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お気に入りのたんたか短歌

 小説を書いてる人間だけど、短歌も楽しんだりしている。
 才能があってもなくても、楽しむことができるのが短歌だなあ、と思っている。
 もちろん、じょうずに詠めるほうが楽しいので才能はあるならあったほうがいいだろうけど、57577の音に気持ちを乗せるのはきっと誰しもとても心地よいから、やったほうがいい。

 日本人だからね(?)

 わたしは主に恋愛短歌を詠んでいる。
 書いてるのも恋愛小説だから、まあそうなってもおかしくない。
 わたしが詠んだお気に入りをちょこっと載せます。


洗面所、開けたピアス、染めた髪。世界は変わるはずだったのに

聞き飽きたセリフに踊る気はないが、夕飯、からあげ、ちょっと反則

口紅で鏡に「GOODBYE」書いてみた。恥ずかしくって、でも消せなかった

歴代のきみの彼女はショートヘアだからわたしは髪を切らない

特別な目的もなく鈍行に乗れば海へと続く気がした

春がきてまた唇がなぞってるきみが教えてくれた花の名

黄色い線の内側に立ち振り返る。映画のようにはいかない結末

君と見た最後の星が溶けていく朝焼けの色、忘れてしまった

「終電を逃した」きみが強張った顔で言うから嘘だと分かる

「ゴールデンウィークだからどこか行く?」「理由がなくてもどこか行こうよ(笑)」

「失恋か?」茶化してるけど分かるんだ、あなたは長い髪が好きよね

明日この世界が終わらなくてもさ、きみの好物が今日の夕飯

窓を開けたまま眠りについた夜、あなたと海に行く夢をみた

新しい靴があなたのところまで勝手にあたしを運んでいくの

おしまいの駅から続く海岸線に来れば何か変わるはずだった

背を向けて甘い寝息を吐くきみに優しくしたいわけじゃないんだ

隙間なくコルクボードに標本のようにピン留めしたきみの表情(かお)

ひとつ、ふたつ。きみの背中にあるほくろ、つなげてわたしだけの星にする

坂道をびゅんと下っていくチャリの後ろで速い鼓動を聞いてた

「あんな奴やめて俺とかにしとけば」深夜3時の真面目な横顔

テキストとにらめっこして、赤い糸結ぶように編む君のマフラー

口八丁、「愛しているよ」。手八丁、そっと触れたら寝技一本

どうでもいいわたしの話に「ん?」って首傾げてほほえんでくれる人

きみからのラインの返事が来ない夜、誰かを嫌いになりそうな夜

好きだ、って言われて浮かれて傷ついて。背伸びをするのもうやめたんだ

「牛乳はあたためたらミルクになる」マジな顔してきみがそう言う。

真夜中に食べたアイスは甘かった。誰かの視線を気にしてるから?

髪切った。ネイルも変えた。靴も履き替えて気づいた、恋してるって。

僕だって、君さえいなきゃこのままでずっと優等生でいられた

きみとぼく、トゥルーエンドを待っている。あの日見た虹、掴めなくていい。


 ちょこっと、とか言ったの誰? めっちゃ載せてんじゃん。自己愛のかたまりすぎる。
 え、でもよくない? わたし自分の短歌けっこう好きなんだけど、よくない?
 ひとつずつ解説したいけどそういうのは萎えなので我慢する。
 でもこれだけ言わせて。「歴代のきみの彼女はショートヘアだからわたしは髪を切らない」については、「「きみ」の好みはきっとショートヘアの女の子なんだろうな、髪の毛切ったらワンチャンあるのかもしれないけど、でも彼女になったら「きみ」の歴代の女の子と一緒になっちゃうからじゃあこのままロングヘアで友達のままずっと一緒にいるほうを選ぼうかな……」みたいな複雑な乙女心読み取ってくれよ。(言っちゃったよ)

 短歌ってたのC!

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