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#90 マーケットプレイスへの出店をサポートするCymbioへの注目が高まる背景

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Briefing

マーケットプレイスへの出店をサポートするCymbioへの注目が高まる背景

今、アメリカではマーケットプレイスの存在感が高まっている。Insider'によればAmazonやWalmartといったマーケットプレイスでの売上は2020年には45%もの成長を見せ、2022年の市場規模は3570億ドルになると予測されている。
これまで自社ECをメインにしてきたD2Cブランドも、SNS広告の費用対効果が落ちてきたことでマーケットプレイスに出店するケースが増えている。さらにこれまで実店舗をメインにしてきたWalmartやMacy'sといった企業もコロナ禍でECに力を入れ始めたことが、この流れを牽引している。
2014年にイスラエルで創業した「Cymbio」は、ブランドのマーケットプレイスへの出店をサポートするスタートアップだ。複数のマーケットプレイスへの出店をしやすくするためのサポートなどを行ってきたが、最近「Cymbio Finance」という新機能をリリースした。通常、マーケットプレイスでの売上が入金されるまでには30日〜45日ほどかかる。しかしShopifyをはじめとするプラットフォームでは一週間以内に振り込まれるケースが多いため、自社ECをメインにしてきたブランドはマーケットプレイスへの出店によって資金繰りが悪化する懸念があった。
そこでマーケットプレイスでの売上を先払いし、資金繰りを悪化させることなくマーケットプレイスでの売上を拡大できるようにしたのがCymbio Financeだ。
Walmartへの出店者は2021年から2022年の一年で2倍の20万店に増え、Amazonの出店者数も200万近くまで増加するなど、マーケットプレイスへの注目が高まっている今、オペレーションやフルフィルメントも含め、包括的にマーケットプレイスへの出店をサポートするCymbioへの注目度もさらに高まっていきそうだ。

母音を抜いたブランド名がトレンドに?

最近のブランド名にあえて母音を抜いた名前が増えてきている背景を「RetailDive」が解説している。
アメリカではここ最近、「BHLDN(Beholden)」や「RTFKT(Artifact)」のように、母音を抜いたブランド名が増えている。一部の母音だけ抜いた「MoDRN(Modern)」やあえてスペルミスをしている「Anthropologie(Anthropology)」といったパターンもある。
こうした命名スタイルが流行っている背景には、新しいブランドが次々と生まれていることで、通常のスペルではドメインがとれなくなってきている事情がある。一般的に4文字から5文字の名前をつけたがるブランドが多いが、多くのワードはすでに取得されてしまっている。そこで母音を抜いたり本来のスペルから一部変えたりしてドメインを取得するブランドが増えている。
母音を抜くことで読み方がわかりづらかったり、テキストで見たときと音声で耳にしたときとで同じブランドだと認識しづらくなったりといったデメリットはあるものの、逆にそのわかりづらさが暗号やスラングのように、ファンの仲間意識を高めるメリットもあると記事では解説されている。
また、母音を抜くという命名スタイルによって、今っぽさを演出する効果もある。これまでも、たとえばShopifyやSpotifyのように語尾に「-ify」をつけるのがトレンドになった時期や、NapsterやFriendster、Pixsterといった「-ster」がトレンドだった時期があるように、母音を抜いたブランド名にすることで、最近のトレンドにあわせたブランドであることを暗に伝えることができる。一方で、流行りは3〜5年ほどで変化するため、陳腐化もしやすい点には注意が必要だ。
ブランド名の付け方が直接的に企業の業績に与えるわけではないとRetailDiveの記事でも断りをいれているものの、ブランド名はSEOや覚えやすさ、検索されやすさなど考慮すべき要素が複雑に絡み合っているため、その最適解としての最新のトレンドを知るのは既存ブランドにとっても参考になる部分が多いのではないだろうか。


Editor’s View

『マーケットプレイスへの出店をサポートするCymbioへの注目が高まる背景』を読んで

コロナ前から大手D2Cが百貨店やスーパー、ドラッグストアといった実店舗に卸をはじめる例は増えていたので、パンデミックによるECシフトでマーケットプレイスへの注目が高まっているのは納得。マーケットプレイス自体は目新しいチャネルではないものの、Cymbioのようにマーケットプレイスへの出店・運営をしやすくするサービスや企業によって2.0的なブームがくる可能性はありそう。さらにWalmartやNordstromといったすでに実店舗を持っている企業のマーケットプレイスであればO2Oの購買体験をシームレスにするといった進化の余地もあり、Amazonも今後店舗開発でそのあたりを狙っているのかなと。そういう意味では、「直販からマーケットプレイスに逆戻り」と短絡的に捉えるのではなく、マーケットプレイスの仕組みや立ち位置の変化に注目する視点が重要かなと思います。──Asami(@qzqrnl

『母音を抜いたブランド名がトレンドに?』を読んで

ブランド名の選び方では3つの重要な要素がある。一つは機能面(ドメイン・商標が取れるかどうかなど)と、ブランドや会社が増えている中でどんどん難しくなってきている。次に名前からイメージするブランド(例:イケてる、優しそう、強い、ゴツいなど)。最後にトレンドサイクル("-er"、"-ify"、母音を外すなど)。今回の記事では総合的にそれを分析していたが、個人的に非常に納得したのは母音をなくしてあえて発音しづらくする課題と良さ。課題としてはブランド認知を下げてしまうことだが、逆にハードル・摩擦を高めることによって、発音の仕方を理解するユーザーはよりブランドのインサイダーになれると思い込む。ブランドの強さの一つはステータス作りであり、それを名前でも出来るのは面白いこと。今後は母音を外すのがトレンドではなくなるとスペルミスなど色んな形でステータスを名前で作りに行くパターンが生まれるのを期待している。── Tetsuro(@tmiyatake1


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