嫌な仕事、向かない仕事
個人の方から転職相談や昇進昇格に伴うコーチングを依頼されることがあります。たいていは大手企業の管理職クラス~中堅の方で、何かしら今後に不安を持っている方なのですが、何度か面談をするうちに「この仕事に向いていない」とか「やりたくないけど社命なのでしかたない」ということを言われることがあり、その度に、「やりたくない」「向いていない」って一体何だろう、と考えています。
これには決まった答えは無くて、話が深くなっていくと違う事なんだな、と気づくこともあって、実は人間関係のことだったり成長を感じられないことだったり、環境の不満だったり、原因は仕事の内容とは別のところにあることも多いのです。
適職を探すときに使うフレームワークで、キャリアコンサルタントが必ず学ぶことの1つに、エドガー・シャイン先生由来のWILL、CAN、MUSTというものがあります。何がしたいか、何ができるか、何をすべきか、ということです。難しく言えば、動機、コンピテンシー、価値観、というように言い換えられたりもしますが、やりたいこと、できること、やるべきこと、と考えた方がわかりやすいです。一例をあげると、若い頃や未熟な時点では、跡継ぎとかは別ですが、普通はやって楽しいことや、自分ができる(数少ない)ことの中から仕事を見つけていきます。やがて、その仕事を続けているうちにできることが増えていく、出来ることが増えるともっと楽しくなってくる、更にポジションや部下がついて責任が増えてくると使命感も出てくる、という感じです。そうなるとWILL、CAN、MUST、3つ全てが揃って、振り返るとその人にとってああ、良い仕事だったなー、となってきます。
今のは一例ですが、いずれにしても最初から3つ揃うことなんて、まず無いと考えるべきです。
本題に戻りますと、嫌な仕事、向かない仕事は言い換えれば「やりたくない仕事、出来ない仕事」です。WILLもCANもなく、MUSTだけがわずかに残っているような仕事です。しかしできるようになるとそれは変わる可能性があります。できるようになるためにはやり続ける事が1つの方法です。MUSTつまり使命感も責任も意味も感じないのであれば違う道を探しても良いですが、MUSTだけでもあるのでしたら、続けていけばCANもWILLもついてくる可能性があります。
もちろん行動を選択するのは個人の自由ですが、少し時間軸を変えて考えてみることが必要じゃないかと思います。何も持っていない、経験もさほど豊富じゃない今の自分だけの視点で考えたら発想にも限界があるでしょう。成長した自分、経験を積んだ自分の視点になってみてください。もちろん経験の過程では、嫌な人もいるかもしれないし、ひどい経験もするかもしれないけど、生きてさえいれば間違いなく何らかの成長はできるはずです。どこかで目の前の仕事の見方も変わるかもしれませんし、ネガティブなライフサイクルがポジティブなライフサイクルに変わるかもしれませんよ。