バブルの頃#176:信用調査をネタに詐欺もどきの勧誘

発端
火曜の朝、会社に「緊急で信用調査の依頼を受けたので、インタビューしたい」という電話がはいりました。「今回の依頼は上層部からの依頼です。詳細は調査員がうかがうので時間をつくってほしい」とのことでした。それも、依頼主が急いでいるので、1時間後に会いたいとのことでした。そこで、急遽、予定を変更して、オフィスで待機しました。
オフィスに現れた人物は、調査会社の名刺、封筒を持っていました。よく聞くデータバンクに似た名前でした。電話口では、詳細な聞き取り調査をしたいといっていましたが、実際のインタビューは、短く簡単なものでした。調査員は次のように言いました。

「今回の信用調査は、上層部からの依頼で、緊急とのことです。依頼主がどこか心当たりがあると思います。先方は、今回の取引を前向きに考えており、私どもも良い結果となるようご協力したいと思っています。御社の経営内容と社長の経営方針をうかがい、依頼主にレポートさせていただきます。」

簡単なQ&Aの後、電話を貸してほしいといい、調査員は目の前で上司にインタビューの内容を報告しました。その後、電話をかわってほしいといわれました。電話口で調査員の上司という人物が早口で今回の調査の重要性を説明してくれました。その後、話が勧誘に変わっていきました。

「今回の調査は、調査員のレポートによると問題ないと思います。そこで、本日うかがったデータを当社で預かり、メインテナンスをさせていただきたいと思います。御社の信用調査の依頼主には、弊社が御社のデータを預かっているということをレポートします。もちろん、御社のデータを弊社が預かったかどうかは依頼主の調査項目に入っています。」

ここで何か変な感じがしまし、データを預かるというのは有料かどうかをたずねたところ、年間12万円という答えがかえってきました。

「調査の依頼主がだれかも知らされず、その依頼主が会社データ保管料12万円を払ったかどうかを信用調査の項目に入れているというのは、納得できません。」と応えたところ電話を、目の前の調査員がさえぎり、電話での勧誘が終わりました。

調査員は、次にサービスメニューを提示し、「12万円というのは御社が信用調査を依頼される場合の費用が含まれています。御社では信用調査が必要ないと思いますので、その場合は年間3万円で会社データのメインテナンスをします。そして他の調査会社からの与信調査には代理応答のサービスがあります。社員を新規に採用される予定があるそうですから、その際にも役にたつと思います。」

そこで、信用調査を受けるのに、費用が発生するとは思わなかったといい、今回の信用調査項目に調査会社との契約有無が条件にあり、これを拒否した場合はどうなるかと聞きました。答えは、依頼主にデータ保管を拒否したことをレポートするだけとのことでした。それでは、12万とか3万とかの費用支出を即決するわけにはいかないので、1日待ってほしいといいました。調査員は依頼主がレポートを急いでいるので、待てないといいました。

それでは2時間待ってくれないかといったところ、

「1時間でも1週間でも同じことです。長い経験から、即決できない人は、時間をかけてもできないのです。依頼主は急いでいるので、会社に連絡してFAXで即レポートすることになっています。わかりました、依頼主には拒否したことをレポートします。」

質問「拒否すると、弊社の信用調査はどうなりますか」

答え「即決できないということは、経営者の資質の問題です。人物評価の項目では、経営判断力が不足、他人の話をきかないというレポートをいたします。」

ここで、和やかな雰囲気を維持しながら、調査員には会社に戻っていただきました。

今回の信用調査がらみの勧誘は、いいタイミングでした。まさに複数の取引先から注文書をもらう前日でこちらは、その辺かと勘違いしました。時間がたって思い出したのは、某大手調査会社のインタビューを受けたときも、このような勧誘を受けました。大きな違いは、即決を迫らず、検討して後日返事をもらいたいということでした。そのときは、事業管理の担当者が契約したいといってきました。

今回の与信調査は、詐欺まがいの勧誘だったと思っています。拒否反応がでたのは、電話口での上司なる人物が、目の前にいる調査員より若い感じで、早口でまくしたてたことでした。たまに電話で商品先物の勧誘を受けますが、よく似ていました。早口で丁寧な言葉を使い、金額の話には触れずに契約を迫るやり方です。

そして、時機をとらえた巧妙な勧誘で3万円すら被害に遭わなかったのは、支出に慎重だったからではなく、今月は即決できないという理由です。

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