世間は右手に優しい
左利きである。
左利きで得したことは特にない。
今の30代以下の世代にそこまで「小さい頃親に右利きに矯正された」という人はいないと思う。
いるはいるだろうけど、それは差別意識とかよりは親の気遣いであるパターンもあると思う。
なぜなら、左利きで得するというか、左利きの恩恵を受けられるというか、そういうシーンがないばかりか、むしろ損をするシーンのほうが、世の中圧倒的に多いからだ。
たとえばホテルの朝食などのスープバイキングで困ったことはないか?
ないならあなたは右利きだ。
左利きは、スープを器にそそぐのに一苦労する。
スープのお玉がどうなってるか、思い出してほしい。右手で持った時内側にそそぎ口となるつまんだような形状がくるようになってるはずだ。
あれを左手で持ってみてくれ。そそげない。
でも、しょっちゅうあの形状のお玉を使うわけじゃないから、わたしたちはついうっかり左手でスープをすくってしまい、後悔してそうっと右手に持ち替え慣れなくて震える右手で器に流す。
こういうことが、日常的に起こり得るのが左利きという人間たちなのだ。
ちなみに、世の中のありとあらゆるものは基本的に右利きがやりやすいようにできている。
ハサミ(右利き用を左手で使ってるし左利き用ハサミは怖いんだけど)
横書き用ノート(リングノート、死んでくれ)
出刃包丁(そもそもキッチンも右利きに便利に設計されてんだよな)
缶切り(右手で時間をかけてやる)
テーブル付きの椅子(死んでくれ)
急須(死んでくれ)
とっさの握手(ごめん、敵意はないんだ)
etc、etc。
あとわたしが一番許せないのが小学校のとき習字の時間わたしが左手で筆持ったら教師に「右手で書け」と言われたこと。
これは右手で書けと強要されたことに憤ったのではない。
右手で書かないと漢字は美しく書けないことに気づいて憤ったのだ。
とめ、はね、はらい。
これらは右手で書いたときに美しくなるよう計算されている。
まあ左利きでも字の上手い人はいるが、それは正直本人の死ぬほどの努力の上に成り立ってると思ったほうがいい。
個人の感想と観測だけど基本的に左利きは字が上手くないし、上手い人もなんていうか丸みのない字になりがちだ。
あとね、人とご飯食べるときに肘がぶつからない席順を考えて「わたし左利きだからこの席がいい」って先回りして気を利かせて言うんだけど、なんか、いまいちピンときてもらえないときが多い。
右利きが多数を占める世の中で、右利き同士で食事に行くことが多い中で、「食事してて肘が当たる」経験をしたことのない人も多い。
わたしが左利きであることを知った人間が次に言うセリフ第3位「左利きって頭いいんでしょ?」
なんでやねん。
ちなみに頭は別によくない。
左利きだとなんで頭がいいことになるのか因果関係が分からない。
え〜だってレオナルド・ダ・ヴィンチも左利きだったらしいよ〜!
うるせえアインシュタインは右利きだよ。
左利きで唯一得したのって、マウス動かしながらメモが取れることだけど、別にマウス動かしながらメモ取ることあんまりないしな…。
改札でも自動販売機でも、わたしはなんとなくモタモタしてるよ…。最近は自販機もタッチアンドゴーだから小銭モタモタもそんなしなくなったけど。
甘えんじゃねえ左利き用の道具もふつうに売ってんだからそれ使え?
左利き用の道具ってふつうの道具より高価で僅少なのご存知? だって生産ロット少ないからね。
左利きだというそれだけでふつうより高い金出して道具揃えるの悲しすぎる。
もっとユニバーサルデザイン普及しまくってほしい。もう右利き用とか左利き用とかいう概念消えてほしい。
マジで左利きで得したことがなさすぎてツラピノヤツ25461世。
25461代も独裁続いたら世の中が混迷極めちゃう。泣いていいか?
というわたしの暗澹たる愚痴を踏まえてからこの記事のヘッダー画像を見ることで、盛大な伏線を回収しての完結とさせてほしい。
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