雑食牛の角煮

気まぐれのんびり屋な創作民。絵や文などをもたもた。のんびり遊牧してます。

雑食牛の角煮

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マガジン

  • えるそ創作SS

    エルソードのキャラをうちの子風に、創作したものになります。 当然公式とは全くの無関係。 容姿などは一覧にて

  • 龍の神の世界

    創作のストーリー気まぐれで突っ込んできます~('ω')

最近の記事

安寧を望む者の話

いつからこんなに、辛く苦しい戦いをしなくてはならなくなったのだろう… …あぁ、いや…忘れもしない、あの光景。 俺の愛しの家族を失った日。 「吉蔵!お前の見合い相手を見付けて来たぞ!」 「見合い…!!?父さん、いくらなんでも急すぎでは…!」 「何を言う!お前はもう27ではないか!長男が結婚しないでどうする!」 「いや…そうではなくて、失礼ではありませんか…よくも存じぬ女性を貰うだなんて…」 「では!お前は今まで女性と親しくなったことはあるのか!」 真っ直ぐ指まで指され、

    • 嘆きの雨

      この世界には三柱、神がいる。 一柱は世を強大な力で生命を守護する愛情の神と呼ばれる者。 一柱は世に知恵を与え恵と厄災を齎す恩威の神と呼ばれる者。 一柱は世の乱れを監視し生命を刈取る規律の神と呼ばれる者。 はるか昔、とある地域の人々は神を呼び降ろし願いを請うていた…そんな時代の、悲劇の話。 美しき花園の中心に佇むは愛情の神。 その視線の先に広がるは地上の戦。 力を手に入れる為だけの、己が強さに慢心した者達の行為。 …幼子ですら容易に予測出来たであろう、あまりに愚かな未

      • 彼を見つめる物の話

        私が覚えているのは、ある女の子の誕生日プレゼントとして買われた時の…箱が空くところからだった。 「わあ〜!かわいい〜!」 女の子よりも先に声を上げた男の子。 「有名な所で拵えて貰ったんだ!綺麗だろう?」 「かわいいけどお父さん、わたしもう10よ?りっぱなレディへのプレゼントがお人形なの?」 すまんすまんと笑うお父さんと、嫌なの!?と驚く男の子。 「じゃあ僕にちょうだい?大事にするよ!」 「ダメ!わたしのお誕生日プレゼントよ?お兄ちゃんが横取りする気?」 「文句言った

        • 狐に小豆飯

          俺が産まれたのはサンディールの都会。母さんとその家族に囲まれて赤ん坊の頃は育った。 その家からしたら、俺はだいぶ問題児だったらしい。 なんたって家のだーれにも懐かない、母親にさえそっぽ向くうえとにかくイタズラ好き。相当手を焼くガキだったらしい。言うこと聞かせる唯一の手段は俺の好物、桃をやる事だったそうだ。それに比べて弟は至ってフツーで、めちゃくちゃ扱いやすかったそうだ。 俺が5つになる頃、親父が家に来て俺を連れて山に行った。こちとら山に大はしゃぎ。親父は着いてくりゃいいっ

        安寧を望む者の話

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        • えるそ創作SS
          16本
        • 龍の神の世界
          5本

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          僕のヒーロー

          小さな頃、僕は陰気で臆病な性格のせいで周りから煙たがられていた。 僕はいつも1人で、帰る家も両親もなくて、お腹が空いてて、着ているものも汚くて、暗くて、喋らなくて…そこの子供達はみんな僕に出てけって言って、大人も僕を避けるように無視をしてた。 そんな中で…ただ、ただ1人だけ僕に声を掛けてくれた女の子がいた。僕は驚いて何も言えなかったけど… 「あーあー!ケガしてんじゃない!ダメ!そういうの!ちょっと来なさい!」 「えっ あ、あの…!」 その子は僕の意思と関係なく、血と土

          僕のヒーロー

          塗り固められた偽

          気付いた時にはもうあった。 心身共に刻まれていた。 女として産まれた烙印。 「お前が女なんか産むからこんな面倒な事になったんだ!!!」 毎夜聞こえる父の怒声。 「ごめんなさい、ごめんなさいあなた」 殴られて倒れ込む母。 「…おとうさん」 怯えたわたし。 自分が父と呼ばれ、腹の底から嫌悪感をさらけ出す。わたしを床に叩き倒して、腕を踏む。 「どの口が俺を親父と呼びやがった…あ!?お前の父親なんぞ居やしねえよ!!!二度と呼ぶなクソガキが!!!」 「いたいいたい

          塗り固められた偽

          少年が求めた夢の話

          街から少し離れた墓地。 そこに居るのは一人の男。 「お久しぶりです、おばあさん。」 彼は墓に花を手向け、その前に座った。 「今日は、色々と話に来たんです。報告する事が沢山あるんですよ」 自分の事、友の事、恋の事、夢の事… ずっと、中々出来なかった報告を。 ────── 「ランディ」 いつも変わらぬ親の言葉。 貴族であるこの家に生まれた一人息子である自分に求められる事は一つ。 その押し付けられる後継を息苦しいと感じる生活。 "NO"と言えたら、それ程に気分のい

          少年が求めた夢の話

          幼い天使の話

          "天使"それは神の使い。人間の願いを神に伝える者。 一口に"天使"と言えど、その生まれ方は様々。 神が自ら創る者もあれば、神のふとした感情や、天使同士の愛として生まれる事ある。 又は自然の一部から、自然に生まれてくる天使も… 「お花、今日もすてき!」 この天界の花畑で生まれ、花がある事で力を発揮する天使。 「みんな、お花で元気になって、ね!」 花で誰かを笑顔にするのがこの天使の仕事であり、力の源。 名を"チアシード"。 誰かを励まし、花で笑顔の切っ掛けを作る

