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シナリオ=登場人物の「人生」

メインストーリーを担当させていただいていた作品が、6/28をもって終了してしまいました。
それに関して、私は何かを言える立場ではないので特に言及はしませんが……ただひとつだけ。全身全霊で愛を込めた作品であることはもちろん。出会えて幸せだった。今までもこれからも、ずっとずっと私のクリエイター人生をかけて大切にしていきたい、という想いは変わりません。重いですね。知ってた!(遠い目)

さて。そんなこんなで、ちょっぴり(ではなく本当はむちゃくちゃ)寂しい想いで2019年の半分を終えようとしているわけですが……ここ数ヶ月、色々な作品のシナリオを見る機会があり、自分のシナリオとはなんぞや。自分のシナリオの色や傾向ってなんだろう、なんてことを考えながら過ごしておりました。……念の為追記すると、以降は自分のクリエイターとしての持論というか分析というかです。特定の作品に対してのみではなく、私のモノづくりに対するスタンスや考え方のお話。

世に出ている色々な作品のシナリオ(一旦ここではゲームの想定)を読んでいると、奇抜でオリジナリティの強いキャラ設定で読み手の興味を惹き付けるものだったり、凝りに凝った構成や息を呑むような展開で、読み手の興味を煽るものだったりと、色んなタイプがあると思います。

結論から言うと、おそらく私はあっと驚くような突飛な構成を組み立てるずば抜けたセンスみたいなものはないと思っています(もちろん構成を組み立てる上での基礎は抑えますし、持てる力を注ぎ込んで構成も精一杯練りますが)。預けていただければ、個性の強いキャラクターも描ける自信はありますが、ゼロから個性の強い奇抜なキャラを生み出せと言われると、多分あと一歩のところで殻を破れずにとどまってしまう。
じゃあ私の書くものってどんなものだろうか。
自分の書いたシナリオと向き合ったり、周りの方々からいただいた感想なりなんなりを見ていて気づけた私の作品の色――それはきっと、キャラクターをひとりの人格のある「人間」として捉えて向き合い、リアリティと説得力をもって描いている(描こうとしている)ところなんだと思っています。

A地点からB地点を通って、E地点に向かおうと計画していたのに、いざ筆を執りキャラクターを動かしていくと、B地点ではなくC地点とD地点を通ってからE地点にたどり着くことも多々あります。それは書き手である私のエゴよりも、どんな時でも、キャラクターの感情や行動原理を優先したいから。スタートとゴール、必ずそこで見せないといけない情報以外は、できるだけキャラクターに任せたい。

プロットをつくる際、どう考えても本稿を書く時に自分が苦労することはわかっているのに、「このキャラクター(人物)ならこの選択をするはずだから、このエピソードは避けては通れないなあ……」となれば、逃げずに真っ直ぐにその道を行くことを選択します。案の定、本稿時に苦労はしますが、その都度そのキャラクターと対話をして、その人物の行動原理に則って、問題を乗り越えていく努力をする。

そうして作り上げていくのが私のシナリオなんだろうなという答えに、やっとではありますがたどり着いた気がします。今現在は、ですが。

書き手である自分はキャラクターの代弁者だと思っています。前述しましたが、自分のエゴでキャラクターの行動原理や信念を曲げることだけは絶対にしたくない。キャラクターを一人の人間として、対等に会話をして作り上げていきたい。そんな想いで、日々シナリオを書いています。それはどんな作品であれ、自分が携わらせていただく以上は同じこと。

だから読者の方々に「キャラ一人ひとりに対する愛情を感じる」とか「現実にいそうな気がしてくる」と言ってもらえると、ほんの少しでも私が書いた意味があったのかなと嬉しくなります。

行動原理だけではなくもっと表面的なことで言うと、「しかし〜〜」と言う人物もいれば「だけど〜〜」や「けれど〜〜」という言い回しをする人物もいる。もちろんそれは物語の登場人物であるキャラクターも同じ。人にはその人特有の口癖や言葉選びの癖があるように、キャラクターにもある。キャラクターを重要視する所謂「キャラゲー」などでは当たり前ですが、もちろんそんなところも重要だと思いながら書いています。

これまで自分が得意&好きなのは、ファンタジーとかそっちの系統だと思っていたんですが、このことに気づいてからは、群像劇や人間ドラマの方が向いているんだろうなと実感することができました。同業の仲間がそう言ってくれた、というのもありますが。
何がいいかなんて人それぞれで、もちろん奇想天外な構成で物語を描ける方も、個性が強く所謂「キャラ立ちしている」キャラクターをゼロから生み出し、のびのび動かせる方もどちらもすごいと思いますし、尊敬します。
ただ私はそのフィールドでは卓越したものは残せないと思う(最善は尽くすけど、もっと優れた人は絶対いる)ので、私は私らしく、私の強みを目一杯活かした、私のシナリオを書こうと思っています。

私にとって「シナリオ」って、確かに「物語」ではあるけど、登場人物の「人生」を描くことなんです。

賛否両論はあるでしょうし色んな考え方があると思いますけど、やっぱり「物語」は登場人物たちの人生の一部を切り取ったものだと思うのでね。物語の中には切り取られなかった、その人の「人生」の深みみたいなものも、きちんと感じられるシナリオが書きたいのです。

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フリーランスのシナリオ作家です。三度の飯より「旅」が好き。自由気ままに発信していければと思っております。プロフィールや実績等はHPからどうぞ ▶ http://cercatrova-n.com/
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