見出し画像

大人へ絵本memo ~寂聴さんの絵本~

幼いころに仏教の絵本をよく読んでいました。跡形もなく私の回りから無くなっているので今となってはどんなお話だったのかもわからないのですが、月刊マンがのような紙質でA4版60ページほどの厚みのものが数冊あったと思います。蓮の花やお釈迦様の絵がきれいで、心地よく何度も眺めていたことを覚えています。

それから今まで何千冊かの絵本を読んできましたが、結局こういう絵本を読むと、私はホッとするんだなーと思います。帰るのはここなのかと。


優しさは

触れてこそ育まれるもの

なのでしょうか。


瀬戸内 寂聴さんが記した
経典がモトになっているという四つのお話です。

画像1

『針つくりの花むこさん』
瀬戸内 寂聴 (著) たなか 鮎子 (絵)
2007年 講談社


針職人の娘に恋をした王子が、身分を捨てて針作りの修行をし、お父さんに認めてもらうお話。インドの身分制度も垣間見えます。

「身分が違うから結婚が許されないなんて悲しい」って,
幼い自分も考えたことがあるのを思い出しました。
私は誰と結婚しようと思っていたのだろう(笑)
でも真面目な話、
自由になったようで不自由がいっぱいあるこの時代。本当の多様性を実現するためにも、このような話を語り次ぎたいと思います。



画像2

『幸せさがし』
 瀬戸内 寂聴 (著) はた こうしろう (絵)
2007年 講談社

幸せはどこにあるの?
母を亡くし塞ぎ込んだチンフーは、生前の母の言葉を頼りに幸福探しの旅に出る。ツライ旅をした挙げ句、誰かに頼まれた願い事ばかりを神様にお願いしてしまい、自分は何も願えなかった。

それでいいの?チンフー。

画家のはたこうしろうさんが好きなので、この本を最初に見つけました。


画像3

『おばあさんの馬 』
瀬戸内 寂聴 (著) 小林 豊 (絵)
2007年 講談社


夫と息子も亡くし、一人ぼっちになったおばあさんは、まわりの人にいろいろなものを分け与えます。唯一商人からもらった子馬を自分の子どものように育て、馬は立派になります。しかし馬を好きな王さまにもらわれてしまいます・・・

何も要らないから馬だけを大切にする。その生き方。



画像4

『月のうさぎ』
瀬戸内 寂聴 (著) 岡村 好文 (絵)
 2007年 講談社


森に来た老人に何もしてあげられないうさぎは自分の身を火に投げ出す。
インドのお話。

 この話の犠牲奉仕と忘己利他の精神から生まれる慈悲こそ愛の極限で、人間の根源の魂だと信じるからです。この愛の優しさを学校で教えなかった戦後の教育が、今の曲がった社会と、子どもの学校生活の悲惨な荒廃の原因になったと私は考えています。
月に人間が立った現実の科学の勝利を教える前に、悠久の空を仰ぎ、月光の美しさと宇宙への夢を、無垢な子どもの心に刻みつけてもらいたいという願いをこめて書きました。  瀬戸内寂聴(月のうさぎ あとがきより引用)



「生きることは愛すること。世の中をよくするにも、戦争をやめるにも、愛があればこそ。人を幸せにするにも愛あればこそ。愛こそは想像力です。子どもたちに豊かな想像力を身につけてほしいのです。」――寂聴
(あとがきより)


瀬戸内寂聴さまは、自分に素直に仏の道を進まれていて、自然で良いのだ、自由で良いのだと言うことを感じさせてくれるお人柄。受け取り方は様々ですが折に触れこの方の言葉を聞くと

誰もが幸せにならなければいけない。

そう思います。


大人にも子どもにも

この

温かな文章に

触れて頂きたいです。




この記事が参加している募集

推薦図書