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京田陽太も放出

 中日がまさに、チェンジ元年を迎えようとしている。昨季まで正遊撃手を担った京田陽太と、これまた昨季まで横浜の勝ちパターンとして救援左腕のポジションを確固たるものとした砂田毅樹が交換トレードとなった。今回は、連日のトレードを行う中日の思惑と内野に名手が集う横浜がなぜ京田を獲得したのかを考える。

血の入れ替え激しい中日は

 中日は実に16人を入れ替えた。現役ドラフトで最低1人放出することを考えたら、実に17人と20人近くの血の入れ替えとなる。少しやりすぎ感もあるが、10年間で1度しかAクラスに入っていないという体たらくを考えると必要なことなのかもしれない。

 昔から中日は低迷すると大胆なトレードを敢行してきた。平成9年、ナゴヤドーム元年に最下位に沈むと矢野燿大前阪神監督と故・大豊泰昭氏を阪神へ放出し、その後ドーム野球の基本のキとなる機動力野球をチームに浸透させることとなる関川浩一氏、久慈照嘉現阪神コーチを獲得したのだ。その後は平成12年に5位に沈んだタイミングで山崎武司氏と平井正史現オリックスコーチをトレード。FAではあるが実質トレードと言った形で谷繁元信元中日監督と中村武志元中日コーチを交換した。

 その後は白井文吾前オーナーの「脱星野色」の一環からか、出血覚悟の電撃トレードは封印されていたが、現在の大島宇一郎オーナー、加藤宏幸球団代表という星野仙一元監督が懇意としていた大島派閥、そして星野氏の一番弟子である立浪監督がトップに立つ現状が2件の電撃トレードを可能にしたのではないかと推測する。

砂田は福敬登の穴を埋められるか

 各紙報道でも大いに取り上げられたが、救援左腕の柱である福が難病の黄色靭帯骨化症となってしまい、復帰のメドを明確にすることさえ困難な状況に陥ってしまった。実績のある救援左腕は血行障害を抱えている岡田俊哉のみという状況であったので、正遊撃手を出してまでも砂田を欲しかったのではないかと推測する。

 砂田の武器は左打者への投球だ。クロスファイアを武器とし、外郭一辺倒となり左打者に打たれる左腕が多い中、砂田は内角をシュートボールで抉ることも出来るのだ。これは同僚のエスコバーに感化されたのかもしれない。縁の下の力持ちとして大車輪の活躍を期待している。

「なぜ京田なのか」

 恐らく、両球団のファンがこう思ったのではないか。「うちには大和も森敬斗もいるのに、なぜ今更遊撃手を補強するのか」というのが横浜ファンの言い分で、「京田を放出してしまったら通年で遊撃手を計算できる選手が居なくなってしまう」というのが中日ファンの言い分ことである。好守好打でならしたが限界が見えていたベテランの倉本寿彦を放出し、大和と併用しつつ森を1人前にするという構想であると思っていただけにかなり驚いた。

 ただ、よくよく考えると横浜の遊撃手には中堅選手がいない。控え選手には柴田竜拓という素晴らしい選手がいるが、若手の森がへばり、ベテランの大和が衰えを見せたら誰もいなくなってしまうのだ。まさに中堅選手のドーナツ化現象が起こっているということだ。ただ、これは中日にも言えることで新人の田中幹也に土田と素晴らしい若手はいるものの全てが未知数。溝脇隼人も前述の柴田同様に控えだからこそ輝く選手だ。つまり、福の穴を埋めたことにより横浜の穴がそのまま中日に移ってしまったということになる。これだけがこのトレードを手放しで喜べない理由だ。

最後に

 この2人は長年主力を張っていたが、勤続疲労が目に見えている選手である。このトレードをリフレッシュと捉え、心機一転頑張ってもらいたい。

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