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ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第129わ「リトル・シスター」

(承前)

吸血女の❝下の口❞はカスタネットめいてリズミカルに歯を鳴らしている。既に悲鳴をあげている四肢を叱咤して拘束から逃れようとするも、その結果と言えば人間の無力さを再認識されられるだけである。

「はいはい、それでは中に入りましょうね。大丈夫、食べたりなんてしませんよ。ダンナが死んだら私も一蓮托生なのは知っているでしょう?」

一瞬ごとに左の眼窩から灼熱の痛痒が引いていく。冷静さが回復すると同時に、人間の限界を超えた筋力も失われていくのが嫌というほど理解できる。

「ただ少し、今から30分……いえ、15分でいいので、私の口の中に隠れていてくださいね。でないと……」

両肩に激痛。限界を超えた力を行使した反動か。否、俺の肩は外されて後ろに折り畳まれていた。腰も折られて身体がU字に畳まれる。

「ダンナは最も戦いたくない敵と戦うことになるでしょう。貴方のよく知る……いえ、時間切れです。既に私の背後に舞い降りたようです」

(続く)

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