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日経3万円は経済を反映していないって噂はどうよ? ーマネササイズ!

2021年2月15日、日経平均株価は30年ぶりに3万円台を回復しました。コロナによる経済・社会に対する心理的な負担が依然解消されないなか、株価だけ上昇するのはおかしい、実体経済と乖離している、という声も大きくなっています。果たして、その声は妥当なものなのか、マネササイズ!なりに検討してみます

日経平均:約4000銘柄のうちの225銘柄が代表選手となる

証券取引所には4000銘柄近くが上場しています。しかし、日経平均はその1割にも満たない、わずか225銘柄のみを対象にした指数です。なぜ他の銘柄を無視し、その225銘柄だけでを市場全体を語っても問題ないかというと、この225銘柄が"エリート"として選抜されているからです。流動性(市場での取引量が多い)が最大の選定要素ですが、そこにセクター(業種)の偏りが出ないようにバランスをとって選定されています。市場全体には名だたる老舗企業もあれば、昨日上場したばかりのベンチャー企業もあります。また、上場廃止により市場からはいなくなる企業も時々現れます。何十年も続く指数の連続性を保たせるために、あえて225銘柄に絞った指数を算出しているわけです。

一部の銘柄が指数を幻惑させる

このように非常に有用な日経平均という指標ですが、それぞれの銘柄の株価の変動の積み重ねによって、少し困った側面も出てきています。それは指数に対する影響の大小が銘柄によって差が出ていることです。影響の大きい代表銘柄が、ファーストリテイリング(ユニクロ)、ソフトバンクグループ、東京エレクトロン、ファナックです。この銘柄で構成比率は全体の約3割を占めます。
今週はその影響が如実に現れた週でした。水曜日(17日)は日経平均が上昇したにもかかわらず、多くの投資家は保有資産が増加しなかった可能性があります。というのは、この日は市場全体の半数以上の銘柄が下落していたからです。日経平均はファーストリテイリングの株価上昇の影響であり、100円以上を引き上げる結果となりました。金曜日(19日)は3万円をキープして終えましたが、投資家の体感温度としては、ニュースで騒ぐほどのホクホク感は得ていないのではと思います。

日経3万円は結局のところどうなのか

あくまで起きた事実ベースで見ると、今回の株価上昇は指数寄与度の大きい構成銘柄の株価が上昇したことによる影響が大きく、市場全体の雰囲気とは少しズレていると言えます。30年前の株価上昇はほぼ全ての銘柄・セクターが上昇した結果で起きたものなので、今回の上昇はバブルとは様相が違います。
もう一つ、実体経済との乖離はあるのか、という点です。元々株価というのは半年から1年後の景気実態の先行指標と言われています。つまり実体経済とは異なってある意味当然で、現実問題として航空や飲食業界などは大きなダメージを受けています。一方で、情報通信業などのセクターを中心に、むしろコロナによって好業績の様相を見せているものがあります。つまり、日経3万円という値に対し「バブルだ」「おかしい」という声は必ずしも当たっておらず、それなりに市場を反映している結果だというのが私の印象です。

年金資産のことを考えるとグッドニュース

一部の投資家やファンドが喜んでいるだけであって、一般市民には関係なさそうに見える株価上昇ですが、実はそうでもありません。将来我々が受け取る年金は国によって運用されているので、株価上昇によってその資産が増えることはとても良いことです。会社員等が個別に運用している確定拠出年金の評価額も増えます。株価が上がることによって、個人の資産が増えて支出が増えれば、後から経済は上向いてきます。疑心暗鬼にならずに上昇自体は喜びましょう。
株価が上昇するということは、個人が運用していない資産(現金等)の価値は相対的には減少することを意味します。マネササイズ!では運用の重要性を繰り返し訴えていますが、やはり資産の一部は運用資金に充てることが、安心した生活を送るためには大事なことだと思います。


(写真は共同通信より引用)

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