          幼い天使の話

          人魚と冷たい人間の話

          友の力も借りて、少年を探す為にサンディールという砂漠地帯まで足を運ぶ事ができたけれど…長い間深海で過ごしていた彼女にとって、暑さは天敵。砂漠の日差しなんて耐えられるものではない。足元でミスティックが彼女を労る。横に付き、寄り掛かれと言わんばかりのセナルにそのまま身を寄せて、少しでも温度を下げる。セナルの身体は冷えていて、とても涼しいから――… 「なあ人魚さんよ」 「今日も宝石ジャンジャン出してくれよなァ」 でもここには、ミスティックもセナルもいない…とても、暗い部屋の中。

          人魚と冷たい人間の話

          陸に上がった人魚の話

          「声のない人魚なんて人魚じゃないわ」 貝から生まれて、間も無くわたしが言われた言葉は「はじめまして」でも「おはよう」でもなく「罵倒」というものだった。 本来人魚という生き物は、美しい声で歌い、様々な生物と交友を図るもの。だけど、わたしにはその"声"がないうえに貝の中で成長しきらずに出てきたのだと聞いた。だからわたしは他の人魚よりも少し幼くて、哀れんだお姉さんがたまに話をしに来てくれた。本当に、たまに。わたしはそれ以外なにも聞くこともなく、静かな海で、泡の音だけを聞いている

          陸に上がった人魚の話

          時を巡り続ける双子の話

          「いつか、目を覚ました時には…あの子の側に、いてやってくれ。」 Motherの手で、キングナソードのコアに素体を安置された私達。そして、添えられた傷付いた手…Mother、貴女はいつもそう言うわ。 だけど…ねぇ、Mother。 「アリーヤ……アリーヤ、目を…アリーヤ…!」 貴女だけ、いつも居なくなってしまうわ。あの薄暗い魔界で、貴女の亡骸を抱いて泣いているが誰か分かっている筈です。最愛の…結ばれる事すら運命に許されない、運命の人。でも、貴女が居なくなって悲しむのは彼だ

          時を巡り続ける双子の話

          哀れな少年の悪夢の話

          僕は物心付いた時から冷たい檻の中に居た。 檻には何人も何人も、沢山の人が押し込められたいた。 どの大人も子供も生気がなく、暗く俯いていた。 代わる代わる入れ替わり、入って来ては居なくなり… そんな様子を、ずっと見ていた。 たまに誰に話し掛けてみても、誰からも返事は返ってこない。 ある日、檻の前に大人数人と女の子がやって来た。 そして、僕を指差してこう言った。 「"アレ"がいい!白くて一番きれい!」 「しかしお嬢様、"アレ"はまだ調教が済んでおりません。」

          哀れな少年の悪夢の話

          とある親子の始まりの話

          「おとうさん!」 毎日聞いていた、愛しい息子の明るい声。私は「なんだい」と振り向くと、子供らしい絵で、自分の住む街の風景と、笑顔で手を繋ぐ自分達と母代わりをしてくれた我が妹。 「あぁ、とても上手だね」と褒めると、息子は嬉しそうにその絵を私にくれた。 …今でも、宝物だよ。 『―――異常ヲ見ツケタ。』 ――あぁ…神よ… 「ぼくが、一人で…?」 「そうだ。父さんと強くなる訓練をしただろう?」 「う、うん…でも、だけど…」 「大丈夫。父さんと母さんの子なんだ…お前は

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          アルビノの王

          私はバジリスク。それ以外の名はない。 我々バジリスクは、とても孤独なものだ。自らの毒で他の生き物を殺めてしまう。 その為に我々は強きが弱きを喰らう習性がある。死体を放って置けば、たちまち死体が毒によって腐蝕し猛烈な毒となり生ける者を滅する。毒以外にも、強靭で物理的な力も持っている。 …だがしかし、私は違う。 私はバジリスクだが、毒性は通常よりも薄い。その影響か、はたまた逆かは分からないが、アルビノという身体の白い個体として産まれた。親からは出来損ないなどと罵倒され、出

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          奇跡から生まれた子供

          遠い遠い、精霊の森の奥。長の血を受け継ぐネックの一家がいた。 その家に産まれた"奇跡"の力を持って産まれた男児。 それこそが精霊王、ヴンダー・トーナリティ。 森が生まれ、水が生まれたその時から泉に棲むウィンディーネが自分をも越える力のある妖精が産まれたのは初めてだと驚愕する程のものであった。 彼は育つにつれて、幼少の頃よりその頭角を現し森中が彼を長と謡い崇めた。 ただ彼は冒険心の塊であった。 やることなす事はちゃめちゃな事ばかり。 だが、それも全て収める程の…恐

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          愛しか聞こえない男の話

          私は、生まれ付き耳がよくない。 領主の息子として生まれながら、日常会話すらも意識をしなければ耳に入っては来ない。 突然の事には到底対応が出来なかった。 その為、幼い頃からお見合いの話が絶えなかった。 しかし現れる少女は皆自分の作ったいい性格ばかり… 誠に美しい心の方も居たけれど 「   …、お初………  ござ  」 聞こえない。 「…お引取り願います。」 「この子も気に入らないか…?とても器量のいい娘ではないか」 「  スィ  ま、  の  ……で   」 「貴女の声を

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