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うちのピアノ室の話

 テレワーク、リモートワークと盛んに言われるようになり、最近うちの夫もごくごくまれにではあるが家の自室で仕事をするようになった(基本は会社に行っている)。
 今週夫が自宅で仕事をするときに、テレビ会議があるというので、ふと思いついて私の防音室(ピアノ室)を貸し出してみた。グランドピアノ1台と椅子と小さめのキャビネット以外ほとんど何も置いておらず、装飾物もないので背景を気にしなくて済むだろうというのが理由だったが、考えてみると
・話し声程度であれば周囲に全く音漏れしない(電話には最適)
・静か
・エアコンあり、電源とれる、通信環境良、テーブルの代替品あり
 …というわけで、ピアノのせいで狭い以外はそこそこ快適に思える。コロナ収束後のテレワークのことを考えても、カフェで仕事の電話を大声でし、周りの人にノートパソコンの画面が丸見えという状況よりはよほど良いように思った(なお私のピアノ室内では飲食NGにした)。実際朝の仕事開始前にセッティングのためピアノ室にこもってきた夫は「ずっとあそこで仕事したい」と言って戻ってきたし、その後いったんは自室に引っ込んだものの、ピアノ室のほうが集中できるだのなんだの言ってすぐに移動していった。
 それで思った。恐らく現在の状況がある程度落ち着いた後もテレワーク推進の流れは続くだろうが、これ家庭用防音室の需要くるんじゃない?

 などと考えていたらもう既に楽器店のページでぱっと見わかりやすそうなものがあった。

 ヤマハにもこんなのが。

 あとは各々「テレワーク 防音室」とかでググって下さい。だんぼっちからオーダーメードのプロユースまで様々。

 ♪

 せっかくなのでこれまでの私と防音室の付き合いについて書いてみたい。ピアノも音が大きい楽器なので、家庭での練習には防音室がどうしても必要だ。ピアニストの演奏をずっと聞いていられるなんて~などと言われることも稀にあるが、私たちもいきなりステージのように弾けるようになるわけではなく、地道な練習を重ねて重ねてこうなっている。そして他人の地道で退屈な練習を聞かされる方は、多分だけどたまったもんじゃない。(実際モスクワの時の寮(築何年かわからないし、防音なんてもちろんないぜ)では、他の部屋の練習の音が筒抜けだった。真上の部屋の人がピアノ専攻で、しかも練習室や学校の空き部屋を使う習慣がなく、一日中部屋で練習するスタイルだった時には…)

 私が小学校3年だったクリスマス、当時暮らしていた銚子の家に防音室とグランドピアノがきた。もったいないことに一年しかまともに使わなかった(一年後、父親の仕事の都合で転居し、転居先には防音室は持っていけなかった)。
 その防音室-ヤマハのアビテックスは恐らくだが1992~3年くらいに製造されたものだと思う。今と内壁の様子が異なり、一枚一枚の壁の隅から隅までびっしりと細かな糸のループが詰まっていた(目の細かいパイル地とでも言おうか)。猫を飼っていた我が家はすぐに引っかかれてしまいそうで、とにかく猫が入らないように気をつけていた。ただ、そのモコモコの壁ゆえか、中で演奏していても非常に音が吸われていると感じた。あと何より居心地が良かった。空気がきれいに感じたし、狭くて気密性が高いせいか安心してゴロゴロできた。…私はグランドピアノの下が大好きだ。
 その後も練習と環境についてはさまざまな経験をしてきたと思う。夫と新婚で住んだアパートはいわゆる音大生・音楽家向けの物件だった(とうたっているのに完全防音ではない、単なるダイワのD-Roomである)。約8畳の部屋が2部屋あり、片方はほぼピアノ専用にしていたので贅沢は贅沢だった。

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(写真:新婚当初のピアノ室…もとい、ピアノを置いた方の部屋。下に置いてあるのは使われていない布団。)

 さて現居に移るとなって、ごく普通の家屋だし近隣も住居が密集している上、ピアノだけでなくたまに大声で泣く1歳児(当時)がいることもあり、もうこれは防音不可避だろうということで引っ越し前に防音の見積もりを3社取った。昔お世話になったヤマハと、同じようなユニットを提供している他社(お世話になっているスタジオのオーナーさんからのご紹介)、あとユニット型でなくマンションの一室をまるまる防音室にリフォームした先輩が頼んだという会社の計3社で検討し、費用面と先々転居するときに持っていける可能性、何より25年前とはおよそ別の商品だと思えるくらいの驚異的な進化を遂げていたことと、私の所持しているヤマハのグランドピアノを中に入れたときにやはり相性が非常に良さそうなこと、今のところ生徒のレッスンやアンサンブルに使う予定がなく個人練習用だということで、またヤマハのアビテックス(セフィーネNS)のお世話になることにした。構想約4か月、旧居からのピアノ搬出半日、新居でのアビテックス組み立てからピアノ搬入は別日で半日。
 ピアノ搬出のときの写真があるので何枚か貼っておく。

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(写真:ピアノの足が外されて先に運ばれていくところ。グランドピアノはこまごまいろんなパーツが外れます。ていうか散らかっててほんとにごめん。引越直前だと思って。。。)

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(写真:そしてメインの部分は横倒しにされて運ばれていく。当時1歳の子供がこの場面を見て怖かったらしく泣きました)

 そんでもって搬入の日は気づいたらこうなっていた(当日の写真これしかなかった)。組み立てがあっという間だったのと、数日間ピアノと離ればなれだったので気が気でなくて記録の写真を撮っていなかった。そうそう見られるものではないので惜しいことをした。

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 夫がテレワークに使った防音室とはこちらのこと。
 最近子供の英語の先生がZoomレッスンをしてくれるのだが、その際もここを使っている(最終的に子供のピアノ即興練習を聞いてもらう会になっている)。あと、私がピアノの下にもぐるのが好きだったので、子供も好きになるかしら?と思い、絵本を何冊か置いている。
 肝心の性能だが、中で私が大きめの音量でピアノを弾いて、それを夫に家の外から聞いてもらったが、ほとんど聞こえないそうだ。よく聞けばわずかに聞こえるそうだが、この家で弾いていると特定することはできないと言っていた。防音の効果はありと言ってよさそうだ。
 壁は古いアビテックスのようにパイル地状ではなく一見普通の壁で、そこに音場壁パネルというものが何枚かつけられている。中にいる分にはあまり吸音されているようには感じない。

 私もできることなら毎日がんがん練習したいところなのだが、未就学児がおり何分ももたない(それどころか、子供本人が弾きたがってすごい)。そのため使っていない時間もそこそこ長かったので、夫によって新しい使途が生まれたことは単純に少し嬉しかった。あと今のところピアノ室を子供が泣いたときの避難部屋に使ったことは意外なことに一度もないということも記しておきたい。
 無論願うは平穏な状態で、働き方の選択肢が増えることである。一日も早くコロナが収束に向かうことを願ってやまない。

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わお!
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ピアニスト、たまにロシア語通訳(現在育休中)。日中はミスター・不屈の魂の2歳児と格闘しており、恐らくピアノにあまり使わないであろう部位ばかり鍛えられています。一年中野球ばっかり見てる燕党。https://www.marienne.net/
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