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メギド72プレイ日記-72:常設イベ「メギドラルの悲劇の騎士」その1

このプレイ日記も節目の72回目なので、満を持して常設イベント「メギドラルの悲劇の騎士」を見ていこうかと思います。恐ろしくボリュームのある話なので、1回では終わりません。第1回です。

常設イベント「メギドラルの悲劇の騎士」

このイベントは、2021年の正月イベントにして、アマイモンのリジェネ回なんですが… そんな簡単な言葉で終わるようなイベントではない。

メギド史上最凶の正月イベントにして、メギド史上最上級に重い、情念の入り乱れた愛憎劇…となっております。

お話は、舞台劇仕様で、全体に劇構成を取っているんですが… 主人公マスティマが、舞台劇…というか、宝塚の舞台劇をテーマにしてるっぽいキャラクターなので… 内容はガチ、宝塚の歴史ロマンス系の劇を彷彿とさせるストーリーとなっています。

というか、マスティマ。この子一言で言うと、宝塚の男役系王子様女子です。だから、中性的な立場で、ヴェルドレへの愛情に身を捧げるかと思えば、アマイモンと「友情なのか愛情なのか判別できない」ラブロマンスを繰り広げたりします。

…というか、アマイモン、お前も、幼馴染2人と、そんなガチの愛憎劇繰り広げるようなキャラだったんか… ガープとコルソンに執着してる、身内贔屓が強い、情念重めの「まつろわぬ王」というイメージだったのが…。

この、「幼馴染設定追加」に関しては、愛の重さがガチだったのもあり、一部プレイヤー間で激震が走ったとか走らなかったとか、記憶にありますが… 内容が、「こんな事件でもなければ、一生誰にも(自分にも)絶対言わないし封印してた、心の奥底の一番弱いところにある欠落」を白日の元に晒すような話なので… コイツの性格上、今までお首にも出さなかったのは、納得感の深い話でもあります。

宝塚の歴史ロマンス系の話

ベル薔薇とか…なんていうか、そういう系の。話の流れが、特にマスティマの背景に関する話が、本当に「宝塚の歴史ロマンス系の劇ストーリー」を彷彿とさせるモノなので、ちょっと「それっぽく」言い換えてみましょう。

「宝塚の歴史ロマンス物だったら…」という前提で、意訳しますと、こんな感じです。

時はフランス革命前夜。

実力主義と厳しい教育で知られる、全寮制の王立士官学校"秘密の古戦場”団には、2人の若きホープがいた。

片や武のマスティマ、片や智のアマイモン。
2人は首席争いのライバルであり、互いを認め合う親友だった。

ある時、陰のある他とは異質な少女、ヴェルドレが転入してくる…。
学校の思想に馴染まない「異分子」に、2人は興味を持ち、近づいていく…。

彼女こそは、革命家一派の遺児であり、反逆的で退廃的と忌避される文化を受け継いだ、黒い子羊だった。

彼女に影響され、学校や政府の方針に疑問を抱いていく2人。しかし、夜毎3人で過ごす秘密の時間は、感じたことのない「楽しさ」にあふれたものであり、2人は耽溺していく…。

しかし、楽しい時間は長くは続かなかった。3人のことは学校に知られていた。革命家一派の思想に知的興味を持ったアマイモンは、反逆思想に染まったとみなされ、ヴェルドレと共に、粛清のシナリオが進められていく…。

学校の卒業課題として、マスティマに言い渡されたのは、「反逆思想に染まったアマイモンが、ヴェルドレを連れて逃げた。君こそが、奴を追い、討て。王室への忠誠を示せ」というものであった…。

マスティマが衝撃を受けたのは、アマイモンとヴェルドレが、「3人で」ではなく「2人で」逃げたということ。あの時間は、3人で共有したものではなかったのか。親友でありライバル…自分と『対になる者』と認識していたアマイモンが、自分を裏切ったこと。

マスティマは狂乱して2人を追い、激情の果て、アマイモンと決闘し、彼を殺してしまう。

だが、そこでヴェルドレに告げられた真実は、アマイモンがマスティマを置いて行ったのは、マスティマの「近衛騎士になりたい」という夢を叶えるためであったのだ…。

友の血に濡れた槍を手に、呆然と立ち尽くすマスティマ。彼女の前に現れた国からの追手は、マスティマを、「国のためならば友をも討てるその忠義。君こそ騎士に相応しい。君の推薦は受けている。君を騎士として迎えに来よう!」と褒め称える。

連れ去られ、卑賤の身に貶められるヴェルドレ。

「3人の」「大切な時間」を壊し、その功績でマスティマは、夢を叶え騎士となったのだ。誤解と嫉妬から友を殺し、それを国への忠義と讃えられて…。

という感じの、ストーリーです。まんま、宝塚の演目にありそう。

愛憎入り乱れて、マスティマが、ヴェルドレへの憧憬、アマイモンへの「ライバル」「対になる存在」としての認識、双方に対しての愛情と嫉妬を併発している。

3人とも、お互いに対しての愛情と憎しみが幾重にも折り重なって、感情が複雑骨折している。特に、マスティマ・アマイモン間が酷い。

アマイモンは革命一派に助けられて命を取り留め、革命軍を率いるようになり、マスティマとは敵同士として再会するのですが。(そのシチュエーションもヅカっぽい)

