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海外駐在したいなら、大企業はさけるべき。

大企業の海外駐在は高倍率

トヨタ自動車で働いていた最後の1年間、私は会社の時間外活動で、『マネージメント研究会』という月刊誌の記者をしていました。この雑誌は、ビジネスリーダーやアスリート、政治家にインタビューをして、トヨタの経営に対する提言をする、という目的でした。

私がインタビューの相手に選んだのは、夫が務める会社の会長でした。その海外赴任に関する人事方針に強い関心を抱いていたからです。

夫は、入社3年目からドバイとベルギーに駐在をしており、大阪本社では約1年しか働いていませんでした。その話を最初に聞いたとき、「この人はきっと仕事ができる人なのだろう」と思いました。ところが、よく話を聞くと、夫の会社では10年以上ずっと海外という人は珍しくないといいます。

他方、トヨタでは海外駐在は一度行かせてもらうと、帰国して4年は日本勤務が通例でした。

私は就職活動をしていた頃、一貫して「国際的な仕事がしたい」と言っていました。海外で働きたい、ということが一番大事なのであれば、大手商社や小学生でも名前を知っているような大手メーカーより、すこし規模が小さい会社の方が良いということに、夫に知り合って気がつきました。

大手商社や大手メーカーでは、英語ができる人、海外に行きたい人はたくさんいます。チャンスはなかなか巡ってきません。

「人を基軸とした経営」

夫の会社の会長へのインタビューをとおして、「エリートがたくさん集まる企業ではないからこそ、従業員を信じてチャンスを与えて、やる気を出してもらう」、という話を伺えました。

海外駐在だけでなく、従業員がやってみたいと思うことに対し、諸々のチャンスを会社が与えているのではないかと思いました。個々人の「わがまま」を性善説に基づいて信じるような組織思想があるように感じました。その会社の離職率は日本の中でも低いほうです。

会社のブランドより大事なこと

もちろん、トヨタを選んで良かったと思う点もあります。長期で人を見る社風が特に好きでした。

「世界のトヨタ」というブランドは、MBA受験に有利でした。とりたてて実績のない私がMBAに合格できたのは、トヨタ出身で女性、というのが一番の理由だったと思います。そして、ヨーロッパの中ではトップ校と言われるINSEADへ行けたおかげで、卒業後にヨーロッパで仕事を見つけることができました。

しかし、それは履歴書の見映えが良くなって、わらしべ長者のように、会社から会社を渡り歩く人生になってしまいます。同じ仕事で、じっくり腰を据えないと見えない仕事の面白さもあるのかもしれません。

知る人ぞ知る優良企業では海外に行くチャンスが若い頃からたくさん巡ってきやすいです。早く海外に出て、責任ある仕事をしてぐんぐん力をつけることが、キラキラした履歴書を手に入れる以上の「実力」という価値を人生にもたらしてくれるように思います。

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