、長い目で見たら絶対損します。
しかもそんな人に限って「食品ロスに協力してる」やら「捨てるものを再活用だーエコだー」とか言うことが多く、本当にアホらしいと思ってる次第なのです。

それでは一つずつ検証しましょう!

① B品って味が変わらないってホント??

まずはこれからですが、結論から言うと変わります。
もちろん何の野菜(果物)かによって大きく異なりますが、食材そのものの味が平均値として変わると考えてください。

イメージはこんな感じ↓

規格品


そもそも上記の通り、天候不順・害虫の影響・物理的要因・栄養不足(過多)その他もろもろの条件が生産物にとって何らかのストレスがかかりB品となってしまう訳です。そのような野菜ですので、規格品より味が落ちてしまうケースが多いということは理解頂けるかと思います。

但し生でそのまま食べるよりは調理して食べるケースが多いと思いますので、その場合は食材がB品だの味が落ちるだのではなく、調理による変数の方が当然高くなります。

あと“おいしい”って言葉も難しいですよね。これは食材そのものだけでなく“環境”によることも大きいからです。誰かとケンカして一人で食べる場合より、気さくな仲間とワイワイ食べる場合の方がおいしいですよね?

このように食材としての味は落ちることが多いが、結局皆さんが食べるときにはそれ以上の変数が伴うので「そこまで変わらない」が一つの正解だと考えてます。

② 格安で販売すると生産者さんは助かるの

生産者さんのスタンスや販売ツールによって変わってきますが、この意見については大枠として私は賛成しかねます。があくまで生産者さんがいいと言えば良いわけですが。

(A) 物流費の問題
まず一つ目が物流費の問題があります。特にECなど個別出荷する場合には、現状それなりの物流費が加わります。「この農家さんの野菜が買いたいんだ」という場合はいいかもしれませんが、お得感がウリのB品は単純に原料調達の意味合いが強く、近くの量販店の方が「規格品」で「安く」「安定的」に仕入れることができます
なお市場流通の場合も同様です。配送コストがかかるだけでなく(B品の場合は内容量が減ってしまう場合が多い)そもそも市場原理のなかで値が付かないのです。市場原理の中で値が付かないということは、消費者の多くはB品を望んでいないことを意味します。

(B) 規格品の市場価値の下落について
意外にこの視点を理解できていない消費者と生産者が多い。どちらかと言えば生産者の問題に近いのだが、B品を安く販売することで本来きっちりした値で販売するべく規格品が値下がりせざるを得なくなるわけです(スーパーの値下げ問題なども近いですね)。

手間をかけてB品の販売をして、今まではなかったB品で売上ができたーー!!だけど規格品の売上が下がってるので、全体的には利益下がってるやん、、、

ということも往々にあります。

(C)農業者の手間は?
安く販売するとはいえ当然出荷に関しての手間はかかる訳です。
個別出荷する場合も直売所等に出荷する場合も基本的に規格品と同じ手間がかかります。むしろ袋詰めや洗浄など規格品以上の手間がかかるケースもあります。利率が下がるのは当然として、人件費や諸経費(袋代や箱代など)を鑑みた上、(B)のようなブランド価値の棄損の可能性を考えた際に、B品を販売するか否かの結論付けはなかなか難しい経営判断です。

当然ですが、生産者は法人個人様々ですが経営者になります。一定のルールの範囲内でしたらその経営判断はそれぞれに委ねられる訳ですから、そこに対して部外者がわーわー言うのは違いますね。

以上のようにB品を販売することは、必ずしも供給量に対して消費者の需要があるわけでもない上、生産者としても大きなリスクがあります。そこは皆様も理解頂ければ幸いです。


最後にですが、なんか最近クラファンのPRページで「訳アリ商品を販売するプラットホームを作りたい」ってのが出てきます。

想いの部分には共感することもあるのですが、その手段としてのECサイトの新設は有効的ではないと考えてます。

説明文を読むと「これどこから突っ込んだらいいんかな?」ってほどツッコミどころが満載。特に大根農家の廃棄など、ECの活用で解決するわけないだろ、と。あと発案者はメルカリでの実績がよかったとのことも言われてますが、それならばB品を通販したい生産者にメルカリを勧めればいいだけなのです。新たなプラットフォームの作成は消費者を分断させるだけです。

極極極わずかな生産者と極極極わずかの変に意識高い消費者のみが活用できるビジネスモデルかと思いますが、最終的には「生産者=手間かかるし利益率下がるしブランド力下がるし」「消費者=高いし品質悪いし」になるかと。

とは言え何度も言いますが、生産者の考え次第なとこはあります。「取りに来てくれるんやったら安く売るよー」とか「加工するんやったら別にいいよー(ブランドが出ない)」とか生産者さんそれぞれの考えは尊重されるべきです。
あくまで消費者側が良かれと思っているのか「B品だったら安く販売してくれるんじゃね?」とか「畑で廃棄とか食品ロスで悪だ」とか事情を知らずに求めることは、返って農業界を苦しめることになると思います。但しこれは消費者だけのせいではありません。今まで生産者サイドから正しい情報がなかなか発信出来てなかったことも大きい要因です。
ようやく生産者の発信もできるようになった今、様々な発信に是非一度耳を傾けて頂ければ、また異なる意見に触れることもできるかと思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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