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日本の暮らしでは、一年中晴れと雨が良い具合に混ざり合って、常に大地は潤っている状態が多い。大体。梅雨以外の季節でも十日に一度は少なくとも雨が降る。
 Casa Arkadiaのあるメキシコのこの地域は、雨季と乾季がくっきりと分かれている。雨季は6月始めから9月の終わりまで。その間、一日おきか少なくとも三日に一度は雨が降る。雨の降り方もクッキリとしていて、雷暴風付きの豪雨が1−2時間。バケツをひっくり返したような雨という表現そのもの。台風直撃のあのひどい状態が1−2時間と思っていただければ大体間違いはない。それが毎日、一日おき。二日降らないと物足りない気がする。
 それまでからっからに乾いていた大地も雨水で十分に潤うと、翌朝の空気はとても良い香りがする。キャンプ場の朝のあの香りだ、と表現する私は東京生まれの東京育ち。
 白茶けた大地、ぽつりぽつりとしか緑をつけた木々はなく、乾き切った丘、山、裏の雑木林、畑、道。全て、薄茶色の乾いた埃っぽい景色。

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 その殺風景な景色が、たった一週間ほどで様変わりをする。
 雨をたっぷり飲み込んで潤った大地から、あっという間に草が生え、骸骨のように乾いた木の枝から一気に新緑が芽吹き、蝶は水辺や湿った大地に集う。

 もちろん、降りすぎて困ることもある。
 下界の都市部では排水設備がうまくできていないこととゴミなどで排水溝が塞がれ、毎年のように冠水して道路が封鎖されている。
 この地域はそれこそ起こらないが、西側(上)で降った雨が東側(下)に向かって流れ落ちていくので、家の前の道は小川のようになる。

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家の前の小道が川になり、そこで水浴びはやめて〜


あたり一面が緑色になると、一番喜んでいるのは近所の農場の牛たちだ。農場とはいえ牛たちがそこに帰るのは乳搾りをしてもらう朝晩だけで、この周辺3km四方を好きに歩いて草を食べている彼らにとってこの時期は幸せビュッフェに一日中いるようなもの。まだ土地と道路の境にフェンスも何もないArkadiaも、彼らにとってはビュッフェ会場の一部。ある朝起きてコーヒーを入れに外に出ると、庭で2−3頭が草を食べていたり。

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不法侵入ですが草むしりしていただいているので告訴しません。


乳搾りの時間だよ、と牛たちを呼ぶおじさんの掛け声に向かってぞろぞろと歩いている牛の列を、当初は警戒して吠えていたライチも、次第に慣れてきて彼らをからかうようになった。

 雨季には、夕方から朝にかけての豪雨の恐怖もあるが、しっとりとした空気と和らいだ暑さにほっとすることもある。週を追うごとに次々と咲いていく花々やどんどん変わっていく昆虫の種類を見るのも楽しい。
 乾季は乾季で、天気の心配をする必要がなかったり洗濯物の乾きの速さが嬉しい反面、厳しい暑さで屋外での作業時間が限られたりする。
 雨季の途中にはもう雨と湿気にうんざりして「早く乾季になってほしい」と叫ぶ。
 乾季の終わりには「そろそろ雨降ってくれ」と叫ぶ。

 人間とはわがままなものだ。

Arkadiaの裏手には、同じ広さの空き地が広がっている。隣のホアキンさん曰く、彼の知る限り過去30年、誰も来ていない。ので、ホアキンさんもここの一部を軽く耕して畑にしていたり、子供たちがここでキャンプしたり、していたらしい。
ということで、私も御相伴に預かることに。

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家から7mの距離。


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3m四方を耕してみる。石を退け、土を掘り起こし空気と混ぜる。ここまでにするのに、すごい仕事量。その間に、トイレットペーパーの芯に土を詰めて種を撒き、15cmほどになるまで家の横で苗床として育てておく。
まず簡単にできるカラバシータ(ズッキーニの仲間)ときゅうり、大豆をやってみる。
さて、どうなるか。


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