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「作れ」って、今までは「作る」動詞の原型だったのに突然命令形ですか。


 土地の外縁を囲む石塀作りが、実は一番初めに手をつけた作業だった。まずは自分たちの敷地を何者にも荒らされないように石塀を作り、そこから家を建てようかな、と。重機で掘った溝に、これまでも自分たちでああだこうだ言いながらやってきた。だが、家の「箱」ができて、あれやこれや資材も道具も機材も増えてきた。やはり安全第一、早いとこしっかり囲ってしまわねば。
 2020年5月後半、職人二人がやってきたものの、一週間経たずにやめてもらい、作業は宙ぶらりんになってしまった(詳しくはこちら)

家の西側一番奥に、一部分だけ作られてそのまま、の石塀↓

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こんな状態で放置されてました。

雨季が終わる頃、二軒先のエクトルさんから「うちの塀をやってくれたマヌエルを紹介するよ」と声をかけてもらった。たまたま小さな作業で彼の家に来ていたマヌエルは、ライアン・ゴスリングに似た感じの30手前あたり、細身で白いポロシャツを着て作業をしていた。初めてみるよ、白いポロシャツで土建作業してる人。サクサク話が進み、翌週から来てもらうことに。

 翌週月曜日、マヌエルはやってきた。もっと年若いゴロッとしたアンドレスも馬に乗って。
 馬に乗って。

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 馬達には特に名前はついておらず、2ヶ月ほど前に買ったとのこと。彼はこれを移動手段に使っている。名無しの馬はマヌエルが働いている間ずっと、うちの庭の中や周辺の空き地で草を食べている。

 腰につけてきたマチェテ(ナタ)でバシバシと迷いなく、雨季の間に伸び放題になった草を刈っていく。あれ、どこに行ったんだろうと思うと、ガンガン周辺の空き地に入り込んで、雑木林の枝を12本ほど切り落とし抱えて戻ってくる。真っ直ぐな塀を作るための青いラインを張るために木の枝が必要なんだね。それにしても彼らの仕事は早い。

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 まずは西側の約50m をやるようだ。
 当初「うちの敷地から出る石で塀を作りたい」と言っていたのだけど、おいおい全然足りませんよ。数が足りないだけでなく、地中から掘り出した丸い石だと塀としては安定性に欠けるようで、やはり採石場から切り出した石を買わないといけない。石ですよ、石。何個じゃなくて、ダンプカー一台分、が単位。
買ったことありますか?ダンプカー一台分の石。お幾らぐらいするんだろう、ビクビクしながら値段を聞いてみる。業者は、今までも何度も重機使ってうちの土地をあれこれやってくれた「モレ」さん。お世話になってま〜す。
 さて。ダンプカー一台分の石のお値段。$1600。アメリカドルではなくてメキシコペソ。日本円にして約9000円。0の数間違えてません。これで正しいです。
あ、そうなの?そんな値段なのね。

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↑左の細いのがマヌエル


 運ばれてきた石は家の庭に無造作にがががががと落としてもらう。
 その横に、セメントを練るために同じくモレさんから川砂を買い、石の横に同じようにざざざざざと山にしてもらう。砂も同じくダンプカー一台分という単位で$1400ペソ6500円ほど。
16歳のアンドレスにセメント練りを任せ、マヌエルは石を猫車で運んでいく。塀の土台になる部分は地中に掘った溝。そこから上に進んで地表から約1.2mの高さまで石を積んではセメントで固める作業を続ける。

 この兄さん、細いのに多分全身筋肉だわ。そして、子供の頃から父親を手伝って農場の仕事やこういった建築作業をやっているとのことで、体の使い方がわかっているんだろう。淡々とこなしている。
 私が1時間でヒーヒーだったのに比べたら、これぞプロ、の差よね。

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 水木金と朝11時ごろから始まって、夕方6時すぎに終了。土曜日は2時過ぎまで。どうやら朝遅いのは、家の牛の世話とかやってるかららしい。料金や支払い方法は、1㎡$400ペソ2200円ほど。申し訳ないぐらいの安さだ。というのも、今まで私とクマ夫で進めたのってたった10㎡。それを何時間かけてやって、どれだけの疲労だったか、値段で言ったら2万2千円。やってられんわ。でも彼はその値段で喜んでやってくれる。ありがたい。ありがたい。
 では、また月曜日。


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