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本日「歌う骸骨と羊飼い」

「鬱病は嘘の病であり、それに連なる自律神経失調症といった病も勿論嘘である。全くどうして、人というものは息を吐くように嘘を吐く。人間の身体の6割が水分なら、残り3割は嘘でできているといっても言い過ぎではない。"1割余る"だって? この気にしいめ。ならば残りはナイーブだ。

 ああ、そういえば、離人症も嘘だったな。"やる気がない"、そう言い換えればよろしい。また、神などは言うまでもなく嘘である。なに? "神の御業を見たことがある"? もう駄目だ。信仰に根拠を求めたな。神は信じることによってしか存在できないのに、お前はあまり神を信じていない。なぜなら、そんなものが無くとも生きてゆけることを知っているからだ。
 過剰な自意識は、嘘に対して"それは嘘ではないか?"と態々指摘する。故に、何も上手くいかなくなる。もっとシンプルで良い。"自分は何者か"。その問いには、"お前だ"以外の答えが存在するのか?

 さて、最初に申し上げた通り、人間は息を吐くように嘘を吐く。いや、偶に真実を言うときもある。嘘時々真実、所により嘘、といった具合である。何より、"嘘吐く"ことそれ自体は、紛れもない真実である。ああ、お前は今そこに存在している。それは尊いが、同時に価値は全くない。

 たった数文字分の症状に身を委ねるのはさぞかし気持ちいいだろうが、偶には窓の外を眺めてみるのも良いだろう。意外なものが見えるかも知れない」

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