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『殿、利息でござる!』を観る

こんにちは、東京スタジオのヤマケイです。


Amazonプライム・ビデオにて、1766年の仙台藩領内の宿場町、吉岡宿が舞台の映画『殿、利息でござる!』を観てみました。

これまでも色々見てきましたが、Amazonプライム・ビデオは、Amazonプライムに500円払っていれば色々見ることが出来るため、重宝しています。

物を買うだけではないというのはかなり強いですね…。


『殿、利息でござる!』の原作は「穀田屋十三郎」で、2010年に映画にもなった『武士の家計簿』と同じ、磯田道史さんです。

『武士の家計簿』は冒頭、きちんとしたごはんや、ちょっとしたお金の問題はあるものの、昇進や家族仲が良い面の描写もあるのですが、『殿、利息でござる!』はしょっぱなから夜逃げの人が出てきます。

コロナでお店なども困っているという話もよく上がりますが、「お金が全くなくなってしまったら、どうすればいいんだろうなあ…」と思ったのが観るきっかけでした。

「町一番の知恵者」の菅原屋篤平治(すがわらやとくへいじ)がお金を稼ぎ嫁を得て帰ってくる途中、迎えが来たと思ったら「馬を貸してくれ」と言われ、ほとんど追いはぎのように馬を連れていかれてしまいます。

そしてその理由が「伝馬(てんま)役」にあると説明が入ります。

「伝馬役」はお上の物資を隣の町から引き継いで次の宿場へと運ぶ大事な役目ですが、お金はお上から出ず町が負担しているがために、馬や運び手の手配に金が必要で、破産・夜逃げが後を絶たないという状態になっています。

しかも、残った人は破産や夜逃げした人たちの負担をしなければならないので、ますます人が減っていくというスパイラルに陥っていました。


ここでどうしたかというと、「お上に金貸しをする、その利息で伝馬のお金を稼ぐ」というものでした。

バレたら打ち首になってもおかしくない提案の上に、金額は「千両=約3億円」を貸し出そうというわけですが、ただでさえ貧しいのに皆がそんな大金を持っているわけではありません。

お金を持っている人を口説きに行こうということになるのですが、言い出しっぺの菅原屋篤平治自身は「まあ夢物語でしょうね」と思っていたものの、皆が「このままじゃいけない」と思っていたこともあり、わりとトントンと進んでしまうところに、コロナで皆が窮している現状を思わず重ねてしまいました。

こんな感じで、前線にいる医療関係者や配送業者などに気をかけてくれる上役がいたらなあ…。

斬り合いがないため、そういう意味では気軽に観ることができます。

また、お上から利息を得ようという思惑はあるものの、町の誰かひとりだけが得をするということがありません。

それなのに、儲かると勘違いした人が話に乗ろうとしてきたり、売名行為に使いたい人が出てきたり、お金を集める話がいつの間にか広まってしまっていたりと、「どうするんだ…」と結末が気になる要素満載です。


大名(殿様)の伊達重村(だてしげむら)役に、フィギュアスケーターの羽生結弦さんがいるのも面白いです。

宮城県仙台市出身ということもあり、快諾したという話があります。

予告の時点で既に出ていたのですが、情報を入れずに観ていたため、出てきてびっくりしました。


多少フィクションの部分はありますが、実際にあった出来事をもとにしている映画です。

作中に出てくる浅野屋が作る「殿の春風」というお酒は、現在は「浅多商店」というところが取り扱っているようです。

お酒だけではないのですが、「このままお店が続いて欲しいなあ!」と思うような映画でした。


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ニイザト

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ヤマケイ