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ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第105わ「戦端」

(承前)

「見てたよ。そこなニンゲンが、いきなり服を脱ぎだすのは!傑作だ!」

その声は恐ろしかった。声の持ち主の容貌も恐ろしかった。稲妻と竜巻を伴って、襤褸切れを纏った乱れ髪の女が虚空から現れたのだ。その頭には何らかの大型動物(きっと恐竜だ)の頭蓋骨を被っていた。

「なるほど。ダンナの異常行動は、あなたの仕業でしたか」

「ヒヒッ!折角の❝インセンス❞を使わないのは勿体ないだろう?もっと酷い仲間割れを見せてくれるかと思っていたけど、❝魔王の翼❞を剥ぎ取れたなら十分さね。ここでアンタを仕留められれば一ツ星のアタシにも生き残りの目が見えてくるってものさ!」

……インセンス?仲間割れ?そして魔王の翼。何か難しい話をしているようだが、耳に意識を集中するのも億劫になってきた。それも一秒ごとに、だ。

「足りない頭を絞って考えた戦術としては及第点です。それでも私との実力差を埋められない以上は無駄な努力と言わざるを得ませんが」

(続く)

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