詩のようなもの: 「春、」

春、

「うららかな春の日差しが、」
なんて丁寧な挨拶はごめんよ
残酷なよそよそしさと、
かすかな懐かしさとともにいつも訪れるくせに
そんな上品な言葉で惑わせないで、
春は好きだけど嫌い、
子供のころからずっと
春は「期待と不安」と形容されてきて、
その形容を春は受け入れてきたけど、
それはよそ行きの顔でしょ
本当はもっと残酷
穏やかな日差しは、
過去と未来を目まぐるしく
思う存分ごちゃ混ぜにして、
そして何喰わぬ顔で、今年もきっと過ぎて行く
私は置いていかれぬように、
新しい季節や門出を祝福するふりをする
やがて私の感情は春の風にさらわれてゆく

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