和訳(Fixe/1789 バスティーユの恋人たち)

1789, les Amants de la Bastille(1789 バスティーユの恋人たち)の全訳です。仏語話者というわけではないので、誤訳があるかも。見つけたらご指摘ください。

曲のタイトルの和訳は、日本公演時の邦題からとっています。

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兵士「国王陛下の名の元に、ラザール・ペイロール将校が言い渡す。1788年7月25日、マネオン、ケルション、マジュリエの三名は、脱税及び詐欺の罪で起訴され、有罪となった。土地は没収される。なお、この判決は本日から有効となる」
男「詐欺だと? ふざけるな! 払えるもんなんか、もう何もねえんだ! 食いもんだってもう何もねえ…。畑を見てみろよ、これじゃ一家で飢え死にだ!」
兵士「口を慎め! 我々に楯突けばどうなるか、いい見せしめになるだろう」
ロナン「父さん、父さん!」
男「ロナン!」
ペイロール「触るな、無礼者!」

ロナン
僕を殺してみろよ
誰が何といおうと、ここは僕らの土地
貧乏人相手に、あまりに横暴だ
父を連れていくなんて

この肌に
項垂れた不幸が
ペストのようにまとわりつく
僕らはそれしか持っていない
逃げることなんかできない
腹を空かせたまま
そんなに金が欲しいなら
この不幸ごとくれてやる

ペイロール「農民どもめ! 国王陛下の決定だぞ、従え!」
ロナン「クソッタレ!」
村人たち「クソッタレ!」
ペイロール「陛下に向かって口答えするつもりならば、いいだろう、撃ち殺せ!」
(銃声)
ロナン「父さん!? 父さん!」

[Le cri de ma naissance(叫ぶ声)/ソレンヌ]
動かないの
どうしてこんなことに
視線は硬直したまま
次は誰がこうなるんだろう
身を潜めて生きるしかない

夢は壊された 神は失われた
不死鳥の鳴き声が、わたしたちからすべてを奪った

主は試練を与えた ユダのキスのように
この試練を乗り越えなくてはいけないの?
最後には…

この世は不平等よ
王冠がなんだというの
わたしたちには絆がある
わたしには、奴らと同じ価値があるはず

ロナン「ソレンヌ、おまえは可愛い妹だ。僕らはここにいちゃいけない。
ここを離れて街に出よう。もう、それしか道はない。僕はいつか、父の仇を打つ。父の名誉と、土地を取り戻すんだ」