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自分の思う線を描くこと


子どもが絵を描く発達の順序としては、グルグルとなぐり描きから、円になり、目鼻がついて、そこから手足が出てということだったと思うが、あきひろは5歳になってもなぐり描きをしていた。私が、アンパンマンなど、あきひろの好きなものを描いてやると喜び、絵を描くのはお母さんの役目だった。

発達研究所アトムでレッスンを受けるようになって、しばらく経ったある日、あきひろはクレヨンで線を描きながら泣いていた。私の記憶では「くるま、くるま」と言っていたように思っていたが、その時の絵に「じどうしゃ、かくの」と書いてあるので、そちらが正しいのだと思う。それで、あきひろは自分が思うように線を描くことができないのではないかと思い、線を引く練習を始めた。

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紙の端にアンパンマンの顔を描いて、離れた位置にアンパンマンの家を描いて、その間に道を描く。「アンパンマン、お家に帰ろうね」と言いながら、その道を指でたどる。その次に鉛筆でたどり、そのガイドしている道を細くしていき、また蛍光ペンや点線にして、その上をなぞり描きする。最終的に道はなくして、アンパンマンと家を線で結べるようにする。同じようにして、しょくぱんまんやバイキンマンなどのキャラクターを使って、たくさん練習した。

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線が描けるようになったあきひろは、保育所でいきなり信号機を描いた。保育士さんがそれを大事に取っておいてくれた。それから、次々と人の顔を描くようになり、どれも同じ顔なのだが、私が「これは誰?」と聞くと「〇〇ちゃん」「〇〇せんせい」と一人一人の名前を言った。保育所ではクラスの子と関わることは少なかったのだが、一緒にいる人のことは意識しているということが、その絵から知ることができた。クラスの子どもたちも、自分の顔が描かれていると喜んでくれた。

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