メリハリのない暮らしに彩を添える「九谷焼」の魅力。困難な時代の暮らしに寄り添う
はじめまして。CERABO KUTANI note編集部です。
わたしたち「九谷セラミック・ラボラトリー(通称:CERABO KUTANI)」は石川県小松市を拠点として九谷焼の製土、ギャラリー、工房を兼ね備えた九谷焼の発信拠点と、九谷焼のオンラインショップを運営しています。
この度、CERABO KUTANI までなかなか気軽に来られない皆さんにも日頃からわたしたちが触れている九谷焼とその産地について少しでも知っていただく場として、noteにて公式アカウントをはじめることにしました。
今回は、はじめましてということで2019年春にオープンした CERABO KUTANI と、こんな時代だからこそわたしたちが感じている九谷焼の魅力について自己紹介をかねてお話ししたいと思います。
CERABO KUTANI と九谷焼のはなし
冒頭でも書きましたが、CERABO KUTANI は、九谷焼の製土、ギャラリー、工房を兼ね備えた九谷焼の複合拠点となっています。
製土工場では、九谷焼づくりに欠かせない磁器土を 60 年以上に渡って製造していて、花坂陶石の粉砕から陶土が完成するまでの製造工程を間近で見学することができます。また、ギャラリースペースでは、九谷焼の製造工程の常設展示や、産地のつくり手による企画展を開催しています。その場で気に入った作品を購入して、九谷焼の未来を担う現代作家を直接支援することもできます。
30人規模で利用可能な体験工房では、ろくろ体験や手びねりでの成形体験、絵付け体験など様々な体験メニュー(一部要予約制)を用意しています。
石川県の金沢から南加賀エリアの広域に渡ってつくられてきた九谷焼ですが、CERABO KUTANIのある小松市は、九谷焼オリジナルの陶石である「花坂陶石」の採掘から粘土づくり、型作り、「素地づくり」、絵付けまで、九谷焼をつくりあげる全ての工程が揃う稀な地域であり、また、個性豊かな作家と多様な形の素地を創り出す窯元の両方が活躍する元気な産地でもあります。
わたしたちは、そんな石川県小松市を拠点とし、小松市が誇る”石文化”の可能性を探求し、進化を続ける九谷焼の“美”と“技”を体感する場として、2019年春から運営しています。
コロナ禍における暮らしのメリハリの重要性
しかし、2020年、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、九谷焼の産地も大きく影響を受けました。
九谷焼の粘土や素地を生産する粘土屋さんや窯元は注文が減り週の稼働日を半分ほどにまで減らすところもありました。また、展覧会の中止に伴って作家さんは販売機会を失い、先が読めず、制作を進めづらい状況にもなりました。
産地の生態系が緩やかに影響を受け続ける中、この状況に対してどうにかアクションできないかと思い、この春にオンラインショップをはじめました。
まだまだこれからではありますが、オンラインショップを通じて、様々な九谷焼のつくり手や作品と、なかなか産地に足を運びづらいお客様とのつなぎ目になりたいと考えています。
わたしたち CERABO KUTANI も緊急事態宣言中は一時的に休館し、スタッフも毎日リモートワークを余儀なくされる中で、ステイホーム中だからこそ、気分を変えて日々の暮らしを楽しくする工夫の必要性も感じました。
色とりどりの釉薬による繊細な絵付けの技術が大きな特徴でもある九谷焼は、霽れ(ハレ)と褻(ケ)で言えば霽れの日に使いたくなるようなうつわが多いのも事実です。
でも、毎日リモートワークでよそ行きの服を着る機会がなかったり、おうちにお客様が来ることも少ない、日常にメリハリがなくなっている時代だからこそ、彩が豊かで霽れの日に使われてきたような九谷焼にできることがあるのではないかとも思うのです。
わたしたちは、そんな九谷焼の魅力を伝えていきたい、そう考えています。
暮らしに彩を添えてくれる、九谷焼の多様な楽しみかたを伝えたい
たとえば、九谷焼と言えば九谷五彩と呼ばれる緑・黄・紫・紺青・赤の色絵の具が有名ですが、それらを自在に活用して、絵付けされたスタイル、「五彩手」。5つの色をフルに活用した九谷焼らしい絵付が多いのが特徴ですが、食卓をより華やかに見せてくれます。
五彩の中でも赤のみを贅沢に使用し非常に細かな絵付けを施す「赤絵」。とっても繊細な絵付けは、思わずうっとりと手にとって目を凝らしたくなります。
また、下絵付けとも呼ばれる技法で紺青のみを用いて絵付けする「染付(そめつけ)」。濃淡も含め紺青の奥深さが際立ちます。
さらに、こうした色絵陶磁器の上に繊細な技術で金を定着させる「金襴手」。
他にも、作家さんや窯元を中心に九谷五彩だけではない多様な色による絵付の幅が広いのも九谷焼の魅力となっています。色使いは新しくても絵付けが繊細なところは上絵付けの技術が高い九谷らしいところです。
こうしたひとつひとつの九谷焼の奥深い魅力は、産地に来て、手にとっていただくのがわかりやすくはありますが、ここ、CERABO KUTANI 公式noteや、オンラインショップでできることもきっとまだまだあるはず。
まさに、産地とつかい手の“つなぎ目”になるべく、離れたところにお住まいのお客様にも様々な角度から九谷焼をお届けできるよう、発信していきたいと思っていますので楽しみにしていただけたら嬉しいです!
ひとまず今日はこの辺で。
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