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小説

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2020年7月の記事一覧

棘を知らぬは彼女だけ

棘を知らぬは彼女だけ

 コンビニのバイトは、ときどき迷惑な客が来て疲弊する以外は平和だ。
 そう、時々、意味の分からないクレームをつけてくるジジイとか、しょうもないことで騒ぐババアとか、無駄に凄んでくるおにいちゃんとか、日本語を理解しないおねえちゃんとか、商品棚の隙間を走り回るクソガキとか、スリルを求めて商品を懐に忍ばせる中学生とか、そういうのの対応をしなければならない以外は、平和だ。

「いらっしゃいませ~」

 で

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無神経なフリの牽制

無神経なフリの牽制

「あ、なんか今、猛烈にダッツのリッチミルク食べたいかも」

 時刻は二十三時を回ったところ。あたしのおなかが急にハーゲンダッツのリッチミルクを欲した。
 なので正直に宣言すると、ぼうっと深夜のテレビを見るわけでもなく眺めていた藤馬が、露骨にイヤそうな顔をしてとなりのあたしに顔を向けた。

「ないよ、そんなん」

 そんなこと、存じ上げておりますとも、はい。
 ソファの上でお尻をもぞもぞさせて藤馬に

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