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近隣は皆トイレの排水を「土地内溜め込み汚水処理」というか、全部天然のボットンというか、まあ早い話がボットン放置。一軒2-3人しか住んでいないので、それなりに深い穴を掘って入れておけば、自然にそこで濾過されてどうにかなっている様子。そこを私たちは「バイオトイレ」という手段を選ぶことにする。


バイオトイレとは、いろいろな方法がネットでも紹介されていて、私たちは「液肥、固形肥料」と「メタンガス」が発生できる装置を設置する方法を見つけた。

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トイレから出たもの(人間の糞尿のみ。トイレットペーパーは流せない)をタンク1に入れる。タンク1には前もって、腐葉土、おがくず、牛糞、砂、を入れておく。水と排泄物をそれらと一緒に蓄積しておくことで自然に微生物によって発酵され、水分がタンク2に分けられる。排泄物を入れ始めてから二週間ほどでメタンガスが発生し始める。タンク2でも液体の発酵は続いているのでメタンガスは発生している。それらメタンガスは厚手のビニールを袋状にして溜めて調理に、タンク2から出る液体は液肥として畑や庭の草木に使うことができる。また、少し時間はかかるが1年ほど経つと、タンク1に蓄積された泥状の固形物はこの上なく栄養豊かな有機肥料として畑に役立てられる。

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 食べ物が人間の体を通過し糞尿となったものを、牛糞や腐葉土などと一緒に微生物に分解、発酵してもらった結果、畑の肥料や調理用のガスとして利用し、そこでまた食べ物になり人間の体を通過してぐるぐるぐるぐる。なんと素晴らしいサイクル。戦後しばらくまでは「肥溜の肥料を畑に」として、普通にされていたことを、ほんの少し科学と技術の力でこうやって有益に使える。しかも、タンク2の液肥は思ったほど匂いがしない。実際、このバイオトイレを設置、利用し始めてすぐに出た液肥を畑に撒いているが、ボットン便所の匂いとか、そういう悪臭は一切しない。少し「草っぽい」臭いだけ。開発者曰く、レタスやキャベツなどの葉物野菜には直接かからないように散布する注意が必要とのこと。その場合は周辺の土に静かに撒く必要がある。現時点でこの液肥は、手動の簡易ポンプ(日本で言えば、偉大なるDr. 中松の開発した灯油ポンプのようなもの)で1日おきに50Lぐらい汲み出しては畑に撒いているが、後日これももっと楽な方法に変わることになる。

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このシステムは微生物の働きによって排泄物が発酵され、メタンガスと液肥、固形肥料に分けられる。したがって、一般的なトイレ洗剤は使用することができない。なので、掃除する際にはブラシは一般的なものでも良いのだが、洗剤として酢と重曹を使うことになる。トイレットペーパーやその他は一切、トイレには流せない。
タンク1には、調理の段階で出た生ゴミを、微生物くんたちが分解しやすいようにミキサーにかけドロドロにした状態で入れることができる。ただしここには、殺菌作用のある野菜や果物(例えば大根、生姜、二十日大根、オレンジなどの柑橘類)のカスを生で入れることはできない。また、これはもう少し調べる必要があるのだけれど、メキシコでは日常的に食されているノパル(ウチワサボテン)は逆に、物凄い勢いで発酵してメタンガスの発生を促進するとのことなので、近いうちに私たちも裏庭から摘み取ってやってみようと思っている。

現段階でここに住んでいるのは私とクマ夫の2人だけ。野菜と炭水化物たくさん食べてたくさん出して、メタンガスもたくさん発生させたい。のだが、先人たちの経験から、「二人暮らしでバイオトイレから発生するメタンガスで調理が出来るのは1時間程度」とのこと。なので、メインのガス台=プロパンガス、メタンガス=専用ガスコンロ、昼間はソーラーフル活用で電熱器での調理、長時間煮炊き=外の薪ストーブの三つ巴で行くことにする。これだけあれば困らない。

一般的な家庭でのトイレをちょっと変えるだけで、これだけ有益に使えることができる。ただし、敷地内にこのバイオトイレシステムを設置する場所、そこから出る液肥や固形物を活用できる土地がないとこのシステムは使えない。それに加え、配水管を設置する時点から「洗剤一切入らない排泄物だけ」パイプと「その他」を分けなければいけないので都会や住宅地の一軒家などではかなり設置は難しくなる。


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