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ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第135わ「FRAGILE」

(承前)

「それから更に一つ、残念なお知らせが」

吸血女が俺の体に手を伸ばす。俺の拘束に使用している❝魔王の翼❞を剥ぎ取ろうとしているのだ。この外套の堅牢性、そして快適さを身をもって知っている俺は何としてでも抗おうとする。

「あのですね。この棺を抱えてヤサ……じゃなくてセーフハウスに移動しなくちゃいけないんです。敵の襲撃、あるいは遭遇戦の発生も十分に考えられます。……というか、誰かに見られたら必ず仕留めないといけないんです」

それがどうした。今の俺は割れた茶碗だ。テープで繋がれた破片の集合体なんだ。こいつを剥がすなんて絶対に駄目だ……!

「正直に言います。今の私が❝魔王の翼❞が無い状態でダンナを守りながら、昇格直前の❝二ツ星❞と戦うことになったとしましょう。勝てるかどうかは五分五分といったところです」

後ろに手を組んだ吸血女が顔をぐっと近づける。

「誰かさんが私のお腹を一杯にしてくれるのならば話は別ですけどね」

(続く)

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