ストーリー5話でやっとアマイモンがマスティマの前に姿を現した時の、マスティマの叫びは、この流れで意訳するとこんな感じ。

「士官学校で首席だったキミが、反政府勢力に堕ち、革命軍を率いているだって…? 私の、私のせいか! 私がキミを殺したから…!」
「一命は取り留めましたがね」
「復讐がしたいだろう!? キミに、キミに殺されるなら本望だ。死んでキミに詫びることだけを考えてきた。さあ、私の命に幕を引いてくれ…!」

…宝塚の歴史ロマンス系歌劇、そのものだよね…。

「愛」としか言い表せない感情

「愛憎劇」というからには、「愛」が前提として存在する訳ですが。メギド72の視点に戻って。こいつら、純正メギドなのに(この「悲劇」が起こった段階では、ヴェルドレも)、「愛」としか言えない感情を、お互いに抱き合ってるんですよね…。

ヴェルドレのせいで、「ヴィータ的な感情」が深く育まれてしまっている。

それは、「秘密の古戦場」旅団長にして「マスティマはまだ影響が軽微だ。今後矯正できる」と言われてますが… いや、全然。重度だよ。

バナルマが明けて騎士になった瞬間から、マスティマは延々とこの「悲劇」のことを1日たりとも忘れず、後悔と罪悪感に苛まれてきたし、それが極限を迎えての「もはや、死ぬしかない。死んでアマイモンに詫びる。その前に、一目でいいからヴェルドレの元気な姿を見て、そして死ぬのだ…」という感情。メギドの…少なくとも、マグナ・レギオのメギドの感情じゃない。

めちゃくちゃ、ヴィータ的な情緒だと思うんですが…。

アマイモンはアマイモンで、沈着冷静を旨とし合理的・計算して動くタイプですが、基本的な行動理念の根本が、コイツは全て「情」です。奥に隠しているけど、恐ろしく情動豊かだよ、コイツ。

それも、全てヴェルドレと、3人の「遠い情景」に育まれたものなんでしょうね…。

アマイモンの行動が、「らしくない」

今回のストーリーに関する行動が、アマイモン自身の、「普段の彼の行動理念」を裏切ってます。やってることが、「いつもらしくない」。

そもそも、こいつは普段、「敵は絶対許さない、殺す。味方は大切にする」というのが基本で、「敵であることは、それだけで罪だ」「敵には一片の情けもかけない」という理念を持っているんですが。

マスティマは「敵」であるにも関わらず、最初から助けようと動いている。彼女が破滅する「悲劇」を食い止めようと暗躍していたし、しかも、「思惑通りなら」マスティマがアマイモンの存在にも気付かず、最終的に何事もなく議会に帰って生きていけるように、手を回している。…「敵」を見逃すどころか、帰る場所までも用意して「守って」いる。

これだけで、マスティマ(とヴェルドレ)が、彼にとっていかに「特別」な存在なのか分かります。「身内にはとことん尽くすが、それ以外には疑り深く、冷徹」なのがアマイモンなので、彼にとってマスティマが、「敵」以前に究極的に「身内」なのだと理解できます。

5話でマスティマを決闘で倒して、「絶望させて」情景に帰らせる筋書きの時も、「気に食わない」とそれを拒否して、マスティマに手を差し伸べています。「お前、そこまで優しくするの…?」と普段のアマイモンを見てきた身からすると非常に驚きましたが… どんだけ、マスティマのこと大切にしてるの?

本当に、「らしくない」んですよね…。だからこそ、リジェネレイト…彼の「変化」に結びつく物語なんでしょうが。

今日はここまで

このストーリーの「主人公」3人の関係性の「前提」に触れる話をしました。それだけでもう、このボリュームになってしまった…。

このイベント、本当、ボリュームが凄いんですよ。幾重にも入れ子になったストーリー構成、3人の「過去」、マスティマが動いた「現在」、ヴェルドレの現状と彼女を襲った何十年か前の「愛の悲劇」、パイモン&バラムの視点、ソロモンの経験する「今回の事件」、それを仕組んだアマイモンの暗躍と舞台への登場、それら全てのきっかけを作った「真の黒幕」、「紡がれた物語」、「夢見の者」…関係する要素が多岐に渡り、それらが立体的に組み上がってストーリーが成り立っている。

ある意味、ここまで見事に組み上げられた物語は、メギド72のイベントストーリーの最高峰ではないかと、感じています。

そして、要素の1つ1つが重いので、何日にも分けて、ちょっとずつ話していこうかと思います。